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農薬:現場で役立つ農薬の基礎知識 2014

【現場で役立つ農薬の基礎知識 2014】[5]大豆の病害虫・雑草防除のポイント(宮城県古川農業試験場)2014年5月19日

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【害虫】
・マメシンクイガの生態と被害
・フタスジヒメハムシの生態と被害
【病害】
・茎疫病
・紫斑病
【雑草】
・土壌処理型除草剤
・茎葉処理型除草剤

 今回は、宮城県古川農業試験場に、大豆の防除についてまとめていただいた。大豆の病害虫の発生は地域によって異なるので、防除対策は地域での発生状況に合わせて組み立てる必要があることを留意してください。

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【害虫の防除対策】

◆宮城県における主な害虫

 大豆を加害する害虫は種類が非常に多く、防除の対象となる重要種は地域によって異なる。宮城県の場合、主に着莢期以降に発生する子実害虫が問題となる。以前はダイズサヤタマバエ、マメシンクイガ、カメムシ類が重要視されていたが、近年はマメシンクイガとフタスジヒメハムシによる被害が問題となっている。

◆マメシンクイガの生態と被害

マメシンクイガの幼虫と子実被害 日本全土に分布するが、発生や被害は寒冷地で多い。東北以北では年1回発生する。土中で越冬した幼虫は夏を越して蛹化する。8月中旬から9月中旬にかけて成虫が現れ、莢の表面に産卵する。幼虫は莢内部に侵入して子実を食害し、老熟すると莢から脱出して土の中で越冬する。
 幼虫に食害された子実は、機械による形状選別で概ね除去できるが、被害粒が多い場合は減収につながる。輪作ほ場では被害が少ないが、連作ほ場では被害が増大する。これは、成虫の移動性が低く、発生したほ場で主に繁殖しているためと考えられている。

(写真)
マメシンクイガの幼虫と子実被害

 

◆フタスジヒメハムシの生態と被害

 体長4mm程度の小さな甲虫で、黄褐色の背面には1対の黒い縦線がある。大豆の発芽期ごろに越冬後の成虫が現れて葉を食害する。産卵は地際の根部やその付近の土に行う。幼虫は土の中に潜って根に着生した根粒を食害し、老熟すると土繭を作って蛹になる。宮城県では年2世代を経過し、第1世代成虫は開花期の7月下旬?8月上旬、第2世代成虫は8月下旬?9月上旬に盛期となる。
 成虫は若い葉を好んで食害するが、実害に至ることは少ない。一方、莢を食害すると糸状菌の侵入によって子実に黒点が生じた黒斑粒や白いカビに覆われた腐敗粒が発生する。特に、黒斑粒は色彩選別機でも完全に除去することが難しく、製品への混入が問題視されている。マメシンクイガとは違って作付け年数との関連性は低く、初めて作付けするほ場でも多発する場合がある。これには、成虫の飛翔移動が関係していると考えられている。

◆効率的な防除

 マメシンクイガに対する殺虫剤散布は、莢内部への幼虫の食入を防ぐことが狙いであり、適期は産卵盛期からふ化盛期である。産卵盛期は成虫発生盛期とほぼ同時期であり、成虫の発生消長の把握は防除時期の決定に役立つ。近年、フェロモントラップが実用化されたので、産地におけるモニタリングに利用されることを期待したい。本種の防除薬剤は種類が多いが、なかでもピレスロイド系のシペルメトリン乳剤やペルメトリン乳剤、ジアミド系のクロラントラニリプロール水和剤で高い防除効果が確認されている。
莢を食害するフタスジヒメハムシ  フタスジヒメハムシには、ネオニコチノイド系のチアメトキサム水和剤の種子塗沫処理が有効である。この処理は、発芽期に発生した成虫を防除することで次世代以降の発生を間接的に抑制し、結果として子実被害を軽減する方法である。ただし、殺虫効果が消失した子実肥大期以降に周辺からの成虫侵入が起こった場合には、ピレスロイド系のシペルメトリン乳剤やネオニコチノイド系のクロチアニジン水溶剤等による追加防除が必要である。
 子実被害と作付け年数との関連性は両種間で異なるので、作付け年数によって防除の重点対象を決定する。作付け3年目まではマメシンクイガの被害が少ないのでフタスジヒメハムシに重点を置く。作付け4年目以降は両種が防除対象となるが、より大きな被害になりやすいマメシンクイガに重点をおいて薬剤や防除時期を選定するとよい。なお、チアメトキサム水和剤の種子塗沫処理は、堆肥等の有機物を投入した場合に発生しやすいタネバエや、吸汁加害により早期落葉を引き起こすジャガイモヒゲナガアブラムシに対しても予防的な対策となる。

(写真)
莢を食害するフタスジヒメハムシ

 

【病害の防除対策】

◆宮城県における病害防除

 大豆には様々な病害が発生する。発生する時期や症状も異なるが、病害によっては一度発生すると収量や品質にも影響が生じてしまうため、病害の予防が重要となる。大豆病害の予防、防除には排水対策や連作を控えるなどの耕種的防除と、化学農薬を用いる薬剤防除があるが、今回は主な大豆病害の薬剤防除について取り上げる。

◆茎疫病

 大豆の発芽時から生育全期間を通じて問題となる病害では茎疫病があげられる。土壌伝染性の病害で水を媒介して感染するため、多湿条件下で多発する。り病すると立枯れ症状を引き起こして枯死に至る。発病箇所は主に地際部のため、これまでの防除方法はシアゾファミド水和剤等の茎葉散布剤が中心だったが、近年はチアメトキサム・フルジオキソニル・メタラキシルM水和剤などを用いた種子塗沫処理による予防防除が普及してきている。

◆紫斑病

ダイズ紫斑病の被害粒(左)と健全粒(右)  茎疫病は大豆そのものを枯らしてしまう病害だが、病害にかかることで子実の品質低下をもたらす病害もあり、その代表的なものが紫斑病である。紫斑病はり病すると子実のへそを中心に紫色の斑紋が生じ、この斑紋が生じた子実は被害粒となる。紫斑病は種子伝染性病害であることから種子への薬剤処理が有効であり、これまではチウラム水和剤が代表的な種子塗沫剤であったが、前述のチアメトキサム・フルジオキソニル・メタラキシルM水和剤が紫斑病にも有効であることから、茎疫病と紫斑病の同時防除が可能となった。また、紫斑病は大豆が開花してから20?40日の時期に最も感染しやすいことから、ほ場で薬剤による防除を行う場合にはこの時期に1?2回の薬剤散布を行うことが効果的である。使用する薬剤はチオファネートメチル水和剤やベノミル水和剤などのベンゾイミダゾール系殺菌剤が一般的であったが、近年ではこれら薬剤の耐性菌が発生していることもあり、イミベンコナゾール水和剤やアゾキシストロビン水和剤等の異なる作用機作の薬剤が中心となってきている。しかし、これら薬剤においても耐性菌の出現には注意が必要である。

(写真)
ダイズ紫斑病の被害粒(左)と健全粒(右)

 

【雑草の防除対策】

◆宮城県における問題雑草と雑草防除の基本

 宮城県における大豆作で主に問題となる雑草は、アメリカセンダングサやオオイヌタデ、シロザ、ホソアオゲイトウ、イヌホオズキ類等であり、近年、一部の地域では帰化アサガオ類やアレチウリ等の外来雑草も問題となっている。
 大豆の雑草防除には除草剤による化学的防除と中耕培土等による耕種的防除があるが、ここでは除草剤による防除について取り上げる。
 大豆の除草剤による雑草防除では、土壌処理型除草剤と茎葉処理型除草剤が用いられ、中には土壌処理効果と茎葉処理効果を併せ持つ剤もある。また、それぞれに広葉雑草対象の剤、イネ科雑草対象の剤、広葉・イネ科の両方に効果がある剤があるので、ほ場で発生する雑草の種類と剤の特徴を把握し、効果的な剤を選択することが重要である。

アメリカセンダングサ(左)とシロザ(右)の芽生え

(写真)
アメリカセンダングサ(左)とシロザ(右)の芽生え

◆土壌処理型除草剤

 土壌処理型除草剤は主に大豆播種後?出芽前に使用するものがほとんどであり、宮城県においては、リニュロン水和剤やフルミオキサジン水和剤、ジメテナミド乳剤、ジメテナミド・リニュロン乳剤、アラクロール・リニュロン乳剤等が普及している。土壌処理型除草剤の効果は、基本的に土壌表面の砕土が良く、適度に湿っている場合が最も高い。よって、除草剤の効果を十分に得るためには、処理条件を整えることも重要である。なお、フルミオキサジン水和剤は、近年問題となっている帰化アサガオ類やアレチウリに対しても比較的高い効果があることが確認されている(ただし、多発条件では土壌処理型除草剤のみでの防除は難しく、他の防除手段との体系防除が必要)。

◆茎葉処理型除草剤

 茎葉処理型除草剤は、耕起前?大豆出芽前の時期に使用するものと大豆生育期に使用するものがある。また、草種に対して選択性を持つものと非選択性のものがある。
 耕起前?大豆出芽前に使用する剤としては、グリホサートカリウム塩液剤やグルホシネート及びグルホシネートP液剤、グリホサートイソプロピルアミン塩・ピラフルフェンエチル水和剤等の非選択性除草剤がある。
 大豆生育期に使用できる剤には、全面茎葉処理できるものと大豆の畦間(または畦間・株間)に使用するもの、雑草に塗布処理するものがある。
 全面茎葉処理可能な剤は選択性のものが主であり、広葉対象としてベンタゾン液剤が、イネ科対象としてセトキシジム乳剤やキザロホップエチル水和剤等が普及している。ベンタゾン液剤は、雑草の葉齢が大きくなると効果が劣り、また、大豆の生育が進むと大豆自体の茎葉に妨げられ、雑草に薬液がかかりにくくなることから、宮城県では大豆の葉齢が3葉程度の比較的早い時期に散布することを推奨している。
 なお、近年、非選択性のグリホサートカリウム塩液剤(48%)において、大豆の落葉終期から収穫14日前までの時期に全面処理可能となった。
 大豆の畦間(または畦間・株間)に使用する剤としては、リニュロン水和剤やDCMU水和剤、グリホサートカリウム塩液剤、グルホシネート及びグルホシネートP液剤等があり、乗用管理機による散布の場合は、つり下げノズル等の専用の防除器具を用いて散布する必要がある。このうち、リニュロン水和剤、DCMU水和剤は土壌処理効果と茎葉処理効果を併せ持っている。
 また、近年は大豆の着莢期から収穫7日前までの時期に、グリホサートカリウム塩液剤(44.7%)の2倍希釈液を雑草茎葉に専用器具を用いて塗布処理する技術も開発され、大豆生育後期の手取り除草に替わる防除手段として普及しつつある。

 このように大豆の雑草対策は、多様な処理時期及び方法が可能となっているが、雑草の多発ほ場においては、単独の技術のみでは防除が困難であり、耕種的防除手段も組み合わせながら体系的に防除する必要がある。


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