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農政:緊急特集 TPP大筋合意―どうする日本の農業

聖域は荒らされレッドラインは越えた2015年10月16日

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梶井功東京農工大学名誉教授

 多くの国民や生産者が反対していたにもかかわらず、米国アトランタで行われていたTPP交渉が10月5日に大筋合意した。大筋合意への意見や今後の日本農業の在り方などについて、多くのご意見が寄せられている。これらのご意見を逐次掲載していくことにしている。
 今回は、梶井功東京農工大学名誉教授のご意見を掲載する

◆臨時国会召集し、真剣な議論を

梶井名誉教授 アメリカに7万トン、オーストラリアに8400トンの米の特別輸入枠新設ーこれで"聖域"は守られたと言えるのだろうか。また現行38.5%の牛肉関税を段階的に削減し、16年目に9%とすることは、自民党が「レッドライン(譲れぬ最後の一線)」とした日豪EPAの線を越えないと言えるのだろうか。
 TPP合意発表の記者会見で、安倍首相は「関税撤廃の例外をしっかり確保できた」と強調していたが、聖域やレッドライン問題には一言もふれなかった。そんなことはどうでもいいと首相が考えているのだとしたら、とんでもない話である。国会が決議したことであり、自民党が党議として決めたことである。
 政府としてどう判断しているのかはっきりいうべきだし、国会の先生方、別して自民党の先生方にはその判断でいいのかを吟味する責任がある。是非とも臨時国会の召集を要求し、真剣に議論し、はっきりさせてもらいたい。私は聖域は荒らされたし、レッドラインは明らかに越されたと判断している。


◆アトランタ以前に合意していた内容

 大筋合意が発表された10月5日の夜に同時に明らかにされた重要品目についての合意内容を見て、私は唖然とした。重要品目とされている米、麦、牛肉・豚肉等についての合意内容が、日本農業新聞が8月13日から18日まで報道した特集"ここまで分かったTPP"の内容とほとんど一致していたからである。アメリカに7万トン、オーストライリアに8400トンの米の特別輸入枠設定、麦のマークアップ(売買差益)の45%削減、アメリカ、オーストラリア、カナダに小麦の特別輸入枠設定、セーフガードと組み合わせた牛肉関税の引き下げ(38.5%を発効時27.5%、以後10年目で20%、16年目で9%)、安い豚肉にかける従量税kg当たり482円を10年で50円に、高い豚肉にかける4.3%の従価税は10年で0にする等々、アトランタ会議以前に報道されていたことと会議後の農水省発表が同じである。ということは、米・牛肉などの重要農産物を含めて農産物についての交渉は、アトランタ会議よりかなり前に日米等の間で決まっていたということを意味しよう。交渉を要する問題は無くなっているのに、アトランタまで日本代表団は何をしにいったのか。


◆どういうセーフティーネットをつくるのか

 かなり前に事実上交渉は終わっていたのだから、当然TTP合意の実施による日本農業の打撃が如何なるものか、農水省は当然検討しているであろう。一日も早くそれを公表すべきではないか。
 政府は9日、全閣僚がメンバーのTPP総合対策本部を設置した。"新たな市場開拓、イノベーション促進、国民不安の払拭"が三本柱だそうだが、まずは"国民不安の払拭"に全力を注ぐべきだろう。
 農林水産分野に係る基本方針では、(1)強い農業への転換を目指す「体質強化対策」、(2)国内生産への影響を緩和する「重要5品目対策」を取りまとめるが、それは"「攻め」と「守り」の車の両輪による対策で......生産費補填などのセーフティネット(安全網)だけでなく......輸入農産物に負けない日本農業をつくりたい安倍政権の方針を強くにじませた"(10月10日付日本農業新聞)ものだそうだ。
 "生産費補填などのセーフティーネット(安全網)"として何を考えているのかをはっきりさせ、その実現如何を早急に検証する必要がある。ウルグアイ・ラウンド農業合意でも補助金や国内支持政策に黄、青、緑の区分があるし、今は停滞状態にあるとはいえ、WTOドーハラウンドでは農業生産者に対する補助金を大幅削減する国際ルールをつくることが議論になっている。やろうと思ったが、WTO等の関係で駄目になったなどと言わせないように、どういう"セーフティーネット"を作るつもりなのか、十分に検討しなければならない。

 なお、皆さまのTPPに関するご意見を下記までメールでお寄せ下さい。

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