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事業分量は減少したが、事業運営の効率化・合理化で計画通り収益を確保
  
−JA全農通常総代会で事業報告・決算を承認


 JA全農は7月27日、第24回通常総代会を東京都内で開催し、平成11年度の事業報告、決算を承認した。また農林年金と厚生年金との合併後、宿泊施設などを運営するための(株)パストラル(仮称)と徳島パールライス(株)(仮称)の設立発起人引受けと株式取得。全農グレイン(株)、(株)東京パールライスの増資引受けを了承した。  また、山崎哲夫理事と山瀬博代表監事の退任にともなう理事・監事の補欠選挙が行われ、理事に☆新治JA全農山口県本部運営委員会会長、監事に米原宗二JA全農徳島県本部運営委員会会長が選ばれた。


第24回通常総代会◆11年度剰余金は20億円強

 11年度の事業を振り返って、総代会後の記者会見で大池裕JA全農会長は「組織面では、6都県が統合し、21県連と統合研究会を発足し、来年3月に統合を予定するなど、組織統合が着実に進んだ。事業面では、米穀、畜産、園芸とも自由主義経済によって価格が低落・暴落し、全農の取扱高が減少し厳しい状況にあったが、事業運営の効率化・合理化、経費の削減によって計画通りの収益を確保することができた」と語った。

 事業報告によれば11年度の取扱高は4兆7210億円と計画比89%だった。これにその他の収益を加えた事業収益は4兆8012億円となる。ここから供給・販売原価など事業直接費と事業管理官費を差引いた事業利益は5億9162万円となっている。
 これに事業外損益と特別損益を加えた税引後の剰余金は、ほぼ計画通りの20億1312万円となった。この結果、計画通り出資配当金6億7200万円(2%)、特別配当金5億円を実施することとなった。
 また、11年度から導入された税効果会計によって生じた過年度税効果調整額87億0469万円については、全額特別積立金に繰り入れられた。

◆野菜価格安定に向けた取り組みの先頭にたつ

 この総代会に先だって、全国7会場で地区別総代会が開かれているが、ここで意見・要望として共通してだされたものや一部の意見であっても重要と考えられるものについては「全農の見解・対応策について」まとめられ、総代会に提出された。今回は、@JAグループ米穀事業の集荷・販売強化策、A統合連合で経済事業の改革を加速、B肥料における物流合理化の取り組み、C青果物の価格低迷と今後の対応方向の4点が出された。

 なかでも青果物の問題がこうした形で出されることは、大変珍しいといえる。地区別総代会で「肥料の手数料問題との関連でも意見がだされた」(堀喬専務)というが、総代会でも熊本県の総代から「昨年11月から今日まで価格が低落してきている。全農としてどういう取り組みをしてきたのか。価格は市場にゆだね、農家の所得は制度で守るのが国の政策だ。制度でしっかり守らないと、肥料などが安い中国や韓国との競争には勝てない。コメや畜酪では全国大会を開いて政策要求をしているのに、野菜ではなぜしないのか」という質問がだされたように、野菜・果樹の価格低落は大きな問題となってきている。

 青果物の価格低迷は、@景気停滞による購買力低下と消費財全般にわたる低価格志向の定着、A量販店の競合激化による納入条件の悪化、B中食・外食の増加を背景とした加工食品の増加と輸入青果物の急増など構造的な問題を含んでいると「見解」では述べている。
 さらに「生産コストの優位性を背景に中国・韓国からは、トマト・ゴボウ・ネギ・サトイモ・生シイタケ等の生鮮輸入野菜が急増」しているが、「これらは、従来の加工原料向け、高騰時・端境期等の限定的なものから、量販店の青果売場の恒常的確保を狙った輸入となっており、国産青果物低迷の大きな要因」となっているとしている。

 これに対してJAグループとしては、国の野菜価格補てん制度(野菜価格安定事業、11年度は過去5年で最大の約148億円)と、JAグループの主体的な需給調整の取り組みである重要野菜需給調整特別事業(5品目。11年度は産地廃棄8660t、出荷後送り3329tを実施)などで対応してきた。
 今後は、JAグループによる需給調整の主体的な取り組みを機動的に対応させるとともに、全中とともに野菜・果樹政策研究会を設置し、「生鮮青果物の輸入対策として一般セーフガードについて機動的発動と手続きの見直し、価格補てん制度を中心とした経営安定対策の確立など、国に対する政策要求の検討をすすめている」。

 大池会長は、総代会でこの問題について「野菜の価格問題は重要事項であり、組織をあげての政策要求として強力に進めていくし、その先頭にたつ」と力強く語った。その後の記者会見でも「価格を安定し、生産者が安心して園芸に取り組めるよう制度をさらに充実・強化していきたいと考えている」と述べた。

14年4月に大多数の県連との統合実現をめざす
 【大池裕会長挨拶(要旨)】 (事業報告・決算関係部分は記事と重複するので省略した)

大池裕会長 7月1日現在、全国のJA数は1390となっており、13年4月には約1000JAになるものと予測されます。
 このような中で、全農は10年10月の第1次統合に引き続き、本年4月に東京、山口、徳島の3都県および全養連と合併をいたしました。また、13年3月統合に向けて、21府県連との間で合併委員会を設置し、検討を進めているところであります。

 一方、統合を目指しながらも県内事情等から、13年3月統合に間に合わない県連や、その後新たに統合を決定した県連が出てまいりました。このような状況を踏まえ、第3次統合に取り組んでまいります。第3次統合の時期は、事業環境の急激な変化や会員の期待に対応しうる強い全農を早期に創りあげる必要があることから、平成14年4月を基本とします。
 なお、第3次統合においては、現在、組織の方向を検討している県連も含め、大多数の県連との統合実現をめざしていく考えでおります。

 次に米麦の情勢についてであります。
 平成12年産麦の政府買入価格は、0.78%の引き下げで決定いたしましたが、麦作農家の生産意欲に配慮するとともに、13年産からの民間流通麦の定着をはかるため、「民間流通定着・品質向上支援」など、総額20億円の麦価関連対策が決定されました。これまでの皆様方の農政活動に対するご協力に対して、厚くお礼申し上げます。
 11年産主食うるち米の販売につきましては、7月にはいりましても、好調に推移しております。10月末までの完売をめざして、引き続き販売推進に全力をあげる所存であります。

 最後になりますが、雪印乳業による食中毒事件への対応についてであります。
 6月末から発生した雪印乳業による食中毒事件は、企業の食品安全性への取り組み姿勢について、広く世間の注目を集めております。全農は、この問題発生以来、日々生乳を生産されている酪農家に不安が生じないよう、全力をあげて全国的な配乳調整に取り組んでいるところであります。
 さらには、酪農・乳業全体におよぼす影響が大きいことから、農業団体として対策本部を設置し、国、自民党の対策本部と連携をとりながら、酪農経営の安定化へ向けた諸対策を講じるとともに、一日も早い牛乳、乳製品の信頼回復と消費拡大を願うものであります。

新役員選出】  通常総代会で選出された新役員は次の通り。

▽理事 柳新治(やなぎ・しんじ)大正14年生まれ、74才。昭和38年山口県大内農協理事、平成2年山口市農協組合長、同8年山口県中央会副会長、山口県経済連副会長、同12年全農山口県本部運営委員会会長、全共連山口県本部運営委員会会長、山口県中央会会長、山口県厚生連会長。

▽監事 米原宗二(よねはら・そうじ)大正15年生まれ、73才。昭和45年徳島市農協理事、同49年同組合専務理事、平成6年同組合組合長、同7年徳島県中央会・信連・厚生連・経済・共済連理事、同12年全農徳島県本部運営委員会会長、全共連徳島県本部運営委員会委員。  


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