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アグリビジネス業界ニュース

「米の精」を用いた稲作り
JAつくば 現地見学会を開催
― 東洋精米機製作所 ―

雜賀 慶二氏
雜賀 慶二
(株)東洋精米機製作所 社長
 
飯村 功氏
飯村 功
JAつくば市筑波 組合長
 
吉田 義男氏
吉田 義男
(有)サンワイズ 社長
 簡便で美味しく環境に優しい米、というコンセプトが消費者に支持され、BG無洗米の普及が急伸している。業界では、無洗米が主食用米(現在、600万トン弱が主食用米として流通・消費)として消費される割合は、2〜3年後には2〜3割に及ぶものとみられており、近々、年間100万トン以上の無洗米が流通・消費されるものと思われる。
 BG無洗米は、糠で糠を取り除く加工がなされるが、その際に大量の糠が排出される。それを産業廃棄物ではなく、有機肥料として再活用できる様に加工されたものが「米の精」だ。
 従来、米糠にはチッソ、リン、マグネシウム等の有効成分が多いことは解っていたが、油脂分等のせいもあり、酸化・劣化が早く飼料や肥料には用いられなかった。
 それをトーヨーでは、加熱処理等によって品質を安定させ、「米の精」の名称で製品化し販売している。
 この「米の精」を稲作の肥料として活用しているJAがある。茨城県のJAつくば市筑波(飯村功組合長)がそれである。77haに及ぶ広大な圃場で「米の精」を使った良食味米の生産に取り組んでいる。
 JAつくば市筑波では、平成9年、4人の生産者が86aの圃場で、全国に先駆けて「米の精」を用いた稲作(コシヒカリ)の試験栽培に挑戦、慣行農法の米を上回る高品質米の生産に成功した。
 本年度は、82名の生産者が76.7haで「米の精」を活用した稲作を展開、1万2,800袋(30kg袋)の米が収穫される見込みだ。

 現地見学会が開催された8月21日は、台風の接近もあり、予定を変更して先に実践圃場で「米の精」だけを肥料に用いたコシヒカリの生育状況を視察した。
 現地で(有)サンワイズの吉田義男社長(「米の精」活用農法の創始者・指導者)より、稲の茎が太く穀粒が大きく、根張りが良く倒伏しづらい特性があり、安全で良食味の米となる、優れた稲の栽培について説明があった。
 JAつくば市筑波本所の会議室で行われた説明会では、(株)東洋精米機製作所の雜賀慶二社長が挨拶し「近年無洗米の普及も進んできたが、水質を守るには米のとぎ汁に含まれるリン、チッソを水に流さないようにしなければならない。それと同時に田畑から流れ出るリン、チッソをなくしたい。BG無洗米製造の過程で産出される<米の精>は、優れた肥料であり、それを稲作に用いると安全で美味しい米ができるし、有機栽培でも収量が減らない。化学肥料では田畑からリン、チッソが流出するが、<米の精>はリン、チッソが土中に残留し流出しない。それは私が求めてきた稲作だ」と語った。
 JAつくば市筑波の飯村組合長は「筑波山の花崗岩風化土壌と筑波の水が、美味しい筑波北条米を作る。米には美味だけでなく、新鮮、安全、生産者の顔が見える、環境に良い等さまざまなものが求められる。消費者の求めている米とは何か、を模索していたところ<米の精>を使った稲作に出会った。今年の米はとりわけ品質が良いようだ。是非とも消費者に、<米の精>を肥料にして作った美味しい筑波北条米を食べてもらいたい」と述べた。
 続いて(有)サンワイズの吉田義男氏が「<米の精>を使った米づくり」について講演した。吉田氏の話は次のような内容である。
 「人間の健康を作るのは農産物だが、不健康な土からは不健康な作物しかできない。なによりも土作りが基本となる。ぬか漬けは健康に良いが、田をぬか床に、の連想からBG無洗米の副産物である糠の加工品<米の精>を田に入れてみようと思った。
 <米の精>や土等を餌として微生物が繁殖し、各種の有機成分を作り、やがて自ら分解してアミノ酸、脂肪酸、糖分、ミネラル等を大量に放出する。こうして土壌は急激に肥沃化し、美味しい米をみのらせる。
 稲作では、30〜35日をかけ中苗を育成し、5月10日頃田植えをする。元肥に<米の精>を使用し、追肥はやらない。株は1坪50株(慣行60株)で、光が株下に充分当たるようにする。
 田から収穫された米の副産物を、田に還元するのが理想であり、化学肥料を用いた稲作は考え直す時期に来ている。
 実際には、<米の精>を主原料として、それにナタネ・大豆カスを混ぜた有機質肥料を施肥するが、10aあたり1万円=200kgであれば、コスト的には、慣行農法と比較しても合うだろう」等。
 「米の精」を使った実践圃場には、「減農薬減化学肥料栽培米生産圃場,JAつくば市筑波最良食味米生産部会」等と書かれた看板の後ろに、間もなく収穫の時期を迎える自慢のコシヒカリ・筑波北条米の稲穂がこうべを垂れていた。

実践圃場の稲 米糠を加工した「米の精」
実践圃場の稲 米糠を加工した「米の精」


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