農政 シリーズ詳細

シリーズ:インタビュー 日本農業と農協のあり方を考える

2017.02.27 
【小沢一郎 自由党代表】地域のために農家が立ち上がれ一覧へ

危険な新自由主義政策を打ち破るために
小沢一郎 自由党代表
聞き手:梶井功東京農工大学名誉教授

 農協法が施行されて70年になる。いろいろな評価はあるが、日本の農業そして地域や暮らしに果たしてきた農協の役割は大きなものがある。しかしいま、安倍政権によって農協のあり方が問題とされている。これまでのそしてこれからの日本農業・農協のあり方について、忌憚なく語っていただいた。

◆トランプの狙いは二国間協定

小沢一郎 自由党代表 梶井 米国大統領にトランプ氏が就任しました。これが日本に与える影響をどう考えていますか?

 小沢 日本との関係では、政治的な側面と経済的な側面の両方があり、政治は安全保障をふくめて、すぐぎしぎし来るとは思いませんが、経済・貿易面ではかなり厳しく迫って来るだろうと思います。そのとき、競争力のある大企業はアメリカと太刀打ちできるけれど、安倍首相の感覚では、生産性の低い一次産業等についてはまったく無関心ですから、農産物は自由化しますよと、取引材料にする恐れがあります。そうなれば日本の農業が、食料の生産が壊滅的な状況になります。

 梶井 トランプ大統領の一番の狙いはなんだと思いますか。

 小沢 一番はやはり貿易でしょう。TPPではなく、2カ国間交渉にしたいということです。そうすると、日本は、いまの政府では太刀打ちすることは不可能です。また、国内産業を守ろうという気もないし、能力的にもアメリカとバイで交渉するような能力もないので、非常に危ないと思います。

 梶井 国会ではどうですか?

 小沢 野党が何を伝えたいかという主張がはっきりしない。だから最後は多数決で押されてしまう。ここは野党の正念場だと思います。いま、安倍自公政権と対決できないようならば、もう野党は終わりですし、日本の国も国民生活も危険な状況に陥ると感じています。
 しかしそれにも関わらず国民は怒らない。だから私はいつも言うんです。国会議員は国民が選ぶんだから、最終的には国民がいけない。安倍内閣の原発やTPPや消費税とかの基本政策には反対だというけれど、選挙では支持している。

 梶井 安倍内閣がとっている政治のすすめ方で、いま、一番問題にしなければいけないことは...。

 小沢 経済政策でいえば、自由競争が最優先といっています。これは200年前の初期の資本主義の時代の考え方に戻っているということです。民主主義を否定し、歴史に逆行する考え方、つまり新自由主義と呼ばれる考え方です。これは弱肉強食の考え方です。実際、「アベノミクス」で国民生活はちっとも豊かになっていない。逆に貧困家庭が日本でものすごく増え、強い者と一般大衆という弱い者の差がどんどん開いている。
 安全保障面では、日本だけでもやれるように軍備強化に走っている。アメリカを理由にして。だから非常に危険です。
 きちんとした理性と判断とビジョンがあっての政策ならまだいいけれど、単純な新自由主義的理論で政治を運営しているから、いまのままでは本当に危ないです。

◆野党共闘で選挙に勝ち政権交代を

小沢一郎 自由党代表 梶井 安倍自公政権に対してどうしたらいいんでしょうか。

 小沢 選挙で勝つ以外にありません。僕は農協に対し、あなた方は陰で文句を言っているけれど、選挙は自民党を応援しているじゃないか。何をやっているんだといっています。だから、農家の皆さんもだんだん農協を信用しなくなってきた。昨年の参議院選挙でも、東北は6県のうち5県で野党が勝ちました。北海道もそうです。だんだん身につまされて分かってきた。この動きは、もっともっと西の地域にも広がっていくと思います。後は民進党の決断次第です。やはり野党第一党が決断しないと...。そうすれば次の総選挙は絶対に勝ちますし、政権交代が可能です。

 梶井 農協も米価闘争華やかなりしころはやっていたんですけどね。

 小沢 あれは与党内の体制の中の動きです。いまは体制そのものが農家を殺そうとしているのだから、つまり自分たちが信じてきた体制がそうではなくなってしまったんだから、これを変えるべく、全国の農家が決起する以外にない。それで選挙でひっくり返す。民主主義社会では暴力革命を起こすわけにはいかないのだから、選挙で自分たちの政権をつくる以外にない。

 梶井 日本共産党の大会に、他の野党の代表と一緒に出席され、野党共闘の重要さを訴えましたが、そういう決起を促すためですか?

 小沢 もちろんそうですが、農業だけの話ではありません。共産党は嫌いだという人がいますが、選挙は票数で争うわけだから、共産党の票はいらないというのはどうかしている。共産党だろうが自民党だろうが入れてくれるという票は「ありがとう」と、いただけばいい。共産党と一緒の政党になろうとしているわけではありませんから...。選挙協力をしようといっているだけです。
 しかし共産党は大胆な思い切った決断をしたと思います。もっと共産党は前に出てくると思いますね。自由党の候補者がいないから共産党に入れるという人がけっこういますから。

 梶井 農業の成長産業化とかいっていた農業改革がいつのまにか農協改革になっていますが、こういう動きは...。

 小沢 生産性の低い所を手間暇かけてやる必要はない。それよりも生産性が高い、競争力がある企業をどんどん育てていく方がいいというのが安倍首相の考えです。

◆食料自給こそが日本農業の最大の課題

梶井功東京農工大学名誉教授 梶井 農政で一番問題にしなければならない問題は...。

 小沢 僕は、食料は自給しろといっている。主要穀物は100%自給できます。農協も農家も「そんなことはできない」というが、いま使っていない遊休農地を全部活用して適地適産すれば、全部自給できます。
 そのために、セーフティーネットとして戸別所得補償制度を民主党政権のときに導入しました。あれは僕の考えでは「不足払い」みたいなものでした。だから貿易はある程度自由にしていい、日本は消費者に喜ばれる良いものを作る。それで生産費を割るような状態の時には、そこは「不足払い」する、というシステムです。導入したけれども実行に移す間もなくだめになりました。
 大規模化といいますが、大規模化なんかやってもダメなんですよ、日本の農業は...。ヨーロッパでさえ30㌶から50㌶の規模です。アメリカやオーストラリアはさらに一桁大きい。それでも補助金を出して、自国の農業を守っている。日本は労働集約的で品質の良い物を作っているというけれど、戸別補償制度、セーフティーネットをつくらなければ、日本の農業、食料自給は達成できない。
 しかし、これだけでは地域社会・農村の人口は養えない。だから霞が関を中心とする中央集権制度を変え、地方分権の仕組みにしないと、地域の振興を図ることはできない。
 その中から産業の地方立地、地場産業の育成を図り、地方に雇用の場をつくりだすようにすれば、若い人も定着するようになる。
 すなわち、若いうちはサラリーマン、歳を取ったら、良い意味での兼業農家として、食料の自給と同時に地域社会全体の活性化に貢献することもできる。
 農業は技術改良が進んでいるし、土地改良もほとんどできている。だから定年後の年寄りの方々でも十分にできます。地域社会に人が定着するようにしないと国全体がおかしくなり、食料自給もできなくなる。

◆農業がだめになれば地域社会が崩壊する

 小沢 安倍政権は、よく地方創生をいいますが、考え方が地方創生ではなく「地方破壊」です。この考え方を直さないとダメです。かつての自民党は田舎を偏重しすぎるとかいわれたけれど、富をできるだけ等しく全国民に配分しようという発想があった。ところがいまは、儲けるところはできるだけ儲けろ。そのうちその滴が滴たり落ちるだろうなんてことを平気でいっている。そんなことを言われて黙っているのは日本人だけですよ。もっと怒らないといけない。
 食料自給できないようではとても国が成り立たない。歴史的にそのことは証明されていて、イギリスは産業革命で世界の工場になり、食料は植民地から調達するという政策をとってきたけれど、結局、イギリス社会そのものが、あまりにも貧富の格差が大きくなり、成り立たなくなってしまった。そこで社会保障制度を導入して生き延びてきたわけです。
 規制には経済的規制と社会的規制の両方あるけれど、経済的規制はできるだけ取っ払う方がいい場合が多い。しかし、社会的規制は年金、医療、雇用等々、みんなが安定した生活をするために作り上げてきたのだから、これを取っ払おうという新自由主義の考え方は歴史に逆行する考え方だと思います。

 梶井 協同の精神、協同の取り組みの原点に返って農協は頑張らなければいけない...。

 小沢 その通りです。いま、農家が農協を守れと言わない。そこに日本の社会の問題がある。本当にこのままでは恐ろしいです。
 農業がダメになると地域社会が崩壊してしまう。地域社会を崩壊させないために農家の皆さんが立ち上がらなければダメだと、もう一度言っておきます。

【インタビューを終えて】

 冒頭「安倍首相の感覚は...一次産業等についてはまったく無関心ですから、農産物を自由化する恐れがあります。そして日本の農業が、食料の生産が壊滅的な状況になります"と指摘された。そして"体制そのものが農家を殺そうとしているのだから...農家が決起する以外にない」と強調された。
 これだけズバリ本音で語る政治家は、そうはいないのではないか。小沢氏も入って進んでいる野党共闘に期待したい。 (梶井)

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