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アグリビジネス業界ニュース

2006年売上高は540億円に
今秋から「営業本部」体制へ

―バイエル クロップサイエンス―


ローレンス ユー社長
ローレンス ユー
社長
 バイエル クロップサイエンス(株)(ローレンス ユー社長、本社:東京都港区)は2月13日、東京都港区高輪のホテルパシフィック東京に報道関係者多数を集め、バイエル クロップサイエンス(株)誕生までの歩みと、今後のビジョンの一端を披露した。
 同社の前身は、1941 (昭和16)年1月にバイエル社の資本と技術提携により日本特殊農薬製造(株)として創設された。以来、農作物の病害虫防除に優れた多くの殺菌剤および殺虫剤を導入・開発し、戦後の食糧増産に多大な貢献を果たしてきた。
 1985(昭和60)年には「トクチオン」、「モンセレン」、「アドマイヤー」、「イノーバ」などを創生・開発した研究所を茨城県結城市に移転(結城中央研究所)し、モンハイム研究センター(独)、バイエルリサーチパーク(米)とともにバイエルAGの世界3大農薬研究拠点の1つとして重要な役割を果たしている。
 また、創立50周年にあたる1991(平成3)年には日本バイエルアグロケム(株)と改称し、その翌年には防府工場(山口県防府市)に粒剤・水和剤などの最新鋭の製剤設備を更新し製造体制を拡充している。
 新会社誕生までの動きを見ると、バイエル社が2002(平成14)年6月にローヌ・プーラン社とアグレボ社の合併からなる世界的農薬会社アベンティス クロップサイエンス社を買収し、同年10月1日にバイエル クロップサイエンス社を分社化したことを受け、日本バイエルアグロケム(株)は同年10月1日にバイエル クロップサイエンス(株)と改称、同年12月1日にはアベンティス クロップサイエンス社と塩野義製薬(株)が合弁設立した日本法人アベンティス クロップサイエンスシオノギ(株)を統合した。
 会見で、ローレンス ユー社長は「農薬市場における主導的地位の構築」、「環境に配慮した付加価値性の高い農薬開発」、「顧客満足度の向上」、「社会倫理の遵守」などを骨子としたバイエル クロップサイエンス(株)の基本理念をアピールした。
記者会見より(右は舟橋社長室長)
記者会見より(右は舟橋社長室長)
 同社の2002年度の全売上高は、488億円(オキサジクロメホンを含まず)となっている。農薬直接販売の陣容は札幌17名、仙台23名、東京32名、名古屋14名、大阪28名、福岡19名の総計133名におよび、260億円(全売上高に対する比率は53%)の売上高を確保している。今後の展開として、2003年には5%アップを目指し、2006年には540億円の売上高を見込んでいる。
 新規剤の開発状況を見ると、2003年は殺ダニ剤「スピロジクロフェン」、除草剤「オキサジアゾン」、2004年は除草剤「オキサジアルギル」、殺虫剤「エチプロール」、さらに2005年は殺菌剤「フェンアミドン」が登場する予定。
 なお、現在の農薬営業体制は、バイエル製品を扱う「農薬営業1部」とアベンティス製品を扱う「農薬営業2部」で構成されているが、今秋には「営業本部」体制として1本化を目指している。
 【解説】
 主に、世界の農薬企業は増大する研究開発費の吸収および利益向上を狙い合併・再編を重ねてきた。国内において、外資系企業ではバイエル クロップサイエンス(株)、シンジェンタ ジャパン(株)、BASFアグロ(株)が凌ぎを削るが、「バイエル クロップサイエンス(株)が1歩、2歩リードしている」(業界評)。これに対抗できる国産メーカーは、「住友―三井―武田連合くらいか」(同)の評価に、他企業はどのように対応していくのか注目される。 (2003.2.21)
主要農薬メーカー2001年売上高
バイエル クロップサイエンス(株)の売上構成と販売目標


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