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農政:時論的随想 ―21世紀の農政にもの申す

不都合な数字に目をつむる安倍政権2018年2月12日

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梶井 功 東京農工大学名誉教授

◆どこが謙虚か?

 「今まで以上に謙虚で真摯(しんし)な政権運営に努めなければならない」
 ご存知の方が多いだろう。昨年11月の本欄(120)で紹介した言葉だが、安倍首相が衆院選大勝後の記者会見で発した言葉である。が、その後の政権運営は、どう見ても"謙虚で真摯"とは言えないと私は思う。"謙虚で真摯な政権運営に努める"というなら、何よりもまず現実の"真摯"な把握に努めることが必要なのに、その努力をしているように見えないからである。先月の24日の施政方針演説に対する野党代表の質問に対する答など、その好例といっていい。自分に都合のいい事実のみを強調し、都合の悪い数字には目をつむっているからである。
 質問は、安倍政権が目玉政策の一つにしている"農業・農村所得倍増政策"の実現可能性―2013年4兆1千億円と算出された農業・農村所得を2015年に8兆円にするという計画―についてだが、安倍首相は、15~17年の生産農業所得が計画が想定している増加額をはるかに超えている統計数字を示し、それは農地集積や輸出拡大、6次産業化など農政改革の成果だと強調し、「消費者ニーズに応えた強い農業をつくり上げていくことができれば、農業・農村全体の所得倍増は十分に実現可能性がある」と述べた"(1・25付日本農業新聞)という。"農業・農村全体の所得倍増"に関わる所得は、農業所得だけではない。農村にいる非農業者の所得がどうなっているかも言わなければならないのに、それについては何もふれていないのである。その非農業者の所得に関わる数字として農政当局が示しているのが、"農村地域の関連所得"だが、その15~17年の数字は、計画の54%の増加率でしかない。不都合な数字には目をつむっているのである。これでいいのかだ。

 

◆農村所得の検証を

 "農業・農村全体の所得倍増政策"は、自民党が政権に復帰した翌年の2013年に"農業・農村の所得倍増10ヶ年戦略"として打ち出し、安倍内閣が「農林水産業・地域の活力創造プラン」に取り入れた政策である。2013年度農業所得2兆9600億円を25年度に3兆6000億円に、農業所得以外の農村所得は、"農村地域の関連所得"として13年度1兆2000億円、25年度4兆5000億円という数字が示されていた。両者合計で13年度4兆1600億円を25年度までに8兆1000億円にしようという計画である。
 "農村地域の関連所得"とは"農村の地域資源を活用した農林漁業者による生産・加工・販売の一体化や、農林水産業と・・・2次・3次産業との連携による取り組みのうち、特に、今後成長が期待できる分野であげられる所得"ということになっている。
 この"関連所得"として計算された所得が、全部農村地域の人たちの所得になるわけではないから、こうした関連所得では、"地域や担い手の所得が倍増する姿を目指す"(所得倍増10ヶ年戦略での表現)とした「地域」所得にはならないのではないか、と私は疑問を感ずるのだが、その点は指摘しておくに留め、この段階で是非とも詰めておかなければならない問題、安倍総理にも検討してもらいたい問題として二点をあげておきたい。一点は"関連所得"の増加率の低さの吟味・検討、もう一点は農業生産所得の増加率は今後も続くのか、である。
 "関連所得"は2015年度1兆5000億円が2017年1兆8000億円となり、2年間で3千億円の増だった。が、前述した計画では12年間に3兆3千億円の増の計画だから毎年2750億円、2年間で5500億円なければならないところなのに3000億円にとどまってしまったのである。農業・農村所得の10年間の増加計画額3兆9400億円の84%は"関連所得"の増で達成される計画なのに、想定外の低増加額である。
 計画の成否はこの原因が究明され、打開策がどう打ち出されるかにかかっているといえよう。この点に何もふれないで"十分に実現可能性がある"などと言うべきではないのではないか。

 

◆倍増へ対策吟味を

年次別農業総算出額及び生産農業所得

 農業所得は2015年3兆2892億円になったが、12年2兆9541億円、13年2兆9412億円、14年2兆8381億円と12年以降減少し続けたのが、米価の回復、畜産物価格の上昇もあって増加したのである。これが続けられると安倍総理は判断したのだが、1994年(食管法廃止、食糧法施行の年)以降の農業総産出額及び生産農業所得の動きを見ると図のようになる。この図から、上昇は続くと気休くは言えないだろう。13~15年度の上昇傾向を持続させるのに、例えばTPP、EPAで畜産への打撃が大きくなるなかで17年度補正予算に組まれた畜産振興費で充分か、検討が必要だろう。

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