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農政:緊急特集:「小泉進次郎が挑む農政改革」批判

農業の持続性を追求 毎日が「農協改革」2016年3月15日

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現場からの批判3インタビュー・JAグリーン近江岸本幸男代表理事理事長

 農業・農政改革にはいうまでもなく現場の実態をふまえた検証と議論が大切だ。それも自然、土地条件が異なる日本で、それぞれの地域で工夫し持続可能な農業に向けてどんな生産体制を作りあげていくのかは大きな課題だ。今回は全国でもいち早く集落営農組織を作りあげてきた滋賀県のJAグリーン近江の岸本幸男代表理事理事長に意見を聞いた。

◆農家支援の実態とは?
 
 --自民党の小泉進次郎農林部会長の農政、農協改革への発言、考え方について現場ではどう受け止めていますか。

JAグリーン近江 岸本幸男代表理事理事長 岸本 非常に人気のある政治家ですから影響力があると思いますが、たとえば農林中金の農業融資は0.1%に留まっていると批判しているなど、そこは多くの人が、誤解をしないようわれわれも主張すべきだと思います。
 農林中金というのはあくまで運用機関であって系統組織に対して配当するためにがんばっておりわれわれJAもそれによって経営を支えて、そのうえで農業者に対する支援をしているのは末端のJAだということです。実際にはJAの農業融資の比率は6%程度にはなると思いますから、その実態をつかんで議論されていないという気がしています。
 一方でわれわれの地域の耕種部門は米麦、大豆中心ですが、コストを下げる努力に対して、たとえば農林中央金庫のアグリシードリースの活用も役立っていると思います。これは農業機械へのリース補助ですが、法人を中心に60件の申請(事業費3億4千万円)があってそれが全部認められました。その結果、法人や集落営農組織のコスト削減に系統の信用事業が寄与することになっています。
 つまり、JAグループの信用事業全体として考えれば融資だけではなく、系統の事業で得られた果実を組合員に還元して支援する取り組みもあると思います。一般の金融機関がこうした支援事業をするでしょうか、ということです。JAグループだからこそできたことだと思いますし、こうした面も含めて信用事業がどう農業現場を支援しているかの実態を捉える必要があると思います。


◆TPP合意と法改悪の矛盾

 岸本 さらにいえば、農業融資の問題は考えてみれば自己矛盾だと思います。TPP合意で将来不安が高まっているなかで農家組合員が設備投資を積極的に考えるのかということです。
 先日も農水省の地方参事官がわれわれへの説明会で、今回のTPP合意では米は一切影響がありませんと話していました。増えた輸入米の分は国産米から備蓄米として買い入れるからだということですが、結局、安い米を国内市場に入れるわけですから、米価を押し下げる要素になるのではないですか。それをまったく影響がないと説明されたからといって、農業投資をするでしょうか。将来、米価が安定してたとえば60kg1万5000円という水準が見込まれる状況であれば規模拡大し、農業投資もしていこうと展望を開けることになる。
 しかし、これだけTPP合意では譲歩を迫られ、さらに農協改革もなかば政府によって強制的に行われたなか、現場に再生産意欲があるのか、投資意欲があるのかということが実感です。そこに目を向けずに農業融資は0.1%だと批判するのは自己矛盾だと思います。また、農協法改正で監査機構の外出しがあり、公認会計士監査が導入されると会計処理が金融庁ルールへと厳格化され、減損会計の問題も発生し「農業振興を高めれば高めるほど信用共済分離論という改悪に到達する」という、これも組織の自己矛盾が露呈することを危惧します。


◆生産体制の維持が課題

--TPP合意や農協改革を受けて現場では改めてどんな方向をめざしていますか。
 
 岸本 実際に儲かる農業というのは果たして実現できるのかと思いますね。アメリカやオーストラリアとまったく違う面積のなかでどれだけ規模拡大をしても限度があるわけで、逆に規模拡大によって経営が立ち行かず耕作放棄地が増えることにならないかと思います。 われわれのJA管内では現在、86法人まで立ち上がっており、まもなく100を超えると思います。これは各地域での集落営農組織が法人化したものでJAも出資しています。そういう意味では農家組合員にかねてから協同意識があって他県に先駆けて集落営農組織がいち早く立ち上がったと思います。米麦と大豆の生産はこうした組織化によって機械の無駄をなくすなどトータルコストの削減につながっていると思います。そういう取り組みへの目線が今回の議論には欠けていると思います。
 また、われわれの管内は「近江牛」というブランド牛の発祥地でもあり、現在「ウシラボ」という近江大中肉牛研究会が立ち上がっており、この若い後継者の「芽」を摘むような関税撤廃・削減を断固阻止する運動を拡大する必要があります。


◆消費者起点の農業とは

--今の議論のなかではたとえば肥料の種類が多く非効率ではないかと問題視されています。

 岸本 農業者の所得増大プロジェクトとしてBB(バルク・ブレンディング)肥料の活用による土壌に応じた施肥や農薬など農業資材の大型規格化によるコストダウンを柱にした取り組みを進めます。
 農地の条件は地帯によって違う。しかし、その地帯ごとではロットをまとめてコストダウンを図ろうというのがオーダーメードBB肥料の提案です。これは消費者からおいしい米を食べたいという要望があるからで、われわれもそれに応えるよう競争に勝っていかなればならないからです。そのために土壌診断を行い、その土地にあった肥料をみんなでまとめて使って生産しようということです。生産と同時に販売面からもそれがいちばん消費者に喜んでもらえる農業だということになるわけです。
 JAグリーン近江管内だけでも琵琶湖の周辺干拓地、平野部、そして中山間地域と農地の条件が違う。画一的に生産ができるわけではありません。除草剤でもその土地で生える草の種類が違うから、当然、草の多いところはコストがかかります。
 消費者起点の農業に変えていくといいますが、滋賀県には琵琶湖があります。だから農業者は琵琶湖を守ろうというなかで肥料や農薬を厳選し農業をしてきました。それは消費者起点の農業であり、逆にコスト削減ありきで肥料や農薬を選ぶようになってしまえばまったくどういう結果になってしまうのか。
 一昨年、政府の規制改革会議が農協改革を議論したとき、われわれはいち早く問題を整理して組合員に投げかけ、15支店で2回の会合を開いて延べ33会場、158名の組合員から農協改革で農協の求められていることを何かを整理した。営農経済事業の強化はもちろんですが、組合員とJAとのつながりの強化、地域との結びつきの強化などを組合員が重視していました。
 われわれは毎日が農協改革であって大上段に改革をするぞと構えてやるものではないと考えています。日々の事業活動において「農業と地域社会に全力を尽くす」こと、さらに「正・准組合員と顔の見える信頼関係を築く」展開が農協改革だと思っており、組合員に意見を聞いてそれを反映させていくことだと思っています。
(写真)JAグリーン近江 岸本幸男代表理事理事長

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