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アグリビジネス業界ニュース

米を傷めず、食味が低下しない画期的な「米の空気輸送装置」を開発
―東洋精米機製作所―


 (株)東洋精米機製作所(和歌山市・雑賀慶二社長)では、これまでの空気輸送の常識をうち破った「米を傷めず、食味を低下させない」という画期的な「米の空気輸送装置」を開発した。

説明する雑賀慶二社長

説明する雑賀慶二社長

 これまで米の搬送には、明治時代から昇降機やスクリューコンベアが用いられてきた。当時、これらの搬送機器には、大量に米が残留するのは常識であった。さらに昇降機には、バケットの高速回転により米粒が叩きつけられ、これにより、砕粒米が発生し食味低下が生じていたことに気付かず、これらの設備が用いられてきた。
 同社では、早くからこうした問題に着目し、すでに昭和57年に「米の傷みをなくし、食味を向上させる」「米の残留をなくす」というこれまでの常識を打ち破る画期的特長を持った搬送機「エレコン」を開発、発表している。この「エレコン」の登場は、他社の追随もあり、従来型の精米プラントの形態を一変させるものであった。
 コンタミ問題への対応が急がれている今日、米粒や糠ぼこりの残留しない機器及びシステムの導入は避けられない状況にあるが、その中で空気輸送は、▽米粒や糠ぼこりが残らない▽目的箇所までの搬送経路が自由になる▽スペースを取らない▽搬送時間が短いため、ロット切換時のロスタイムが少ない、などの特長があることから、導入を検討する事例が増えてきた。
 ところが、空気輸送は他産業では早くから用いられてきたが、米穀業界で浸透しなかったのは、「米粒が傷む」「膨大な設備費がかかる」という問題があったからだ。高速で搬送する空気輸送では、サイクロンなどにぶつかる時に受ける米粒の傷みをなくすのは不可能だった。
 そこで、高速搬送による米粒のダメージと、それによる食味の低下という空気輸送の致命的な欠陥を解決し、このほど画期的な米専用の「空気輸送装置」を開発した。これは、エレコン開発以来の精米工場を一新させる技術革新であると同社では自負している。

従来の空気輸送装置 トーヨーの空気輸送装置
従来の空気輸送装置
トーヨーの空気輸送装置

 同社には、搬送時の衝撃により、米肌にどの程度のダメージがあったかを測定する、独自開発のダメージ値測定装置」があり、このダメージ値により、食味への影響度を知ることが出来た結果、「空気輸送装置」の開発に結びついたものだ。
 この「空気輸送装置」は、年内に増設工事を施工する同社のトーヨーライスセンター関東工場及び、同福島工場に設置を予定している。

(2003.10.30)

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