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積極的な拡販施策を展開
全社的な効率化で好決算

― 日産化学工業 ―

 日産化学工業(株)(藤本修一郎社長)はこのほど、『平成13年3月期決算短信(連結)』を公表したが、継続的な新製品の開発、新規市場の開拓など拡販施策の展開を積極的に図るとともに、生産性の向上、物流の効率化、経費削減等のコストダウンについても全社を挙げて取り組み、好決算をあげた。
 当期の売上高は1,360億7,000万円と、前期に比べ62億9,800万円、4.9%の増収となり、経常利益も101億4,200万円と、前期に比べ28億8,300万円、39.7%の増益となった。また当期純利益は43億8,000万円で、前期に比べ28億6,100万円、188.3%の増益となった。なお、国内での売上高は1,114億6,200万円、輸出は246億800万円となっている。

◆伸長著しいマイトコーネ
 農業化学品分野全体では微減(部門別概況)

 【化学品事業】
 〈化学品機能製品分野〉
 基礎化学品については、国内での販売数量は減少したが、輸出販売の増加と市況の好転により増収となった。主要製品では、アンモニア、硝酸、硫酸等の工業薬品類が、長引く不況による需要の停滞により販売減となった。ただ、メラミンは販売量が堅調に推移したことに加え、海外市況が回復したことにより増収となった。
 また、機能製品は、電子材料関連製品がパソコンや携帯電話需要の拡大、半導体の増産を背景に大きく伸長したことをはじめ、総じて順調に推移し、増収となった。主要製品では、「スノーテックス」(電子材料用研磨剤、各種材料用表面処理剤等)、「ARC」(半導体用反射防止コーティング材)、「サンエバー」(液晶表示用材料ポリイミド)、「テピック」(封止剤用等特殊エポキシ)、「DAR」(スーパー繊維原料)などの販売量が増加した。
 この結果、当分野での売上高は773億8,800万円と、前期を55億9,200万円上回った。
〈農業化学品分野〉
 国内市場では、減反政策や大手外資メーカーの農薬直販による競争激化等、引き続き厳しい環境下で推移した。農薬では、11月に「マイトコーネ」(ダニ剤)の新規上市を行い、販売も順調に伸ばすことができた。また、主力の「シリウス」(水稲用除草剤)も市場が縮小する中で売上を増加させることができたが、ゴルフ場向け緑化事業は減収を余儀なくされた。
 海外市場では、米国での流通段階での在庫調整がほぼ完了し、遺伝子組み換え作物の普及も一段落したことから、主力製品の「タルガ」(畑作用除草剤)、「パーミット」(とうもろこし用除草剤)などの販売が回復した。一方、欧州では天候不順や菜種、甜菜の作付け面積が減少したことから「タルガ」の販売が影響を受け、アジアでも中国、東南アジアなどで価格引き下げの圧力が強く苦戦を強いられた。なお、肥料分野では売上は減収となったが、コストダウンに大きな成果をおさめている。
 この結果、当分野の売上高は449億1,800万円と、前期を5,300万円下回った。
 〈医薬品分野〉
 当期の医薬品業界は、医療制度改革を背景とした医療費抑制策の浸透、業界再編の進展などに加え、昨年4月に実施された2年ぶりの薬価改定もあり、厳しい環境下で推移した。この状況のなかで、「ランデル」(血圧降下剤)は40mg錠の伸長により増収となった。しかし、前期下半期から吸入麻酔剤(笑気ガス、イソフルラン)の販売を化学品機能製品部門へ移管したことに加え、開発中の高脂血症治療薬に関わるロイヤリティ収入も減少したことから、当分野の売上高は17億7,000万円と、前期を3億3,800万円下回った。
 この結果、化学品事業全体での売上高は1,240億7,600万円と、前期を52億円上回った。
 【その他の事業】
 造園緑化工事や環境調査分析などの市場は、公共関連事業削減による受注競争の激化や受注単価の下落などの影響を受け、依然として厳しい状況が続いた。この様な状況のなか、当事業での売上高は119億9,400万円と、前期を10億9,800万円上回った。

◆次期の連結売上高は1,440億円
 131億円の設備投資へ(次期の見通し)

 今後の見通しについて、同社グループでは国内の景況が急速に回復することは難しく、欧米景気の後退、輸出市場での競争激化、さらに原材料価格の上昇や半導体・液晶関連メーカーの設備投資の減速なども懸念され、引き続き厳しい状況で推移するものと予想している。
 この情勢下、化学品機能製品分野では、メラミンの輸出市況が回復傾向にあることや、電子材料関連製品の伸び率が鈍化するものの引き続き販売は高水準で推移することが、売上拡大に寄与するとしている。
 一方、農業化学品分野では、「マイトコーネ」の販売が好調なことから、主力の「シリウス」とともに国内販売の牽引役となることが期待される反面、海外では「タルガ」の低迷などから販売は同水準で推移するものと想定している。
 また、医薬品分野では今秋に高脂血症治療薬の上市が予定されていることから、これに伴うロイヤリティとともに大きく売上が伸びると予想している。
 なお、ナフサ市況については現状レベルでの価格推移を、また為替については上半期は1米ドル115円、下半期は1米ドル110円を前提とした。
 次期の連結設備投資については、主に電子材料関連の研究開発の拡充や、生産基盤の整備を進めるとともに、全社基幹システムの一新を図っていく方針であり、年間で131億円を見込んでいる。
 これらにより、次期の業績見通しとして、連結売上高1,440億円、連結経常利益115億円、連結当期純利益65億円を想定しており、いずれも当期の水準を上回る見通し。

分野別売上高予想
  14年3月期 13年3月期
化学品事業 化学品機能製品 808 774
農業化学品 468 449
医薬品 44 18
小計 1,320 1,241
その他の事業 120 120
合    計 1,440 1,361



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