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JAの自己完結型事業は困難
  −農水省の検討会で農協改革の方向づけ


 農水省は「農協系統の事業・組織に関する検討会」(経済局長の私的検討会)の議論を整理し、概要を9日の第12回会合に示して、それをめぐる農業者や学識経験者の意見を聞いた。

 信用事業では、厳しい環境の中で、JAが自己完結的に独立した形で金融業務をやっていくのは困難であるとの指摘が多かった。
 このためJA貯金の運用をより多く信連や農林中金に任せるなど三段階の一体性を強めるべきだ、そこには一般的な協同組合原則とは少し異なる考え方も必要になるとの意見もあった。
 また郵便局に次ぐ店舗ネットワークを誇る系統が「一つの金融機関」として総合的に機能する新システムの構築を方向づけた。

 これらは前回の検討会で農林中金が発表した「JAバンクの新たな枠組み」を踏まえたものだ。今後はJA全中で枠組みを具体化した後、再び議論する。

 情報技術(IT)投資でも三段階ごとの重複投資を集約し、また農林中金とJA共済連の連携を抜本的に強化すべきだとした。
 経済事業でも▽生産資材の販売などでJAの自己完結型事業は困難である▽JAは大口を安くする価格設定を前もって明確に農業者に知らせることが重要であるなどの論点をまとめた。

 一方、生活店舗やガソリンスタンドなどの施設と事業で赤字を解消できなければ利用者に訴えて撤退すべきだとの意見も目立った。

 組織面では管轄外の農協の組合員にはなれないというゾーニング規制(信用事業を行う農協が対象)を撤廃し、JA同士の競争を促すべきだとの意見が出た。業務執行体制では、各JAに実務能力のある常勤理事が極めて少なく、経営管理委員会制度も普及していないなどから、JAグループは今後、対策を詰める。

 なお、この日は全国農協青年組織協議会と社日本農業法人協会がJA改革について意見を述べた。
 法人協会は農事組合法人が異業種と提携できるよう農協法改正を要望した。現行法では農業以外の事業も営む有限会社と提携した農事組合法人は農協の正組合員になれない。中小企業の事業協同組合と同様に経営を多角化できるようにしてほしいというもの。また農事組合法人から有限会社への移行に道を開く農協法の改正も求めた。

 農水省は、さらにJA全国連の意見を聞くなどして10月ごろから農協法などの改正にとりかかる。


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