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アグリビジネス業界ニュース

激震! 奥の細道
波紋呼ぶ「アスカム」買収
― カネコ種苗 ―


 種子等の生産販売、花卉園芸用品・農薬・農業資材の販売を手掛けるカネコ種苗(株)(金子才十郎社長、本社:群馬県前橋市)は9月6日、(株)アスカム(細田進社長、本社:宮城県仙台市)の農薬販売事業を買収すると発表した。全国制覇を狙う同社戦略の一環だが、業界に波紋を呼ぶのは必至。
 国内農薬業界はいま、減反政策の拡大や安価な輸入農産物の急増による農産物価格の低迷により、防除機会の減退から需要の縮小を余儀なくされている。また、流通面においては、外資系メーカーを中心とする直販攻勢やホームセンター及び大型量販店の進出により販売競争が激化している。
 医薬品の販売を主業とし農薬販売事業を兼営する(株)アスカムの農薬は、東北地方の宮城県・山形県を販売エリアとしており、カネコ種苗(株)にとってはこの地域にやや弱かった販売力を補完することができ、今後は販売力の強化、営業効率の向上及び顧客ニーズへの対応拡充を図ることができる。
 今回の買収は、果樹に強い商系卸として「明らかに果樹王国山形県への進出・拡充が狙い」(業界通)と見る向きもある。地元には山米商事(株)、山形日紅(株)などの有力卸が軒を連ねていることから、「草刈り場になる可能性があり、まさに”激震! 奥の細道”になる」(同)という。
 カネコ種苗(株)は、戦略的に全国広域展開をはかっている。最近では、5月21日に農薬卸売業を営む岩渕農薬(株)(岩渕健二社長、本社:千葉県佐倉市)との包括的な業務提携を発表したが、これは関東ブロックを一挙に取り込むことを狙ったものといえる。
 今回の(株)アスカムの買収による相乗効果は5〜7億円(平成15〜16年)が見込まれており、約200億円強と国内最大級農薬卸商の地位を不動のものとする。業界は、「カネコ種苗(株)は、次に約30億円規模の卸商の取り込みがある」と見ており、今後の展開が大いに注目される。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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