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消費者の2割が福島産の「安全性に不安」2018年3月30日

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・震災後の福島県産農産物で初の流通実態調査

 調査対象となった品目は福島県産農水産物のうち、米やモモ、トマト、ピーマンなどの青果物、牛肉、豚肉、鶏肉、牛乳などの畜産物、シイタケやナメコのキノコ類、カツオ、ヒラメ、カレイなどの水産物の主要な5分類20品目。
 調査は、福島県産農産物の取扱状況や震災前後での変化やその要因などについて、福島県内、首都圏、関西圏の流通事業者等を対象にヒアリング(312件)。また、全国圏の流通事業者に対してアンケート(730件)を実施した。
 また、福島県産・他県産農産物の購入意向などについて、全国の消費者にウェブアンケート(3000件)を実施するとともに、福島県、首都圏、関西圏の小売店頭で消費者に対してアンケート(321件)を実施した。
 それによると、消費者の福島県産農水産物のイメージでは「安全性に不安がある」との回答が2割弱あった。購入意欲では「多産地品より価格が高くても購入する」「価格が同等なら福島県産を購入する」が2割程度存在した。

品目別福島県産品の安全性に対するイメージ

(表をクリックすると大きな画像表示されます)


 流通業者は、米や牛肉を中心に取り扱いに慎重な実態が浮かんだ。また県産品の卸売価格は東日本大震災を契機に下落し、全国平均との価格差が広がっている。米では全国平均より4.9%安くなっている。
 また高級贈答用として人気のモモでは全国平均よりも23.3%安く、その価格差は大幅に拡大している。理由は、震災後、モモが出回る9月末までに山梨県産、岡山県産で高価格帯の贈答用需要が賄えるようになり、自ずと福島県産のモモが店頭に並ばなくなったため。
 今回の調査結果の概要は次の通り。

 
 1. 福島県産農産物は、全体として震災前の価格水準まで回復していない。
水産物については、試験操業段階のため小売業者の取り扱いは限定的である。
 2.消費者からの福島県産農産物に対する産地照会は減少し、現在ではクレームはほとんどない。
また福島を応援するため「むしろ福島県産を積極的に購入する」という声がある一方、消費者の一部には、依然、福島県産のイメージとして「安全性に不安がある」との意見が存在している。
 また、小売業者によれば、海外顧客は産地を非常に気にしており、よく質問を受けるとのこと。
 3.小売業者の福島県産農産物の取り扱いについては、(1)他県産農産物で需要が賄えており、同県産農産物に積極的に切り替える理由やきっかけが見い出せていない、(2)産地照会を受けた際の説明に苦慮する、(3)売れ残りリスクを極力回避するため、福島県産品の取扱いを躊躇することがある。特に米・牛肉や高価格帯贈答用のモモでは、福島県産の取り扱いが十分に回復していないなどが調査で明らかになった。
 4.卸売業者、仲卸業者においては、福島県産農産物の取り扱いを減少させた理由として、(1)販売先による別産地の指定がある、(2)販売先が福島県産以外を希望していると想定されることがあげられ、他方で、米や牛肉において品質面で値ごろ感が強い外食・中食などの業務用の需要が強まっており、
安定的な価格と量での取引が見込める半面、仕入価格が固定化して取引価格の上昇が見込みにくいといった課題もあげられている。
 5. 生産者では、米の生産者が、冷めても粒がしっかりしている特長を活かして、寿司米として中東への輸出を実施している例やモモの生産者がインターネットを活用した通信販売により、新規顧客を開拓している例
など、品質の訴求や販売方法の工夫によって販路の開拓・拡大を実現している取り組みもみられる。
 6.福島県産農産物の仕入・販売について、震災直後は安価での仕入・販売を求める事例が一部存在したが、今回の調査範囲では、現時点では不当な安価での仕入・販売を行う事例は確認できなかった。
 調査結果の詳細は平成29年度福島県産農産物等流通実態調査の結果についてで見ることができる。

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