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箱育苗・機械移植に活路 歴史的農薬のタチガレン剤
―三共アグロ―(3) ―


 三共アグロ(株)(窪田隆一社長、本社:東京都文京区)の重点品目。2回に分けて主力殺菌剤を見ていくが、今回は自社開発のタチガレン剤を取りあげる。世に、歴史的な農薬といわれるものはそう多くはないが、今日の箱育苗・機械移植に活路を見いだしたという意味で、本剤こそまさに歴史的な農薬といえるのではないか。
 苗半作といわれる。タチガレン剤は、殺菌作用と植物成長調節作用を併せ持ったヒドロキシイソキサゾールを有効成分とし、水稲の育苗場面を中心に苗立枯病を防除するとともに、発根および生育を促進するなどの作用により、健苗を育成する。
タチガレエース粉剤 タチガレン液剤
タチガレエース粉剤 タチガレン液剤
 タチガレン剤には、ヒドロキシイソキサゾール単剤の『タチガレン粉剤・液剤』、ヒドロキシイソキサゾールにメタラキシル(商品名:リドミル)を配合した『タチガレエース粉剤・液剤』の4タイプがある。「タチガレエース」は、苗立枯病に加えムレ苗防止にも卓越した効果を示す。
 タチガレン剤は、水稲だけでなく、きゅうり、すいか、ほうれんそうなどの野菜類、てんさい、たばこ、花き、材木苗木などの各種作物に対しても、苗立枯病や白絹病の防除効果、発根促進などの生理活性効果を示す。『タチガレン液剤』には、登熟歩合向上効果も。海外展開も広がりをみせ、EU諸国を中心に世界52カ国で使用されている。
 タチガレン剤は、1971(昭和46)年に稲苗立枯病防除剤として農薬登録された。当時、稲作は手植えに代わる画期的な新技術である「箱育苗・機械移植」を模索していたが、最も大きな課題は健苗作りであった。従来の育苗方式と異なり、種籾が育苗箱に超過密に播かれ、高温・多湿のもとで育苗されるため、苗立枯病防除と健苗育成は機械移植の成否を決する重要な課題だった。
 タチガレン剤は、これらの課題を乗り越え箱育苗・機械移植の活路を見いだし、両者を大きく成長させてきた。ここに、なにものにも代え難い重みがある。
 なお、タチガレン剤は、「F−319」、「SF−6805」などの試験番号で開発が進められていたが、「タチガレン剤」として商品化されても「エスエフを下さい」という篤農家が随所でみられた。試験番号が固有名詞化した稀な事例だ。
(2004.9.21)

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