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アグリビジネス業界ニュース

減少深まる農薬需要
生き残り戦略に本腰を

―農薬工業会―


浅野浩康統計部会長
業績発表する浅野浩康統計部会長(バイエルクロップサイエンス(株))
 農薬工業会(山本佳彦会長、80会員)は11月15日、『平成14農薬年度出荷概況』(平成13年10月〜平成14年9月末)を公表した。
 それによると、本年度の農薬出荷実績は、数量で25万8000トン(前年比92・2%)、金額で3353億円(同93・6%)となり、数量、金額ともに、かなりの減少となった。農薬市場は縮小傾向にあり、行政および業界は生き残りへの可能性に本腰を入れて探る時を迎えたといえる。
 使用分野別での前年比増減を見ると、数量、金額ともに全て減少した。特に水稲、果樹、その他の減少が大きい。また、種別での前年比増減でも、数量、金額ともに全て減少している。さらに、剤型別動向では、その他剤の金額がわずかに増加したほかは、全て減少した。
 本年度の特長としては、まず、春先から高温、少雨のため、水稲の斑点米カメムシ類、果樹のカメムシ類、野菜・花きのハスモンヨトウなど害虫の発生が多く見られた。また、水稲一発処理除草剤ではフロアブル剤、ジャンボ剤、顆粒剤が伸長し、一層の省力・軽量化が進んだ。さらに、箱処理剤は単剤が減少し混合剤への移行が進んだものの、普及率、実処理面積ともに前年を下回っている。
 なお、病害虫の発生状況を見ると、警報では水稲斑点米カメムシ類1件、果樹のカメムシ類4件、ミカンキイロアザミウマ1件となっている。また、主な注意報を見ると水稲いもち病17件(13県)、水稲斑点米カメムシ類34件(29県)、果樹カメムシ類35件、野菜・花きハスモンヨトウ9件、麦類赤かび病7件、野菜・花きオオタバコガ8件、となっている。
 現在、外資系企業を中心に利益および研究開発費を確保・吸収できないことから業界再編が固まりつつある。また、国内企業においても生き残りをかけ再編に着手している企業もあるが、「国内の業界再編はこれから」(業界通)の声は強く、農薬産業活性化のためにも行政および業界とも生き残りへの可能性に本腰を入れて模索すべき時を迎えたといえる。
農薬出荷数量・金額の推移


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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