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コスト削減に向け「新行動計画」の策定へ
  −農業生産資材問題検討会が中間報告


 農水省の生産資材のコスト削減策を検討している「農業生産資材問題検討会」(座長・関谷俊作(財)農政調査会会長)が、8月10日に中間報告をまとめた。
 報告では、海外にくらべて割高な農業生産資材費の一層の低減を図っていくことが極めて重要とし、今年度中に10年程度先を展望した新行動計画を策定するとした。計画では、目標数値等を明示して具体化を図る。

 新たな取り組みのおもな内容は、@輸入高度化成肥料と粒状配合肥料の需要予測調査に基づいた的確な供給、A軽量除草剤と大型包装除草剤の普及、Bシンプル農機の適切な供給、C中古農機、遊休農機の活用促進、D製造コストが低く長持ちする農業機械の研究開発、E低コスト耐候性ハウスの標準仕様の作成、実証等による園芸施設のコスト削減を推進などとしている。

生産者への情報提供も課題

 おもな生産資材価格を日米で比較すると、肥料(硫安)では米国の1..3倍、農薬(NAC剤)では1.2倍、農用トラクターでは1.3倍となっている。(表)

肥料、農薬、農業機械等の価格の日米比較
  日本の価格
(A)
米国の価格
(B)
(A)/(B)
肥料(硫安) 545円/20kg 429円/20kg 1.3倍
農薬(NAC剤) 1525円/kg 1291円/kg 1.2倍
農用トラクター 177万円 138万円 1.3倍

資料  農林水産省「農村物価統計」、米国農務省「Agricultural Prices」
肥料機械課・植物防疫課推計
)  1: 1ドル113.91円(99年の平均為替レート)で換算
  2: 肥料(硫安)の日本の価格は、流通形態の違い(米国:バラ、日本:20kg樹脂袋)による包装荷造経費(約100円/20kg)及び品格差(米国:粒粉混合品、日本:粒状品(約20%割高))を勘案し、米国と同様のバラ・粒粉混合品ベースで試算した数値である。
  3: トラクターは排気量1400cc前後、出力等20〜25馬力、4輪駆動である。日本で市販されているトラクターは、油圧及び防水機構の性能が優れていること、変速段階が多いこと等の相違がある。

 ただし、安価な生産資材の普及には生産者への周知徹底も課題だ。今年6月に農水省が実施した生産者への意識調査では、輸入高度化成肥料を「使用してない」との回答は53.6%と過半数に達したが、その理由として「新しい肥料を使うのが不安・従来のものが慣れている」との回答が75%を占めている。また、「地域で売っていない」との回答も29%あった。

 こうしたことから、報告書では普及員、営農指導員を通じた生産者への意識啓発や、インターネットを活用した情報提供、大口需要者にメリットがある供給形態なども課題に挙げている。
 JAグループでは、10月の第22回JA全国大会に向けて事業の見直しを検討しているが、コスト低減に向けては@受発注・物流情報センターの設置と年次計画に基づく広域発送拠点の整備による物流コストの削減、A資材供給上のメリットの明確化と組合員への着実な還元、などを進めていくことにしている。



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