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殺ダニ剤の「ケルセン」 惜しくも40年の歴史に幕
《ダウ・ケミカル日本》


 ダウ・ケミカル日本(株)(神永剛社長、本社:東京都品川区)は3月22日、殺ダニ剤として40年以上の歴史をもつ「ケルセン」(商品名)の販売中止を発表した。安全性が高く、しかも抵抗性がつきにくいことからミカンやお茶農家を中心に多くのファンに囲まれていた。
 「ケルセン」の販売中止は、同剤の工業用途を目的とした試験の中で、新たに環境への影響が懸念される報告が発表されたことを受けたもの。環境への懸念を払拭するためのデータを再構築するには、膨大な経費および時間が必要となる。
 同社では、事業継続の経済性および昨今の農薬を取り巻く厳しい状況を考慮し、同剤の事業撤退に踏み切った。また、市場での混乱を避けるため、3月中旬から自主回収を流通経路より開始している。
 世界40カ国以上で農薬登録されている「ケルセン」。その安全性には定評がある。わが国でも農薬取締法で認められた殺ダニ剤の1つであり、使用基準に沿って使用する限り高い安全性が確保されている。
 平成15年度の「ケルセン」の出荷数量を見ると、水和剤84トン、乳剤61キロリットルとなっている。販売メーカーからも「殺ダニ剤と言えばケルセンと呼ばれ、ミカン農家を中心に広く愛用されていた」(S社)、「淋しい限りだ。これほど使い勝手のよい殺ダニ剤はなかった。総合的に見て、代替剤はなかなかないのでは」(N社OB)と、「ケルセン」を惜しむ声が強い。 (2004.3.24)



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