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年度末は3200億円台前半に 平成15年6月度の農薬出荷
―農薬工業会―


 農薬工業会(多田正世会長)は8月12日、『平成15年6月度農薬出荷概況(第3四半期)』を発表した。それによると、出荷は数量19万7000トン(前年比9000トン減、95.7%)、金額2700億円(同103億円減、96.3%)と数量、金額ともに減少した。
 7月に入り、葉いもち、九州などの西南暖地でセジロウンカ、トビイロウンカ、コブノメイガなど海外飛来性害虫の発生が指摘され、適用薬剤に動きがあったとみられるが、空散の減少など6月末までの減少を残り3カ月間の実績でカバーすることはできず、年度末実績は3200億円台前半で確定する公算が大きい(本紙推定)。
 平成11年度(100%)からの5カ年の年次推移を見ると、数量では2%〜16%の幅で減少しており、金額では13年度まではほぼ横這い傾向で推移してきたが、14年度より減少に転じている(表)。

5カ年間の年次推移
5カ年間の年次推移

 その要因としては、水稲での1キロ剤、ジャンボ剤などによる軽量化、箱処理用混合剤の普及による本田散布剤の減少、経営健全化を目的とした流通段階での在庫圧縮などが大きく影響している。加えて、今年度は近年の農産物の安全性への関心の高まりによるトレーサビリティの厳格化・使用回数の減少、適用外使用の罰則法制化などの複合要因が考えられている。
 使用分野別で見ると、分類なしの金額がわずかに増加したほかは、数量、金額ともにすべての分野で減少した。特に、野菜畑作(数量94.9%、金額93.7%)での減少が大きい。また、種別では、除草剤の数量、金額、分類なしの金額がわずかに増加したほかは、数量、金額ともにすべて減少した。特に、野菜畑作の殺虫剤(数量90.4%、金額88.7%)、果樹の殺菌剤(数量83.6%、金額91.2%)の落ち込みが大きい。
 今期の特徴として、水稲箱処理剤は、数量で対前年比91.0%、金額で97.5%と減少したが、作付け面積比は101.0%と増加した。面積比の増加は、一般粒剤の減少、アドマイヤー、ウィンアドマイヤーなどの顆粒水和剤の増加が影響していると考えられる。
 また、水稲一発処理除草剤では、すべての剤型で数量、金額、面積換算で前年を下回った。特に、フロアブル剤(数量89.1%、金額88.8%)の減少が大きい。ただし、水稲除草剤全般として初期剤の健闘が指摘できる。エリジャン、ソルネットのプレチラクロール(有効成分)剤などでの大規模生産農家による体系処理が主な要因と見られる。
 さらに、野菜畑作における殺虫剤が大きく減少(数量90.4%、金額88.7%)しているが、これは主にD−Dなど線虫剤の減少が響いている。

(参考)

参考:円グラフ1 参考:円グラフ2


(2003.8.18)

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