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井上喜(株) (株)宮崎温泉堂商店との合弁会社設立を断念
3月に新会社「ベルデ九州」(仮称)を発足

 九州をおもに基盤とした農薬卸商の雄、井上喜(株)(井上良弘社長)は、(株)宮崎温泉堂商店との間で協議を進めていた合弁会社設立を断念した模様だ。農薬需要の低迷のなか、農薬卸商の合併再編の難しさを改めて露呈したといえる。

 この計画は、同社のアグロ事業部門を分社・独立させる目的で、2000年10月から、(株)宮崎温泉堂商店と三井物産(株)との間で、新会社を設立すべく鋭意検討を重ねてきたもの。その結果、合弁会社設立構想はほぼまとまり、資本金1億円で資本構成を(株)宮崎温泉堂商店70%、三井物産(株)10%、井上喜(株)20%とする新会社「(株)シンヨウ」をこの3月にも発足させる見通しができていた。役員体制もほぼ固まっていたといわれる。
 しかし、関係者によると井上喜(株)と(株)宮崎温泉堂商店では、「企業理念に大きな相違がある」ことから、結局、最終合意に至らず井上喜(株)としては計画を断念せざるを得なくなったという。

 今後、同社は、引き続き三井物産(株)の支援は受けるが、新たに日本農薬(株)他の支援も受けながら、3月に新会社「ベルデ九州」(仮称)を発足させる予定だ。新会社は、同社アグロ事業部門の従業員で構成する組織の主体的な運営とする方針。この方向で、当初の分社・独立計画を実現することになる。

 今回の構想が空中分解したのは、「商社主導」で業界再編を進めようとしたことに原因があるとする関係者は少なくない。農薬の販売は、ユーザーへのコンサルタント機能、アフターケア体制の整備などが求められる世界だ。しかし、商社はいわゆるディーリング機能は充実していても、その他の機能は十分とはいえない。新会社構想が頓挫したのも「そこが原因」とある関係者は明かす。
 当初の構想は破綻したものの、日本農薬(株)の主導で改めて新会社構想がまとまった。メーカー主導の計画によって、井上喜(株)の懸案は実現されることになった。業界再編は商社主導ではなく「メーカーの使命感」で進められるべきとする日本農薬(株)の理念が貫かれたとはいえるだろう。ただし、農薬業界を取りまく環境が厳しいなか、日本農薬(株)は、新たな「自己責任」を引き受けたことになる。  



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