農政:現場から考える農政改革
【現場から考える農政改革】(3)地域住民巻込み、都市農業の持続を2014年2月13日
露木徳行・神奈川県農協青壮年部協議会委員長
米政策や経営安定対策の見直し、農業の多面的機能に着目した直接支払い制度の創設など、今年から新たな農業政策が動き出す。しかし、誰のための何のための農業政策かが忘れられてはならない。その視点を議論に生かすには現場からの発信を強める必要がある。全国の生産現場で活躍する青年農業者6人に思いを聞いた。
◆地産地消ニーズ高まる
両親と3人で露地野菜を栽培しています。ホウレンソウ、小ネギ、枝豆など13種類ほどつくっています。就農当時は1.5haでしたが現在は2haで経営しています。
10年ほど前から、JAがオープンしたファマーズマーケット「じばさんず」と地元量販店での直売を販売ルートの中心にしています。やはり量販店も含めて地産地消のニーズが高まったことがこの10年の大きな変化で、今後は直売による売り先をどう拡大するかが課題だと思っています。
(写真)
露木委員長
◆農と観、直結を
地元の青年部でポリシーブック作成の話し合いをしたときには、自ら取り組むテーマとして、規模拡大とそれにともなう労働力をどう確保するかを課題としました。規模拡大意欲は畜産や花き農家にもあります。
そこで青年部としてパートの共同雇用ができないかと検討し始めています。品目によって農繁期が異なるため、働いてもらう農場を時期によってずらしていけば必要な労働力を確保できるし、働く側にとっても通年で仕事ができるのではとの考えからです。
野菜農家には直売を柱にしようという盟友も増えています。しかし、販売先が増えれば毎日の出荷をどうこなしていくかもかなりの負担となりますから、これも青年部共同で出荷グループをつくる動きも出てきました。
さらに観光農園のグループ化をしようという話も出ています。イチゴなど果樹農家に観光農園の希望がありますが、私たちはそれを個々の果樹園だけでめざすのでなくて、地域の農業全体と観光を結びつけられないかと考えています。秦野市の「観光」といえば「農業」と直結している、というイメージです。
(写真)
青年部で地域に花を植える活動も
◆都市農業で地域に安心
こういう構想が出てきたのも自分たちの思いを文書化し実行するところまで考えるポリシーブックの運動が始まったからだと思っています。JAにもっと働きかけて新しい地域農業をつくっていきたいと思います。
こうした取り組みを支える政策として望みたいのは、やはり都市農業振興ということになると思います。これからますます地産地消、顔の見える関係が大事になると思います。
最初は、自分たちの名前をアピールしてもそのうち飽きられてしまうのではないかとも思っていましたが、やはり住んでいる近くで食べ物が作られているというのは、将来、食料がどうなるか分からないという時代にあって、安心感につながっているんだなと手応えを感じています。都市農業をどう残すか、それを政策としてきちんと議論してもらいたいと思います。
もうひとつは鳥獣害対策です。地域でも被害は深刻で本腰を入れてほしい対策です。そのためには里山づくりの観点も必要で、そうなると林業振興も大事だと思います。個人的には農地の隣に高齢者介護施設があるので無償で農地の一部を貸し出して高齢者に野菜づくりなどをやってもらえたらと考えています。どんなことが起こるか分かりませんが、地域農業への理解につながると思うし、とにかくまずはやってみること、だと考えています。
(写真)
JAはだの青年部50周年のつどい
重要な記事
最新の記事
-
たまねぎべと病 近畿、中国、四国で多発のおそれ 令和6年度病害虫発生予報第1号 農水省2024年4月18日
-
春メロン4億円の販売を目指す JAくま2024年4月18日
-
安全性検査をクリアの農業機械 農用トラクターなど1機種25型式を公表 農研機構2024年4月18日
-
JAグループのガソリンスタンドに急速充電器「DMM EV CHARGE」導入2024年4月18日
-
【スマート農業の風】(3)データ駆動型農業へ転換しよう2024年4月18日
-
入会牧野【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第287回2024年4月18日
-
チューリップ切り花が復活の兆し【花づくりの現場から 宇田明】第33回2024年4月18日
-
4月1日新事務所移転 緑の安全推進協会2024年4月18日
-
東京農大と共同研究 良食味米「コシヒカリ」で低糖質米を実現 栽培手法を確立 ジェイフロンティア2024年4月18日
-
Oisix「おいしくアップサイクル ふぞろいキウイチップス」など3種発売2024年4月18日
-
「飯縄山」からの伏流水で育つ米と玄米の直売市開催 長野県飯綱町2024年4月18日
-
「食品製造現場におけるロボット等導入及び運用時の衛生管理ガイドライン」を策定 農水省2024年4月18日
-
「みどりの食料システム法に基づく基盤確立事業」実施計画認定を取得 アイアグリ2024年4月18日
-
微粉砕加工で機能性を付与 北海道産小麦粉「CRONOS」発売 小田象製粉2024年4月18日
-
発色が早いわい性ハボタン「ローブ ホワイト」種子発売 サカタのタネ2024年4月18日
-
日本の原風景「棚田」の魅力を1枚に「棚田カード」第4弾を発行 農水省2024年4月18日
-
鳥インフル ブルガリアからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年4月18日
-
次世代へ繋がる循環型酪農・林業へ 三井住友フィナンシャルグループと協業 ホウライ2024年4月18日
-
国内最大級のドローン専門展示会「第9回JapanDrone2024」6月5日から開催2024年4月18日
-
吉田羊が情感たっぷりに 新CM「すごいよ パウダールウ」篇 エスビー食品2024年4月18日