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農薬:現場で役立つ農薬の基礎知識 2014

【現場で役立つ農薬の基礎知識 2014】[13]IPMの継続的な取り組みのために2014年12月4日

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JA全農肥料農薬部技術対策課

・被害程度を管理し、適切な防除法を実施
・病害虫・雑草が発生しにくい環境を整える
・防除が必要か判断する
・有効な手段を組み合わせて防除を
・適期に的確な防除の実施を

 化学的な防除だけではなく、耕種的防除・物理的防除・生物的防除を組合わせて農作物の被害を少なくするIPMが提唱されて久しい。すでに積極的に取り組んでいる産地も多いと思うが、改めてIPMの継続的な取組みのためのポイントをJA全農肥料農薬部技術対策課にまとめていただいた。

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ほ場で実施可能な
方法を組合わせて

◆被害程度を管理し、適切な防除法を実施

効率的で環境負荷の少ない防除で安定した収穫を(※写真はイメージです)

 IPMとは、総合的病害虫・雑草管理(Integrated Pest Management)の略称で、その目的は病害虫による農作物被害を防ぐとともに、人の健康へのリスクや環境負荷を最小限にすることにある。つまり、化学合成農薬(以下化学農薬)を必要以上に使用して病害虫・雑草を撲滅するのではなく、病害虫・雑草による被害程度を管理するとともに、経済性も考えながら適切な防除法を実行することがIPMの基本的な考え方である。
 防除を化学農薬に頼りすぎると、耐性菌や抵抗性害虫等の発達、また土着天敵の減少などによって防除が困難になることがある。そこで化学農薬を活用しながら物理的防除資材や生物資材、耕種的防除などを取り入れ、効率的で環境負荷が少ない防除を行うことがIPMの実践につながる。
 病害虫・雑草の防除においては、総合的に防除対策を立てていくことが重要である。その際にポイントとなるのが「予防」、「判断」、「防除」の3つである。

(写真)
効率的で環境負荷の少ない防除で安定した収穫を(※写真はイメージです)

◆病害虫・雑草が発生しにくい環境を整える

 病害虫が発生しにくい環境を整える基本は、健全な種子や苗を確保すること、バランスのとれた土づくりに努めること、病害虫の発生源を除去することである。また抵抗性品種・台木の利用、輪作などの対策もある。
 種子消毒や定植時の薬剤施用、水稲育苗箱処理剤の使用は、栽培初期の被害予防につながる。病害虫の発生が多い時期からずらして栽培することも有効である。
 害虫防除では、シルバーマルチや黄色粘着板などの設置で害虫密度を下げることができる。また、ハウス周りや畦畔の雑草は害虫の生息地となるので、雑草防除をしっかり行うことにより、害虫の発生を抑制することができる。

◆防除が必要か判断する

 病害虫・雑草の発生を確認せずに慣例にしたがって薬剤を散布すると、労力・経費が無駄になったり、環境負荷が大きくなったりする場合がある。地域の発生予察情報などを参考にして、圃場の病害虫の発生状況を事前に把握することが重要である。また、どのくらい病害虫が発生したら農作物の品質・収量等に影響が出てくるか確認するために、都道府県が作物・病害虫ごとに作成している「要防除水準」などを参考にして防除要否を判断する。

表1 IPM体系に活用できるおもな防除方法・技術
防除の種類 具体的方法
耕種的防除
(生態的防除)
病害虫・雑草が常発しない圃場の選定・作付、圃場環境の整備(pH調整、排水、高うね)、周辺の雑草管理、植生管理、抵抗性台木の利用、抵抗性品種の導入、被覆植物、輪作(連作回避)、剪定、中間宿主の除去、栽培時期の選定、適地適作、適正施肥、有機物施用(肥料効果)、植物の他感作用利用など
物理的防除 手取り、機械除草、生物利用(カルガモ,コイ、ヤギなど)、マルチによる抑草、熱による病原菌や線虫などの防除(太陽熱消毒、蒸気消毒、熱水消毒など)、紫外線消毒、塩水選、有機物施用(土壌物理性改善)、雨よけ栽培、耕うん、光反応を利用した防除(光反射マルチ、紫外線不透過フィルム)、粘着紙、黄色蛍光灯、マルチ資材の忌避効果利用(べたがけ資材)、防虫ネットなど
生物的防除 天敵昆虫(捕食性昆虫、寄生性昆虫など)、天敵線虫(昆虫寄生性線虫、微生物捕食性線虫など)、拮抗生物、弱毒ウイルス、微生物農薬、生物産生物質(フェロモン、産生毒素、抽出物など)
化学的防除 化学農薬を使用(殺虫剤、殺菌剤、除草剤など)

◆有効な手段を組み合わせて防除を

 IPM体系では、化学農薬とフェロモン剤や天敵などの生物農薬、その他の防除方法・技術(表1)をうまく組み合わせて体系的な防除を行うことが重要である。病害虫の発生が多くなると防除が困難になるので、こまめに圃場を観察し、発生初期段階のうちに対策を講じる。

【天敵】
 天敵を導入する場合は、害虫が多すぎると防除が困難になるので、導入前に化学農薬によって害虫の密度を低下させ、導入後は天敵に影響の少ない薬剤を選んで防除する。
 気門封鎖剤などを活用してアブラムシ、ハダニ等の密度を低下させることも有効である。
 フェロモン剤は交信攪乱によって害虫の性行動を阻害するので、部会などの取り組みとしてできるだけ広域で使用することにより高い効果を得られる。フェロモン剤や天敵は地域や圃場によって効果に差が出る場合があるので、普及センターなど地域の指導機関と相談しながら使用するとよい。

【微生物】
 微生物農薬は、作物に病原性のない微生物を作物上に定着・増殖させて病原菌の生息域や栄養を奪ったり、昆虫などに感染して病死させたりする性質を持っている。
 このため、効果を十分に発揮させるためには、微生物を上手に定着させ、薬剤の特性に合わせて使用することが重要である。
 なお、生物農薬は防除対象となる病害虫が限定されるので、生物農薬への影響が少ない化学農薬を併用するなどの対策が必要になる。

【物理的防除】
 物理的防除については、事前に資材の特性をよく理解し、作型に合わせた資材の選定、設置を行う。また、他の防除法との組み合わせで高い効果が期待できる。

◆適期に的確な防除の実施を

 全農で取扱のあるおもなIPM資材は表2の通りである。このほかにも例えば住友化学などからさまざまなIPM資材が出されている。
 防除の際、病害虫の発生が多いため化学農薬が必要であるにも関わらず、無理に化学農薬を削減すると被害を大きくすることもある。適期に的確な防除を行なうことが重要である。
 生物的防除や耕種的防除法は地域の条件や天候などの影響を受けやすく、防除効果が不安定になることがある。また、物理的防除法は、導入する機械や資材などによりコスト高となる場合もある。総合的な防除体系を進めていくには、それぞれの対策の特徴を理解し、圃場の現場で実施可能な方法を上手に組み合わせていくことがポイントになる。
 国や県のホームページにはIPM実践のための手法が紹介されているので、これらの情報も活用しながら、生産者、指導者、そして消費者を含めてコミュニケーションを図り、総合的防除への取り組みを進めていただきたい。

表2 全農で取扱のあるおもなIPM資材
(生物農薬または物理的防除効果のあるもの)
商品名 種類 主な取り扱いメーカー
エコピタ液剤 園芸殺虫・殺菌剤(気門封鎖) 協友アグリ
エコホープ
エコホープDJ
水稲種子消毒剤(微生物農薬) クミアイ化学工業
タフブロック 水稲種子消毒剤(微生物農薬) 協友アグリ
エコショット 園芸殺菌剤(微生物農薬) クミアイ化学工業
クリーンカップ
クリーンサポート
園芸殺菌剤(微生物農薬との混合剤) クミアイ化学工業
ボトキラー水和剤 園芸殺菌剤(微生物農薬) 協友アグリ・日本農薬
エコマスターBT 園芸殺虫剤(BT剤) クミアイ化学工業
コンフューザーなど フェロモン剤 協友アグリ・信越化学工業・サンケイ化学

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