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微生物を利用した土壌改良材『畑の精』発売へ
土壌中の環境を改善し連作障害を軽減
−出光興産−

 出光興産(株)は、農業分野で深刻な問題となっている土壌病害に極めて高い効果が期待できる、微生物利用の土壌改良材『畑の精(じゃがいも用)』(製品名)を12月20日より市場投入していく。この分野に強味を持つ同社だけに、対象作物及び販売地域の拡大を含め、今後の展開に注目したい。

 本製品の作用性を見ると、連作障害(注)を抑える糸状菌(カビ)、グリオクラディウム属菌の一種が合理的に配合されており、処理後は有効菌が土壌中で活発に活動し、土壌中の環境を改善することで、連作障害の軽減を図っていくものとなっている。
 これらのことから、「天然物を組み合わせた資材であるため、安全性に優れている」、また「顆粒状の粉末を畑に直接散布し、土壌に鋤き込んでいくため、極めて使い易い」、が『畑の精』の特徴となっており、地についたキメ細かな普及展開が望まれる。

 『畑の精』の製品化の背景として、近年問題となっている土壌病害などによる連作障害の対策として、土壌消毒等による防除が行われているが、その代表的土壌消毒剤に位置付けられる「臭化メチル」が、2005年には使用が全面禁止され、さらに土壌消毒に対する健康・環境面での不安感などから、その代替技術の確立が強く求められている。
 出光興産(株)では、従来から”環境保全型農業の提案”をコンセプトに、平成8年にVA菌根菌資材『Dr キンコン』、同10年に灰色カビ用生物農薬『ボトキラー水和剤』など、環境に優しい微生物資材・生物農薬を手掛けてきており、この分野に強味を持っている。

 今回の『畑の精(じゃがいも用)』は平成9年より、じゃがいも栽培の連作障害対策として、長崎県で試験を進め、本年、現地での連作障害軽減効果を確認し、開発・発売に至った。
 同社では、今回のじゃがいも栽培用のほか、今後はレタス、セロリ、さつまいもなど順次対象作物を拡大していく他、販売地域も長崎県内のJAおよび農業資材取扱店を皮切りとして、順次拡大していく予定にしている。

 販売価格は、1袋(20リットル入り)3,600円(メーカー希望価格)となっており、同社では順次対象作物および販売地域を拡大し、平成15年度に約10億円の市場規模に育てたい意向だ。

 《問い合わせ先》  出光興産(株)新規事業推進室 事業一課(担当:安井、吉田)
    TEL:03−3746−8700 FAX:03−3746−8710

  (注)「連作障害」
 野菜産地では、同じ作物を連続して栽培している場合が多いが、反面、同じ作物を続けて数年栽培(連作)していると、作物の生育が悪くなってくる場合がある。これは、土壌中の微量養分に偏りが生じるため生育不良になったり、連作障害に特有の病原菌が土壌中に徐々に増え、病気が引き起こされるためだ。連作障害で、特に土壌病害対策が野菜の主産地での重要な課題となっている。


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