農業協同組合新聞 JACOM
   
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環境新規事業をスタート 廃ガラスびんをリサイクル
《矢崎総業》

挨拶する矢崎裕彦会長
挨拶する矢崎裕彦会長
 矢崎総業(株)(本社・東京都港区、矢崎信二社長)では、環境分野の新規事業として、リサイクルできずにゴミとして廃棄処理されているガラスびんから多孔質軽量資材「スーパーソル」を製造する「廃ガラスびんリサイクル事業」を10月16日より開始すると、9月29日、千代田区大手町の経団連会館において記者発表を行った。会場には矢崎総業の矢崎裕彦会長、同社・松本博輔常務、(株)ソルテクニカ・小林正孝常務が出席し、環境新規事業のコンセプト、事業の概要等を説明した。
 記者発表会の冒頭、矢崎会長は、創業以来の社是である「社会から必要とされる企業」に触れ、「環境問題は、次の世代に素晴らしい地球号を、どう受け継がせられるか、という問題に関わってくる」と環境問題の重要性を述べた。
 また「同社のワイヤーハーネス等の事業部門は労働集約型産業だが、そうした労働部門は、世界に出していく。そうすると日本においては、産業の空洞化・雇用の減少という問題が発生する。そこで従業員の雇用対策として、介護事業、環境保全事業、サービス事業を立ち上げた。廃ガラスびんリサイクル事業はその一環」だと、基本的考え方を語った。 
人口軽石「スーパーソル」
人口軽石「スーパーソル」
 現在、日本では年間195万トンのガラスびんが使用されているが、その内の86万トン(44.1%)はリユースやリサイクルされずに埋め立て処分されている(ガラスびんリサイクル促進協議会調べ)。中でも着色びんは、砕いても色が混じり合うためガラス原料としては再利用できず、ほとんどが廃棄物として処理されているという。
 廃ガラスびんリサイクル事業は、(株)トリムが開発した、廃ガラスびんを粉砕し発泡再固溶化させた人工軽石「スーパーソル」の製造技術を導入して立ち上げるもので、(株)ソルテクニカが製造を担当し、矢崎総業(株)が販売する。
 (株)ソルテクニカは静岡県西部の自治体から年間2000トンの廃ガラスびんを回収し、それを原料に8000立米の「スーパーソル」を製造、当面は道路工事用資材として立米当たり1万4175円(消費税込み、運賃別)で販売する。
 また今年12月からは、園芸用軽石「スーパー軽石エコパミス」(1袋14リットル588円・税込み)の製造も開始し、ホームセンターや園芸用品店、造園資材業者・施工業者などに販売する。
 廃ガラスびんリサイクル事業は、地域から排出された資源ゴミから新たな製品を創り出し、それを地域で活かす「地域融合型リサイクルシステム」の考え方に立脚している。
 事業規模は、初年度3000万円、3年後1億円を目指している。
 ◎多孔質軽量資材「スーパーソル」の主な特徴。
 ・水による湿潤性があるが泥濘化しない。
 ・高強度、高断熱、高耐久性。
 ・熱、油、薬品に強い。
 ・有害物質の溶出量は環境基準値以下で安全性が高い。
 ・PHはアルカリを示し酸性土壌を改良する。
 ・透水性や保水性をある程度調整できる。
 ・軽量で取り扱いが容易。施工性に優れるなど。
 ◎「スーパーソル」の主な用途。
 ○土木・建築=軽量資材のため、施工性が高く、耐震対策、構造部への土圧軽減、軟弱地盤上の構造物沈下抑制などの需要に対応。下準備や養生期間が不要で、工期を大幅に短縮できるなど。
 ○農業資材=製造時に保水性や透水性の調整が可能で、アルカリ系のため石灰と同様、土壌改良材の役割を果たす。
 ○園芸資材=天然軽石に比べ、粉塵化しにくく作業性に優れている。
 ○屋上緑化=軽量のため、建物に掛かる負担を軽減。既存の建物での屋上緑化にも、低コストで対応できるなど。
 この件に関する問い合わせは、矢崎総業株式会社 広報部TEL055-965-3002まで。
(2004.10.4)


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