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アグリビジネス業界ニュース

産地形成をも脅かす
無登録化成品の排除を
― 全農薬・安全協―

全国農薬協同組合
鈴木昭二理事長

 全国農薬協同組合(鈴木昭二理事長)及び全国農薬安全指導者協議会(中村外志郎会長)は11月21日、東京都港区の虎ノ門パストラルにおいて、それぞれ『第36回通常総会』及び『第24回全国集会』を行い、全ての議案を承認したが、本年は「無登録化成品」の問題に終始した。
 先ず、全国農薬協同組合の決算概況を見ると、共同購買事業の取扱高は9億2079万円で、前年比1億565万円の大幅な減収(90%)となった。この内、主力のジマンダイセンが588トン、前年比72トン(8500万円)の減少で、全体の減少の81%を占めている。摘果作業や高温・少雨が影響した。
 また、5年目を迎えた日本道路公団高速料金別納制度事業は、期末現在62社の組合員に利用されているが、現在では組合事業の柱の1つに成長し、着実に実績を伸ばしている。
 さらに、不動産賃貸事業は、今期2531万円の収益となり前年を若干上回った。ただ、テナントの出入が続いており次年度もテナント募集が必要となり、空室期間が極力ないよう努力していく方針。
 なお、安全協活動においては行政機関をはじめ各関係団体との緊密な連携を保ち、安全協県幹事、正会員を中軸として、特別会員、賛助会員(メーカー)の支援のもと安全使用推進運動を引き続き実施している。
 これらの結果、共同購買事業の大幅な減収があったものの、他の各事業がそれぞれ昨年より増益できたことと、物流費を含む経費の削減(716万円減)に鋭意努力したことが大きく、当期利益は1833万円となり前年比313万円(21%)の増益となった。

 一方、全国農薬安全指導者協議会では、これまでの事業方針に加え「運動方針」を構築したことが指摘できる。農薬取扱者に対しては農薬安全使用基準等に定められた使用時期、使用方法等の遵守徹底をはかり、また一般消費者に対しては農薬の安全性、有用性、並びに正しい知識の普及、さらに組合員自身には農薬の物流における安全性確保のための危機管理を徹底していく。
 新規の事業方針としては、農薬安全推進運動の推進の中で「無登録農薬に関する情報提供及び対策」を挙げた。農薬工業会及び関係団体と連携して無登録農薬に関する情報を提供し、同時に安全の担保されていない無登録農薬を安易に流通している状況に深く留意し、これらの流通の是正も含め、安全の確保に努めていく。
 今回の通常総会及び全国集会は、「無登録化成品」に問題が終始した。そもそも「農薬」は農薬取締法により農薬登録を取得したもののことを指しており、「無登録農薬」の言葉の存在自体がおかしく、筆者は「無登録化成品」の問題としたい。
 この問題は北海道をはじめ各県で顕在化したが、最終的に産地形成までも脅かすことを忘れてはならないだろう。敢えて、シンジェンタ ジャパン(株)が「プリグロックスL」において、無登録化成品の排除を謳う全農薬ルートを採用したことを高く評価したい。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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