新規殺ダニ剤『マイトコーネフロアブル』を上市　広く環境保全型農業に貢献
−日産化学・ユニロイヤル−

記者会見にのぞむ両社首脳

日産化学工業 高橋専務

ユニロイヤル ケミカル ダッシーディレクター

　日産化学とユニロイヤルが共同開発した本剤は、特に有用昆虫、天敵に対して影響が少ないことから、環境保全型農業に対応した薬剤として注目される。また、普及場面ではこの分野で豊富な経験を持つ日産化学だけに、市場シェアを大きく塗り変える可能性がある。

　記者会見冒頭、日産化学の高橋荘二専務は「マイトコーネは各種のハダニ類に対して高活性を示すことはもちろん、有用昆虫、天敵に対して影響が少なく、広く環境保全型農業に対応した薬剤」と本剤の横顔を語るなか、「ダニ剤に知見を持ったメーカーとして、農家に貢献していきたい」と力強く語った。

　また、ユニロイヤル　ケミカルのイアン・Ｒ・ダッシー農薬事業部アジア太平洋地域マーケティングディレクターは「この画期的な新殺ダニ剤を当初の計画より早く上市できたことは、日産化学はもとより関係機関のご尽力の賜」とし、「新たなダニ剤として、農家ニーズに広く対応していきたい」と結んだ。

　記者会見では両社首脳の挨拶の後、猪飼隆取締役農業化学品事業部長が『マイトコーネフロアブル』の開発経緯、特長、普及販売方針を説明した。

　『マイトコーネフロアブル』は、1997年よりＮＣ−1111の試験名で（社）日本植物防疫協会を通じ、全国の試験研究機関等において広範囲な試験が行われ、ハダニ類に対する高い防除効果と作物に対する安全性が評価され、８月17日付で農薬登録を取得した。

　今回の登録作物、適用害虫はかんきつ（ミカンハダニ）、りんご（ナミハダニ、リンゴハダニ）、なし、おうとう、もも、いちご、すいか（ハダニ類）、茶（カンザワハダニ）となっており、今後、ぶどう、なす、メロン、キク等の作物、かんきつのミカンサビダニ等に適用拡大が期待されている。

　『マイトコーネフロアブル』は、ビフェナゼート（有効成分）を20％含有したフロアブル製剤で、人畜毒性は普通物、魚毒性はＢ類相当、となっている。

　特長を見ると、先ず既存の薬剤とは異なる全く新しい化学構造を有した殺ダニ剤である点。加えて既存の殺ダニ剤に対して感受性が低下したハダニ類に対しても優れた効果を示すことを強調したい。
　また、ナミハダニ、カンザワハダニ（テトラニカス属）やミカンハダニ、リンゴハダニ（パノニカス属）など各種のハダニ類に対して卓越した効果を示す。ミカンサビダニにも高い活性を示すことから、今後の適用拡大が期待される。

　さらに、本剤は成虫、卵、幼虫に対する活性が高く、ほ場においても速効的な効果が期待できる。特に『マイトコーネフロアブル』は蚕、ミツバチ、マメコバチなどの有用昆虫や、カブリダニ、ハネカクシなどの天敵に対して実用濃度で影響が少ないことが確認されている。

　普及に当たっては、抵抗性回避のため各種作物において年１回の使用とし、他のダニ剤とのローテーション使用を強く呼びかけていく。販売目標は、上市３年後（2003年）、国内の殺ダニ剤市場の約25％（約30億円）を目標としている。

有用昆虫およびハダニの天敵に対して影響が少ない

　【解説】
　日産化学は、わが国ダニ剤市場において「ダニカット」、「プリクトラン」、さらに自社開発原体である「サンマイト」など有力な殺ダニ剤の普及販売の豊富な経験を積んでいる。『マイトコーネフロアブル』の販売は、同社１社で系統、商系の２ルートにおいて、これまでの経験を十二分活かした展開となる。剤の持つ特長と同社の豊富な経験から、販売目標の30億円は決して高い数字ではない。
　本剤は、ユニロイヤルのコードでは「Ｄ−2341」であった。当時、ダニ剤に強みを持つ有力各社が導入を強く求めた期待の一剤で、日産化学との共同開発に落ち着いたのは、同社の豊富な経験と技術的な背景（信頼）があったためと思われる。

　なお、ユニロイヤルは米国コネチカット州に本社を置き、取り扱い原体はＢＰＰＳ（オマイト）、ジフルベンズロン（デミリン）、オキシカルボキシン（プラントバックス）、エクロメゾール（パンソイル）、テトラジン（テデオン）、ダミノジット（ビーナイン）などが挙げられ、世界的に農業生産に貢献している。

　　　　　　マイトコーネのインターネットホームページアドレス 　 http://www.mito-koh.net/