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会社ぐるみの不正行為と断定 全農 太平物産「調査報告書」2015年12月15日

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 JA全農は、12月11日に太平物産の肥料製造における不正行為について記者会見を行ったが、その際、外部弁護士による「調査報告書」も公表した。

 この報告書は、五味祐子、池田晃司の両弁護士(国広総合法律事務所)に全農の食品品質表示管理・コンプライアンス部、肥料農薬部のメンバーが加わった「調査チーム」が、太平物産の工場4カ所、工場事務所、本社(秋田)および東京本社の現地調査、関係資料の検証、役職員や元役職員31名へのヒヤリングなどを行いまとめたもの。
 これらの調査を行ったうえで調査チームは、「本件不正行為は、『工場だけの問題』にとどまらず、経営陣が関与した会社ぐるみの不正行為と言わざるを得ない」とし、消費者、生産者、取引先、JAなどに与えた影響は大きく、「このような事態を引き起こした太平物産の責任は重大である」と断定している。
 調査チームは、太平物産製造の777銘柄について調査した結果、問題のある銘柄が697あり、その内訳は、「配合割合の変更」が697銘柄、「記載されいない原材料の使用」が308銘柄、「保証成分切れ」が106銘柄(重複あり)となっており、「問題なし」は、調査銘柄の10.3%、80銘柄しかなかった。
 本来は登録・届出した設計の内容を変更する場合は、肥料取締法に基づいて変更手続きをしなければならないが、太平物産は、変更手続きをせず、勝手に変更した「工場設計・製造指示書」に基づいて肥料製造し、包材には登録・届出通りの原材料・保証成分量などが記載された生産者保証票を添付して、全農に販売していた。
 五味弁護士は記者会見で「工場事務所の棚には『本設計』と書かれたファイルと『工場設計』と書かれたファイルが並べて置かれており、不正行為が常態化していたのではないか」と述べている。
 工場長経験者などのヒヤリングでは「工場長就任時には、本設計(登録・届出されたもの)が変更された工場設計・製造指示書が存在していた」ので「それを引き継ぎ製造指示を行った」。さらに工場長就任後の新規銘柄については「工場長自身または工場長代理等に指示して本設計を変更して工場設計・製造指示書を作成し、製造指示を行った」という。
 また、工場長から常務取締役に就任した人物も、常務就任後も「各工場で不正行為が行われていることを認識していたにもかかわらず、一切是正せずに放置し、黙認していた」という。また、昭和49年に同社に入社して営業畑を歩き、取締役、専務を経て平成26年から取締役会長となっているC会長は「不正行為について認識していなかった」と述べているが、調査チームは調査結果から「何らかの形で本件不正行為を認識していたとの疑いは払拭できない」とした。
 このほか、26年から社長に就任しているB氏や管理部門全般を所轄し、情報部門管理責任者であるE氏もC会長と同様の証言をしているが、調査チームは「何らかの形で本件不正行為を認識していたとの疑いは払拭できない」としている。
 こうした不正行為がいつから行われていたかは明確ではないが、「客観的な資料、記録」による裏付けがあるのは、平成6年11月(関東工場)からだが、ヒヤリングなどでの証言からみると昭和63年4月頃(関東工場)から開始されてていたと「強く推認される」という。
 なぜこうした不正行為が行われるようになったのか?
 工場長経験者などのヒヤリングからは、▽製造上発生する悪臭対策、▽固結防止対策として固結防止剤の変更、使用料の増加その他溶けやすい尿素を減らし硫安を増やすなど原材料の変更、▽ペレットの造粒性を改善するための原料の変更や使用が認められていない原料の投入など、「製造上の問題解決策としての設計変更」と、その設計変更されたものを歴代工場長が「前例の踏襲」をしていたことにある。
 そしてヒヤリングを受けた役職員は一様に、「工場は原料価格の交渉、決定等に関与していない、コスト意識もなかった」と述べ、「納期に間に合わせることを考えていた」としている。
 そして調査チームは、営業優先の社風から「工場長らは納期最優先の意識が強く働き、製造指示書の作り替えによる設計変更という、その場しのぎの対応を常態化させたと考えられる」としている。
 また「全ての工場長経験者は、特別栽培や有機JAS規格についての知識はなく、有機原料割合の変更そのものについては問題意識をもっていなかった旨を述べている」が、同社では「工場への教育、研修が全く行われていなかった。すなわち、コンプライアンス教育、研修も、肥料メーカーとして必ず習得すべき肥料取締法、特別栽培農産物に係る表示ルール、JAS法等に関する基本的な教育、研修も全く行われていなかった」。
 そのため「不正行為の重大性を認識することができず、また、製造と納期順守を優先して根本的な解決策を取らずに、慣例と称して本件不正行為が漫然と引き継がれてきたものと考えられる」という。
 なお、現在、秋田県警によって、同社の不正競争防止法違反および全農に対する詐欺罪の疑いで捜査が行われているという。
 12月11日の記者会見で、全農の山﨑周二常務は「設立以来の取引があり、信頼していた会社であり、このようなことが起き本当に残念だ」と述べたが、本紙の取材でも東北の多くのJA関係者が「信頼して使っていたのに、残念だ」と語っており、この事件の傷は深いといえる。

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