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特集:農業協同組合研究会 第14回研究大会

2018.05.25 
【農協研究会・第1報告 米価下がれば需要増える】熊野孝文・(株)米穀新聞社記者一覧へ

・農業協同組合研究会 第14回研究大会

(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏(農業協同組合研究会・第14回研究大会) 米の現物取引は相互に信用が求められるため現在は会員同士で売り買いを行っており、そのひとつである日本コメ市場は日々の取引以外に年8回程度全国3か所(東京、大阪、福岡)で一斉に取引会を開催している。売りメニューは東京で集約して大阪、福岡にファックスで文書を流すという方法だ。成約結果が公表されるまでに時間がかかるが、米の場合、取引条件が複雑なことから、結局はこうした方法で行われている。
 このほか卸業者が20・30社集まって行う席上取引会もあり、そのひとつに千葉穀類連絡協議会が主催し毎年8月に開かれる新米取引会がある。全国から米穀業者50社ほどが参加する取引会で例年2万俵程度が成約し、新米価格の指標となる。
 大阪堂島商品取引所で試験上場されている先物取引は価格変動のリスクヘッジとなり、将来の価格が分かるというメリットがある。ちなみに5月11日の取引結果で新潟コシの先物価格をみると29年産は不足していたため8月限も1万7000円台と高値になっているが、30年産新米を受け渡しできる10月限からは1万5000円台に下がっている。これは30年産は生産量が増えると市場が見ているということだが、この時期に生産量の一部でも10月に売る契約をすれば所得の一部は確定することになる。
 一方、足元の米需給では4月に異変が起きた。新潟コシ以外の各産地銘柄が値下がりした。なかでも秋田あきたこまちは60kg1万5000円割れとなった。家庭用で秋田あきたこまちの売れ行きが鈍ったことなどが要因だが、それは特売ができなかったからだといわれている。米の価格が上がると消費が減少する。
 米穀機構が公表している調査では、中・外食の米消費量は昨年4月から今年2月まで前年同月を下回った。2月は対前年9.2%減である。
 精米価格が1kg20円値上がりするとおにぎり1個1円のコスト増になるが、値上げできないと年間1800万円の収益減になるとある中食業者は言う。シャリの大きさを売りにしていた回転寿司チェーンは米の値上がりでシャリを減らした。それだけで消費量は10%減少する。
 米菓業界では原料の4割を米以外にし、米はMA米を利用している。弁当業者のなかにはご飯をやめてパスタ弁当にしたなどという話もある。
 米の消費が減っている事態をそのままにしていていいのだろうか。食生活が多様化しているというが、価格が安ければ需要はどんどん増える。
 30年産米は多収品種の作付け増加で増産傾向。国内の米需要を大切にすることが必要で加工用米、業務用米が求められている。輸出も焦点だが、価格がやはり問題になる。60kg7000円水準での輸出が実現できるかどうかだ。

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 ※第二、第三報告は5月28日(月)以降に掲載します。

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