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信用事業で自主ルール=全国大会に向け改革案練る=
    JAと信連の経営破たん未然防止へ


 JA、信連、農林中金の一体的な業務展開で、信頼性の高い「JAバンク」ブランドの確立を目ざすという系統信用事業の改革方向を農林中金がこのほどまとめた。JA全中の総合審議会(会長の諮問機関)による議論を踏まえたもので、8月末の審議会答申を経て10月のJA全国大会までに詳細を固める。

 早期是正措置が発動されたり、JAや信連の経営破たんが発生するとJAバンクへの信頼が揺らぐ。
 このため経営破たんを未然に防ぐために措置発動よりもかなり早い段階で経営立て直しに取りかかれるように「自主ルール」をつくるのが改革の大きな柱だ。自己資本比率や不良債権比率などの基準を設け、これに達しないJAに対しては資産精査などによって経営状況をチェックし、審査体制の強化や信用事業専従役員の起用などを求める。
 問題の程度によっては資金運用を制限し、業務を貯金受け入れに特化させる。それでも改善が難しいと判断した場合は信連などへの事業譲渡を求める。

 自主ルールに合意しないとかルールを守らないJAは新しい枠組みから外れることになり、経営改善や組織統合に際してJAグループの相互援助制度から支援を受けられなくなる。
 このため全中は基本的にすべてのJAと信連にルールへの参加を求める。

 一方、情報技術(IT)投資の一元化も改革の柱だ。JAグループのシステム投資額は都銀四大グループに匹敵するが、分散しているため効果的とはいい難く、他業態に遅れをとっている。 このため投資を農林中金に一元化し、来年11月をめどに、信連ごとにやっているインターネットバンキングを全国的に展開する。またITを活用した新しい取引方法を開発する。

 このほか一体的なJAバンクとして、全国統一企画などによる新しい金融商品を開発。より高度な資産運用のニーズに応える。また確定拠出年金などでは共済事業と連携し、金融サービスを総合的に向上させていく戦略を打ち出した。

 改革方針は全体として従来よりも信連と農林中金がリーターシップを発揮する内容となっている。
 中央会監査の実施にあたっては独立機関として「全国監査委員会」(仮称)を設け、その下に「全国監査機構」(同)を全中と県中の事業統合で設立する。

 また法定監査とは別に経営状況を常に点検するモニタリング制度の確立や勧告制度の仕組みも提起した。 信用事業を譲渡した後の措置では、隣接JAのカバーのほかに信連の代理店を出す方式も考えられるとした。また共済事業と連動した対応の検討も挙げた。

 農業金融では ▽新基本法に即した対応ができる制度資金の拡充 ▽再建可能な負債農家に対する低利融資と保証の拡充 ▽その保証基盤拡充などを打ち出した。


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