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今年度の農業生産額わずかに増加か
  生産者価格の上向きにらむ
   2000年度農業観測 (6/9)


 1999年度の農業生産額は前年度より約8%も減少。10兆3000億円程度に落ち込んだとみられる。11兆円を割り込んだのは23年ぶり。これは生産者価格が農産物全体で8・7%も下がったためだ。農水省が9日発表した2000年度農業観測によると、生産数量は果実や野菜などが増えたものの、価格は野菜、果実、花、コメと軒並みに低落した。しかし2000年度の観測では、生産額が反転して、わずかに増加すると見込んだ。生産数量はほぼ前年並みだが、生産者価格が、わずかに上回るとみたためである。

 99年度の値下がりはひどかった。コメは卸売業者の在庫が多く、また需要が安い価格帯にシフトしたことなどから7・8%、果実はミカン、リンゴなどを中心に22・1%、野菜は秋冬ものの豊作で16・1%、花はキクなどを中心に15・9%と、それぞれ下落。耕種作物全体の生産者価格は11%の下落となった。

 一方、畜産物は肉がやや下落したものの、鶏卵が大幅に値上がりしたため全体で0・5%上昇した。
 今年度の価格見通しによると、野菜は夏秋野菜がやや下回り、秋冬と春は上回る。果実は大幅に上回る。また花はほぼ前年並みとなり、耕種作物全体の生産者価格は、やや上回ると見込んだ。

 畜産物は肉と生乳がわずかに下回り、鶏卵はわずか、ないし、やや下回る見込み。 国内農業生産(数量ベース)を指数(95年度100)でみると、近年は減少傾向だったが、前年度は果実と野菜のほか麦と大豆などの生産が増え、農業生産全体で2%程度増加した。
 その中で畜産物は肉用牛がわずかに増えたが、他の品目の減少から0・5%の低下になったとみた。

 耕種作物ではコメが作付面積で減ったものの単収増で2%増えた。麦は作付も単収(大麦、裸麦)も増えて9%、大豆は単収増から19%の大幅増となった。
 また野菜は2%、果実は7%、花は2%の増加、イモ類は5%減とみた。
 今年度見通しは、麦、大豆、花などで増加するとされるが、果実などで減少するとみられ、全体ではほぼ前年並みの国内農業生産になると見込んでいる。
 うち野菜は夏秋とタマネギは増えるが、春と秋冬は減って全体ではわずかに減少を見込む。

 畜産物は肉畜がわずかに減少するが、生乳はほぼ前年度並み、鶏卵は前年度並み、ないしは、わずかに増加するとみられ、畜産物全体でほぼ前年度並みになると見込んでいる。

 一方、農業資材の今年度需要は横ばいか、わずかに減少すると見込んだ。供給も同じ。しかし農家購入価格は前年度並みか、わずかに上昇すると見通した。
 前年度は販売農家1戸あたりの生産資材購入額が1・2%減少。また販売農家戸数は1・9%減少した。

 資材別にみると、今年度の農業機械の需要はわずかに増える。また農機具の農家購入価格はほぼ前年並みと見込まれる。
 肥料は、コメの単位面積あたり投入量が減るとみられることから需要も、わずかに減少するとみられる。肥料の農家購入価格も、わずかに下落が見込まれる。 農薬の需要は野菜畑作などへの新規薬剤の普及や、水稲の箱処理剤の普及などによる需要の増加がみられるものの効率的な農薬利用の推進などもあって全体では、やや減少するとの見通しとなった。農家購入価格は横ばいか、わずかに下落するとの見通しだ。

 飼料の需要はわずかに減少が見込まれる。しかし配合飼料の農家購入価格は上回る可能性も否定できないとみている。飼料穀物の国際相場が最近、強含みで推移しているなどからだ。
 農業観測はコメの消費も見通しており、今年度は関係者の一体となった消費拡大の取り組みによって前年度並みになるものと見込んでいる。
 前年度の消費量は、消費世帯で1%減少し、生産世帯でも0・9%の減少となった。これまでずっと減少してきたが、今年度は消費拡大の取り組みによって横ばいになると見込んだ。
 なお今年度の農産物輸入は全体でわずかに増加すると見通した。

 品目別では、穀物と、その調整品はミニマムアクセス分としてコメが増加するが、小麦がほぼ前年度並みになるとみられることからほぼ前年度並み、生鮮果実はオレンジ、バナナなどで増加を見込む。また牛肉や鶏肉の増加も見込まれる。


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