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農政:時論的随想 ―21世紀の農政にもの申す

(104)TPP審議とG7農相会合2016年4月6日

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梶井 功 東京農工大学名誉教授

 4月23日~24日に新潟市で開かれる主要国首脳会議・農相会議の“基本的なテーマ”は“食料安全保障”だと、3月23日農水省が発表した。3・23付日本農業新聞の報道によると、
「食料安全保障の確立に向け、農業の生産性を高める技術開発や、若者や女性の活躍、農村の人材確保について議論する。最終日には、会合の成果として新潟宣言を採択する…。特に、先進国が共通で抱える農業者の高齢化や地域の活力低下、地球温暖化などをどう克服していくかを議論する。
 具体的な解決策として、若者や女性の活用、6次産業化など農村所得を高める取り組み、農村資源を使った農村コミュニティの活性化を議論する。生産を高めるための技術開発や、地球温暖化への影響を緩和するための研究を進めることで合意したい考えだ」そうだ。
 食料安全保障について、確かな国際合意を確立することは重要である。農相会議で真剣な議論が行なわれることを期待したい。

◆世界的視野で考える 

 食料安全保障の議論となると、私はもう30年近く前のことになるが、ウルグアイ・ラウンド交渉に当って日本政府が「提出」した「農業交渉グループにおけるステートメント」を思い出す。こう書いてあった。
「世界の農産物の需給は、人口の増加、...異常気象、砂漠化の進行等地球環境の変化及び政治・経済情勢の不透明性等各種の不安定要因に立脚しているといえよう。このようなことから、特に我が国は、世界最大の農産物輸入国の一つであり、食料自給率も年々低下し、50%以下の水準になってきている立場から、世界の農産物の需給は決して楽観はできないとの認識を有しており、このために、特に国民食生活に不可欠な基礎的食糧の安定した供給を確保することについては、食糧安全保障という観点から重大な関心を有している」
 こういう"認識""観点"に立って"基礎的食糧については...所要の国内生産水準を維持する必要がある"こと、とくに"海外依存度の高い食糧輸入国においては、食糧安全保障上の観点からこのような国内生産水準の維持に最大の優先的な位置付けを付与しようとする国民のコンセンサスは十分に尊重されるべきである"と主張。"実際の生産活動を通じて生産の技術や担い手、農用地、水資源、生産施設等の生産条件を常に良好な維持管理のもとに置かない限り、不測の事態における基礎的食糧の確実な確保が極めて困難になる"ことを指摘する。そして、"一部の輸出国から食糧の安定供給のコミットメントに関する言及がなされて(いるが)、...食糧が危機的に不足し、輸出国においても自国民への供給に影響するような事態が生じないとも限らず、そのような場合には輸出国からの如何なるコミットメントでもその担保が確保し難くなる状況がありえるのではないか"と付言していた。重要な付言というべきだろう。

◆生かせWTO日本提案

 もう一つ、2000年12月に出された「WTO農業交渉日本提案」は、
「日本提案の根底に存在する基本的哲学は、多様な農業の共存である。...農業とは、各国の社会の基盤となり、社会にとって様々な有益な技能を提供するものであり、各国にとって自然的条件、歴史的背景などが異なる中で、多様性と共存が確保され続けなければならない。このためには生産条件の相違を克服することの必要性を互いに認めあうことこそが重要である。」
 とし、日本農業は"この共存の哲学の下、(1)農業の多面的機能への配慮、(2)各国の社会の基盤となる食糧安全保障の確保、(3)農産物輸出国と輸入国に適用されるルールの不均衡の是正、(4)開発途上国への配慮、(5)消費者・市民社会の関心への配慮、の5点を追求する内容となっている"ことを述べた上で、効率を重視した画一的な農業のみが生き残り得る貿易ルールは、我が国のみならず各国にとっても非難されるものである。また、我が国は"競争力のある一部の輸出国のみが国際市場において利益を得るような交渉結果は認めない"ことを強調していた。
 この「WTO農業交渉日本提案」はまだ生きているはずである。TPP合意の内容もそうなっているのか、これから始まる国会の集中審議のなかで是非ともこの観点からの追及もしてほしいと思うのだが、TPPを審議する特別委員会はようやくスタートしたばかりである。国会でも、出そうとしている新潟宣言にはTPP審議とならんで注目し、これまで日本政府が公約してきた食糧安全保障の精神に即したものになるのかどうか、注視し続けることを国会の先生方に要望したい。

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