農薬:現場で役立つ農薬の基礎知識 2013
【現場で役立つ農薬の基礎知識 2013】[19]営農に役立つJA全農の農薬基幹品目(水稲編)2013年12月10日
1.特別重点推進品目
2.重点品目
3.系統育成品目
4.その他重点品目
5.大型規格設定品目
JA全農では、効果が優れ、低コスト・安全・省力などの利点があり、農家の営農に役立つ農薬を基幹品目として位置づけ、普及推進に取り組んでいる。基幹品目の中でも特に事業推進上重要と位置付けられる品目を特別重点推進品目、重点推進品目、系統育成品目として設定し、さらにコスト削減に寄与できる大型規格も設定しているので、以下に紹介する。
1. 特別重点推進品目
◆MY-100とAVH-301混合剤
基幹品目の中でも特に重要な品目で、系統主導で品目推進を図る品目を選定している。
水稲除草剤分野では、全農の共同開発品目であるMY-100(オキサジクロメホン)と、AVH-301(テフリルトリオン)の混合剤を特別重点品目として設定した。
テフリルトリオン(AVH-301)は、全農とバイエルクロップサイエンス(株)、北興化学工業(株)が共同開発した除草剤であり、本格上市3年目に当たる平成25年、「エーワン」「ゲットスター」「ボデーガード」の3剤が全国13万haの水田で使用された。AVH-301は、SU抵抗性雑草を含む一年生雑草や多年生雑草や、全国的に増えているイボクサ、アシカキといった特殊雑草に高い効果を持つことが評価されている。
また、ヒエ剤との2種混合で既存の一発処理剤と同等以上の性能があるので、特別栽培での使用にも適している。25年度はAVH-301を含む新規除草剤として「コメット」が上市された。26年度も引続き特別重点品目としてさらなる普及拡大を目指す。
そのほか特別重点品目に選定された品目はオキサジクロメホン(MY-100)の混合剤が中心である。これは全農がバイエルクロップサイエンス(株)と共同開発した除草剤であり、ヒエに対する高い効果と残効性が特徴である。
(表をクリックするとPDFファイルにリンクします。)
◆現場ニーズに合わせラインナップを充実
現場のニーズに合わせて選択できるようラインナップも充実しており、AVH-301との混合剤である「エーワン」、ピラクロニル・ピラゾスルフロンエチル、およびベンゾビシクロンとの4成分混合剤で安定した効果と残効性が特徴の「シリウスエグザ」に加え、平成25年度からピリミスルファン、ベンゾビシクロンとの3成分混合剤であるである「ナギナタ」、ピラクロニル、イマゾスルフロンとの3成分混合剤である「サラブレッドKAI」が加わった。コナギ、アゼナなどのSU抵抗性雑草や多年生難防除雑草に効果が高く、移植時処理にも適した剤である。
◆低コスト化を図る殺虫殺菌剤
水稲殺虫殺菌剤では、長期残効型で高い効果を示す「嵐プリンス箱粒剤」、「デジタルコラトップアクタラ箱粒剤」や、育苗箱で処理して小型カメムシまで効果を示す箱処理剤の「デジタルメガフレア箱粒剤」を設定している。いずれも大型規格もラインナップしており、低コスト化を図ることができる。
(表をクリックするとPDFファイルにリンクします。)
2.重点品目
基幹品目の中で、大型かつ全国的な品目で、事業推進上特に重要な品目を選定している。
水稲用の農薬としては、除草剤の中後期剤では、「ワイドアタックSC」、「フォローアップ1キロ粒剤」に加え、26農薬年度から新たに「テッケン1キロ粒剤」が加わった。箱処理剤では「Dr.オリゼプリンス箱粒剤」、「フルサポート箱粒剤」、種子消毒剤の「テクリードCフロアブル」などが設定されている。
3.系統育成品目
全農の試験等を通じその効果や作物への安全性が確認されている品目で、防除上必須の品目であり、系統主導で普及推進を図りたい品目を選定している。
ヒエだけでなくオモダカ等の広葉雑草にも効果のある除草成分ピラクロニルを含む「ピラクロン」、「バッチリ」、本田カメムシ防除剤である「スタークル1キロH粒剤」、「キラップ粒剤」、微生物種子消毒剤の「タフブロック」などがある。
いもち剤イソチアニル(商品名「ルーチン」、「スタウト」)剤では、低コスト剤である「ルーチンバリアード箱粒剤」がある。
いずれも、大型品目に成長する見込みのある品目として選定されており、効果が高く、既に現場で普及されている品目もある。
4.その他重点品目
その他全農の重点品目としては、ウンカに効果の高いチェスとチョウ目害虫に効果の高いフェルテラ剤の混合剤である「デジタルバウアー箱粒剤」がある。
また、初期除草剤である「メテオ1キロ粒剤・フロアブル」は、AVH-301剤などの一発処理剤との体系処理により、低コストで安定した効果が期待できる。
5.大型規格設定品目
全農では、担い手農家支援のひとつとして、通常の規格よりも割安な「大型規格」を設定している。大型規格を使用することにより、単位面積あたりの防除コストを引き下げ、省力化を図ることもできる。
平成26農薬年度も主力の除草剤、箱処理剤で大型規格を設定している。除草剤の粒剤や水稲箱処理剤の10kg規格(1ha相当)や、除草剤フロアブルの2L規格(40a相当)が主流であるが、ジャンボ剤の30a相当規格や、「デジタルコラトップアクタラ箱粒剤」および「デジタルメガフレア箱粒剤」の3kg規格(30a相当)など一般農家でも使用しやすい規格もある。
「嵐プリンス箱粒剤」など播種同時処理のできる箱処理剤の10kg規格は、大規模農家や大型育苗センターなどで機械処理に利用され好評である。
なお、大型規格は地域によって取り扱いが異なるので、まずは最寄りのJAでお問い合わせいただきたい。
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