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農業の発展を支えた植物防疫事業
植防50周年 環境と調和した多様な技術開発を

安全防除を事業の柱に
  JA全農肥料農薬部長 松永公平

 植物防疫事業が50周年、病害虫発生予察事業が60周年を迎えられたことに心より敬意を表します。
 さて、JAグループは、昭和30年代に協同組合運動の原則にもとづいて、予約を基本とした組織活動としての全利用共同計算運動によって農薬事業に取組み始めました。以後、いくつかの変遷はありましたが、農業生産資材事業の重要な柱として今日にいたっています。
 そうしたなか、昭和46年の安全防除運動開始以来、全農は一貫して安全防除の推進を農薬事業の主要な柱として取組んできています。この運動の推進母体として養成してきた防除指導員は、今年9月現在で1万4750名に達しています。

 安全防除運動はその後、その時々の状況にあわせて名称も取組み内容も変遷してきましたが、常に「生産者・農産物・環境」の”3つの安全”を掲げてきています。
 この間、正しい知識の普及や保護具の開発・普及などに努め、散布者の事故件数を着実に減らしました。
 また、農薬適正使用防除暦実証圃場の設置と残留分析による安全性の実証、有毒ガスの発生しないプラボトルへの容器の切替え、飛散の少ない剤型や防除技術の開発・普及など環境に配慮した取組みでも一定の成果をあげてきました。

 最近は、農薬や防除に対して、マスメディアの比較的偏った情報によって世論形成が進むなか、生産者自らが適正な防除を実践している事実を消費者に伝えていく必要性を感じ、消費者への広報活動にも積極的に取組んでいます。
 その1つが、生産者が作物ごとに使った薬剤、使用濃度、使用量、収穫日などを記録し、収穫した農産物の安全性に自信を持って保証していく「防除日誌記帳運動」です。この運動をバックアップするために営農・技術センターに農産物安全検査室を新設し残留農薬分析を本格的に行っています。
 この運動は現在、生産現場からの自発的運動へ昇華して、販売部門と連携した「安心野菜」に取組むなど拡大を目指しています。

 今後はさらに防除の必要性と農産物の安全性について消費者に正しい知識を広める取組みを強めるとともに、持続性の高い農業生産方式に対応した防除技術の普及推進、農薬容器の適正処理など環境問題への取組みをいっそう強化していきたいと考えています。

 農薬は日本農業にとって必須の生産資材です。これを適期に適量を決められた方法で使用するためには、正確な病害虫の発生予察が不可欠です。そうした意味でも、各都道府県の病害虫防除所との連携をいままで以上に強めていく必要があると考えています。



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