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黒字決算を確保し厚生年金と統合へ
   −農林年金の定例組合会(6/16)


 農林年金(農林漁業団体職員共済組合)は16日の定例組合会で平成11年度決算などを承認した。今後は来年四月実現を目ざす厚生年金との統合に向け、JA全中とともに、厚生年金関係者の理解促進に努め、また8、9月に予定する組織協議で、統合に関する合意形成を進め、その後、臨時組合会を開いて統合について議決する−−という方向も了承した。

 農水省と厚生省には、厚生年金との統合関連法案を早くまとめるように働きかけ、秋に予定される臨時国会での成立を目ざす。
 統合後の職域部分(三階部分)については現在、検討中だが、統合条件などの方向づけがある程度見えてきた段階で具体的な詰めの検討に入る。

 農林年金の組合員数は11年度末で47万4724人。前年同期より7258人減った。加入団体数は8571団体で385減った。
 決算(給付経理)は組合員減少に加え、給与の伸びもわずかだったため掛金収入は3256億円となり、前年度比15億円(0.5%)の減収となった。
 特別掛金収入も賞与などの落ち込みから前年度比1億6000万円減の61億円となった。

 一方、年金受給者は約1万人増え、また年金額の物価スライドが実施されたため給付金の支出は前年度比67億円(1.8%)増の3774億円となった。
 積立金の運用利回りは3.453%で、計画の3.65%を下回り、運用収入は厳しい環境の反映で前年度比39億円減の676億円となった。運用は国債が中心となっている。

 損益では、掛金や国庫補助金、運用などの収益計約5160億円に対して、給付金や基礎年金拠出金などの費用が計5042億円で、給付準備金への繰り入れは117億円。これで年度末の給付準備金は2兆79億円となった。
 近年は年金給付関係の支出を、掛金収入と国庫補助金収入などだけではまかなえなくなっており、穴埋めに積立金の運用収入を充当している状況だ。
 それにしても収支差は黒字であり、2兆円以上の給付準備金を保有したまま厚生年金と統合することになる。この点が財政破たん後に他の共済年金から支援を受けつつ厚生年金と統合した国鉄(JR)共済などのケースとは大きく異なる。
 今後、統合条件では厚生年金への持参金ともいえる移換金の額などが大きな課題の一つとなる。

 一方、福祉経理の決算は宿泊事業の不振などから1億3500円の赤字だ。
 6施設の宿泊事業は農林年金福祉団に委託しているが、独立採算が可能な東京と南熱海の農林年金会館は新しい協同会社「パストラル」を設立し、経営する。
 新会社は2施設を農林年金から借り受け、また福祉団から営業用の器具備品など固定資産を資本金2億円で買い取る。出資は農林漁業団体など。新会社設立は9月1日の予定。

 残る施設のうち蔵王と大山は9月30日に閉鎖と決め譲渡先を模索中。京都は地元の農業団体に譲渡の方向で協議中。別府も地元と譲渡の協議を始めた。
 職員は農林年金が約200人、福祉団が400人だが、統合後の雇用対策に取り組むため、すでに対策委員会を設置した。東京と南熱海の2宿泊施設については新会社による経営の承継で270人近くの受け皿が確保されているという。

 なお統合について厚生年金関係者の理解促進のため日経連とはすでに事務レベルの勉強会を始めた。
 農林年金の組織内では一元化懇談会の審議状況をみながら8、9月をめどに組織協議を予定している。

 



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