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【改めて考えたい 国のかたちの問題】安倍改造内閣とTPP 孫崎享・元防衛大教授2014年9月11日

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 第二次安倍改造内閣が9月3日に発足し、新農相には自民党TPP対策委員長を務めた西川公也氏が就任した。就任会見でTPP(環太平洋連携協定)交渉について、重要5品目など関税撤廃は認めないとするなどの国会決議を守っていくことを強調した。しかし、TPPは農産物の関税だけの問題ではないと、当ホームページでもこれまで強調してきた。交渉推進が懸念されるなか、改めてTPPの問題点を孫崎享氏(元防衛大教授)に聞いた。

根本は企業利益最優先

 

――改めてTPPの問題点をお聞かせください。

孫崎享・元防衛大教授 安倍改造内閣は、すでに言われているようにTPP合意に向けて推進するため、反対の強い農業分野を押し切れる人ということで新しい農相が選ばれ、その推進が懸念されると思います。
 もちろんTPPは農業関係者にとって関税がいちばんの中心だとは思います。しかし、やはり私はより大きな問題としてTPPは国の体制を変えるものだという点を改めて強調したいと思います。 私たちは基本的に法律や制度を企業利益の最優先を考えて制定するとは、誰も思っていませんね。当然のことですが人間の生命や安全、あるいは多くの人々の生活水準が良くなるかどうかなど広範な問題があって、そのために法律があるわけです。たとえば大きな問題として健康がありますが、これにはどういう医薬品を使うか、あるいは国民健康保険をどう大事にしていくかなどと国民を守る視点で考えてきました。 ところが、TPPは明白に企業の利益を最優先する社会体制をつくることが目的です。これを担保するのがしばしば指摘されてきたISD条項(投資家対国家紛争解決手続)です。投資家が国家を訴える制度ですね。企業が投資をしたときに、その投資が投資先の国の政策的判断でマイナスを被ったら国家に賠償させるいう制度です。たとえば、NAFTA(北米自由貿易協定)を締結したメキシコでは、住民の健康被害が出たために、進出した外資系産業廃棄物工場の操業を行政が停止させたら、これは企業の活動を国家が収用したのと同じことだと訴えられ、結局、賠償させられた例が知られていますね。
 本来、ISD条項は新興国などで法律に不備があって、投資しても不利益となるような場合に備えての措置でした。ところが企業は利益確保に使えることが分かって先進国で使いはじめた。
 それも想像を絶するような賠償額の訴訟になってきたことから、国家としても賠償金を取られるよりは企業側の要求に合わせるかたちで、法律や制度をつくっていこうということになってきたわけです。
 ここが私はいちばん大きな問題だと思っています。

(写真)
孫崎享・元防衛大教授

 

――その問題は農業にも食にも及びかねないわけですね。

 たとえば、原産地証明を消費者は求めていますが、逆にそれは競争を阻害するという主張が出て、このような取り決めも排除されるかもしれません。最近はこうした問題を持つTPPについての関心も薄らいでいるのではないか。本来は国民がもっとも関心を持たなければならない問題のはずです。 しかも、ISD条項に基づく国際仲裁裁判所は日本の裁判所の判断とは別に政府に対して賠償を求めることもできる。そうなると国家主権も揺るがすことになってしまう。それぞれの国によって何を重点にするかは、社会によって違うのに、経済最優先にすべきというTPP協定は人間社会のあり方としても疑問です。しかし、そこに向かって交渉は突き進んでいるということです。
 この状況のなかで、最近は弁護士のなかでTPP違憲訴訟ができないかという動きが出てきています。中心は元農相の山田正彦氏です。
 TPPは国民生活に非常に大きな影響を与えることは分かっています。ところが、協定に署名した後、4年間は秘密にするということですね。国民が知ることができないものを国会が批准して、それを守る義務を負う、これはいったい何なのかということです。そこでこうした条約締結は主権の侵害ではないか、国民は知る権利がある、といった問題から訴訟を起こそうと考えています。

 

――しかし、安倍政権は経済再生が最優先だとしてTPPもそのために必要だと国民に強調してきました。

 本当は、国のありようが問われているのだと思います。長い間、国民は企業が繁栄すること、イコール労働者が繁栄し国民も幸せになるという図式で考えてきました。確かに1980年ごろまではそうでした。企業が大きな利益を得ることが一般の人たちと直結しているから、だから企業がよくなることがいいことだと。
 しかし、これがもう変わってきたということです。企業が豊かになるといっても、その分配においてはごく一部の人だけが豊かになるということになってきました。
 たとえば税の問題をみても、消費税を引き上げる一方で法人税を引き下げてこれでプラスマイナスゼロだというわけです。しかし、法人税を引き下げてもそれは内部留保にいったり、外資の買収にいったりしますから国民すべてに還元されるわけではない。広く国民に分配されたほうが国民や国家のためになるわけですが、そういう論理が通じなくなった。一握りのグループがますます強くなっていく。
 いわゆる社会のありように関わる倫理観が中心ではなくなってきています。その代表的な動きがカジノ認可ではないか。これも経済の活性化のためだと。しかし、日本は賭博は禁止してきた。ギャンブル依存になる人を増やしていけないと。ところが今はカジノ賛成という国会議員が200人もいます。経済が活性化さえすればそれでいいのでしょうか。
 実は問われているのは経済が活性化されたからそれが善なのか、それぞれの国民がより幸せになるシステムがどういうものであるべきか、それが実はTPP問題と結びついているということです。

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