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農薬:現場で役立つ農薬の基礎知識2015

【現場で役立つ農薬の基礎知識2015】水稲の種子消毒法のポイント2015年3月5日

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・種子消毒怠ると大きな被害が
・主な種子伝染性病害
・効果的な種子消毒法
・播種同時処理のできる剤
・低コストな大型規格
・播種同時処理をする場合の注意点

 暦の上では立春を過ぎ、春一番が吹き、農家のみなさんは今年のコメづくりの準備を着々と進められているころだと思います。そこで、田植えまでのこの時期に行う大事な防除である種子消毒と箱処理剤について、JA全農肥料農薬部技術対策課にまとめていただいた。

健全な苗を確保するための基本技術

 ◆種子消毒怠ると大きな被害が

 水稲の育苗期においては、播種密度が高い場合が多く、多湿となるため、種子伝染性病害が発生しやすい環境となります。
 種子伝染性病害の第一伝染源は、前年度の罹病種子であり、種子消毒を怠ると、大きな被害が発生します。種子消毒は、育苗期の種子伝染性病害を効率的に防除できる手法であり、健全な苗を育成することで安定的な生産につなげることができます。
 近年、種子消毒が不十分であることに起因する種子伝染性病害の発生が顕在化し始めており、再度、基本技術としての種子消毒の重要性を確認する必要があります。
 そこでここでは、種子消毒法およびその処理方法のポイントについて紹介します。

 

1.主な種子伝染性病害

 水稲の種子伝染性病害には、いもち病、ばか苗病、ごま葉枯病、もみ枯細菌病、苗立枯細菌病などがあり、地域によってその発生程度は異なります。
 特に、水稲の最大の病害であるいもち病は全国的に発生しており、また地域によっては一部殺菌剤に感受性低下が認められることから、種子消毒の徹底が重要な防除対策となっています。また、いもち病以外の病害については、地域や育苗方法によって発生する病害が異なりますので、対象となる病害を見極めて、適切な種子消毒法を選択する必要があります。これらの病害を予防するために、塩水選(※)などにより健全な種もみを選択するとともに、温湯消毒などの物理的防除法や、化学農薬や生物農薬といった種子消毒剤の使用により種子消毒を行います。

(※)塩水選:種もみの比重の差を利用して健全な種もみを選択する方法。種子伝染性病害に感染した種もみは、概して稔実が悪く、健全な種もみより比重が軽いことが多いため、うるち米は比重1・13(もち米は比重1・08)に調整した塩水や硫安溶液に種もみをつけ、沈んだ種もみだけを選択する。塩水選法を実施した後は、水洗いをして、種もみから塩分を除去する。

 

2.効果的な種子消毒法

 種子消毒を効果的に行うためには、それぞれの種子消毒法について、その特性を十分に理解する必要があります。

(1)温湯消毒

 温湯消毒は、60度前後の湯に種もみを10分ほど浸して、熱で病原菌を殺菌する方法です。
 温度管理が重要であり、温度を間違えると種もみの発芽率が下がることがあります。また、種もみ袋を使用した場合などでは袋の中心部まで熱が十分に行きわたらず、消毒が不完全となる場合があるので注意が必要です。
 効果を確実に得るには、湯の温度低下を防ぐために湯量を多くしたり、種もみ袋の中心部までを必要な温度に保つために、種もみ袋をよく揺すって湯水を袋の中心部に十分に浸透させたりするなどの工夫が必要です。また、温湯処理を実施した後は、発芽率の低下等を防ぐために、速やかに水で冷却します。

(2)種子消毒剤

 種子消毒剤は化学合成物資を有効成分とする化学農薬と微生物を有効成分とする微生物農薬に分けられ、浸漬処理、粉衣処理(スラリー処理)、吹付処理の3つの処理方法があります。いずれの方法も、種もみに潜んでいる病原菌に有効成分を十分に浸透させることが効果を発揮させるポイントであるため、農薬のラベルなどをよく読んで使用基準を遵守して使用する必要があります。
 微生物農薬は、病原菌より先に水稲に無害な微生物を増殖させることで、後からの病原菌の増殖を抑えることで効果を発揮させる処理方法です。微生物農薬は有機JASで使用可能な農薬に指定されています。また、特別栽培農産物では農薬の使用回数にカウントされないので、微生物農薬の活用により、防除計画を立てやすくなります。
 種子消毒剤は種類により防除できる病害が異なっているので、防除しなければならない病害を良く見極めた上で、現場の実情に合った最適な種子消毒剤を選び、その種子消毒剤の特性をよく理解し、効果的に防除することが重要です。また、種子処理後の廃液は適切に処理しましょう(決して河川等へは廃棄しないでください)。おもな水稲種子消毒剤は表1のとおりです。

表1 主要種子消毒剤一覧

(上の表をクリックすると、PDFファイルにリンクします。)

(3)新しい種子消毒法「サーモシード」

 現在、省力化や環境負荷低減につながる可能性のある新しい種子消毒技術として「サーモシード」が開発されています。
 「サーモシード」は、水稲や麦などの種子に高温蒸気熱処理を行うことにより、種子伝染性病害を防除する技術で、すでにヨーロッパでは実用化しています。日本では試験中の技術ですが、農薬を使用しないで消毒するので、農薬使用回数を低減できます。
 また、温湯消毒と比較すると、中の方にある種子まで熱が行き渡るので、確実な病害防除が可能といわれています。さらに廃液処理が不要なので、環境負荷も小さい技術です。現在各県の試験場やJA全農農薬研究室で試験を行っており、ばか苗病・いもち病・もみ枯細菌病などへの効果が確認されています。

 

播種同時処理でらくらく散布
適期を逃さず  確実に防除


 長期残効型の水稲育苗箱処理剤は、その省力性と効果の安定性が評価され、普及率は年々増加しています。特に近年は、生産者の高齢化や近隣に住宅地が増えたことなどにより、本田防除の実施が困難な状況も多くなっており、育苗箱処理による防除の重要性が高まっています。また、防除適期を逃さず確実な防除が可能である、という点も大きなメリットです。
 しかしながら、最も多忙な田植時期に、育苗箱に薬剤を処理することは水稲農家にとっては負担の大きい作業です。そこで、箱処理剤の省力的な処理方法のひとつとして普及しているのが播種同時処理です。
 播種同時処理のメリットは、多忙な田植えの時期に箱処理剤を散布する手間がかからないことと、均一な散布ができることです。特にいもち病防除においては、散布ムラがあるといもち病の発生源となるため均一な散布が不可欠ですが、播種時処理であればそれが可能となります。また、剤によっては、育苗中の病害防除の効果が期待できるものもあります。

 

◆播種同時処理のできる剤

 播種同時処理は稲がもっとも敏感な時期に処理するため根張りが悪くなるなどの薬害が発生しやすく、使用できる剤は限られていましたが、最近では製剤の工夫などにより播種同時処理の登録をもつ剤が増えてきました。
 殺虫剤では、プリンス剤、スタークル剤が播種同時処理可能ですが、アドマイヤーCR剤、ダントツ08剤など、含量と製剤の工夫により播種同時処理を可能にした剤も増えています。また、フェルテラ剤はチョウ目および甲虫目の害虫に効果の高い新規の殺虫剤で、残効性も長い。
 殺菌剤で播種同時可能な剤として、嵐剤、イソチアニル(ルーチン・スタウト・ツインターボ)剤があります。嵐剤は播種同時処理により育苗期間中の苗いもち病防除が期待できます。また、本田で発生するも紋枯病にも効果があります。また、播種同時専用剤として、オリゼメート剤の播種同時処理剤は「ファーストオリゼ」という名称で、ブイゲット剤の播種同時処理剤は「アプライ」の名称でそれぞれ販売されています。また、紋枯病に効果があり、播種同時処理が可能な殺菌剤としてペンフルフェン(エバーゴル)剤が登場しました。
 これらは多くが殺虫剤と殺菌剤の混合剤として、表2(最底部)にある剤が市販されています。

 

◆低コストな大型規格

 これら播種同時処理は、農協の育苗センターや大規模農家などで利用されることが多いです。そこで、播種同時処理剤では、通常の1kg規格よりも大型の10kg規格包装が販売されているものがあります。これらはスケールメリットで低コストとなっており、生産資材のコスト低減に寄与しています。

 

◆播種同時処理をする場合の注意点

 播種同時処理をする場合には、剤によって処理できる時期が異なるので、まず適用内容をラベル等で確認します。播種時覆土前に処理するもの、床土混和できるものなどがあります。
 また、薬剤を処理した苗をハウス等で育苗する場合、散布した農薬が育苗時の土壌にしみこまないように注意する必要があります。特に、水稲育苗後のハウスで他の作物を栽培する場合には、後から栽培した作物に影響することがあるので、育苗箱の下に不浸透性のビニールシートを敷くなどの対策を講じたいです。

  ×  ×  ×

 生産者の省力化に寄与する箱処理剤は、今後もいっそう普及するものと思われます。
 なかでも播種同時処理が可能な剤の種類も増えており、さらに普及もすすむでしょう。
 各現場でも多様なラインナップからニーズにあった剤を選択し、うまく使用していただきたいと思います。


表2播種時処理できる主な長期残効型の箱処理剤

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