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今年産ステビア米を発売
神明などが契約栽培を本格化して
「味」と「健康」などをアピール
(12/5)

 ハーブの一種ステビア草のエキスで土壌を改良して作る「ステビア米」の本格的な契約栽培に乗り出した米卸(株)神明(神戸)と、菅原精米工業(株)(宮城県中新田町)がダイエー、ジャスコなど量販店の一部店舗で今年産の販売を始めた。

ステビア農法による稲の根の張り具合を示す(株)ステビアアグレインズ(神明と菅原による新会社)代表ら=5日、東京・食糧会館での発表会

 JAなどとの契約栽培の産地は全国19道県。品種は「きらら397」や魚沼コシヒカリなど約20銘柄。
 神明の契約分は2600tで、うち半分が山形県・JA庄内みどりの「はえぬき」。これと他産地のコメをブレンドした「ステビア栽培米あかふじ」を5kg2480円程度で販売する。
 菅原精米分は600tで「ひとめぼれ」の単品では3000円程度となる。
 5日の発表会では「低価格志向に応えるコメは、あまりおいしくない。だから消費量が減る。消費拡大を目ざして今後は卸会社としても、おいしいおコメを作り、育てていきたい」と神明の藤尾益造・東京支社長はステビア米の味のよさと高品質を強調した。

 ステビアは南米パラグアイ原産のキク科植物で、茎から採った発酵液が、土壌の中の農薬や化学肥料の残留有害物質を減らし、有用な微生物を活性化させる。
 有機肥料だけでは地力の回復が遅いが、ステビアとたい肥を組み合せて使うと効果が早くなる。そして有機度を高めていく。
 使用法は田植の前に粉末を土に埋め、生育後には液体を葉に散布する。資材コストは10a当たり年間1万1300円。
 「今年は稲刈り時期の長雨による倒伏が多かった東北で、ステビア農法の田は一ヵ所も倒れなかった」と菅原精米の菅原武寛専務は報告し、根がよく張るという特徴を示すなどして、健康な稲の育ち具合と土づくり効果を強調した。

 ステビアの持つ豊富なミネラル分や抗酸化力は、コメだけでなく野菜などの味も良くし、収量を増加させ、また日持ちが良くなるため「青果物でもステビア栽培が埼玉などで増えている」と東京築地青果鰍フ高橋利尚取締役は語った。
 ステビアパワーの秘密は天然抗酸化作用で、緑茶に含まれるカテキンの5倍。コメの場合は品質の劣化が遅くなり、またアレルギーのもとであるアレルゲンの生成を抑えるなどという健康食品でもある。

 なお各JAでもステビア農法の導入を積極的に計画している。普及は宮城県や北海道が目立つ。ステビア草は農林省が天然甘味料として約30年前に試験栽培を始めたのが日本での活用のスタートとなった。



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