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受給額削減の圧縮率などで調整大詰めへ−農業者年金


 農業者年金制度改革は受給額平均3割カットや46歳以下の掛け損などを内容とする農水省の改革大綱案に自民党と農業団体が反対して、こう着状態だったが、自民党農業基本政策小委員会の松岡利勝小委員長らが8日、受給カット幅の圧縮などを提案したことをきっかけに、お盆明けから最終調整へ向けて動き出す。

 同提案は、受給カットを大幅に縮めるため国の追加負担を「700〜800億円」と数字を示した。
 大綱案に盛られた425億円の国庫負担額ではカット幅が平均30%となるが、これに追加負担額をプラスするとカット幅は14〜8%と大幅に圧縮される。
 これまでは追加負担の数字を打ち出せないまま農水省、自民党、農業団体が三すくみの状態だった。

 JA全中や全国農業会議所などは金額明示の提案を「橋頭堡にして、国民的理解を得ながら、大詰めの要請行動を進めたい」として受給者の負担を最小限に圧縮する運動を展開する。
 しかし農水省は、ほかの公的年金の削減をにらみながら追加負担を極力抑制していく構えである。
 8日の自民党農業者年金小委員会では提案と合わせて赤城徳彦小委員長が制度改革方針を示した。
 内容は三割カット反対とともに掛け損の解消を挙げた。大綱案では45歳の場合払った保険料の91%しか年金をもらえず、40歳で80%、36歳で76%となる(加入年齢35歳の場合)。

 このため方針は、どの世代でも掛け損にならない措置を目ざした。また受給開始が後年になる若い人に対しては積み立てた保険料の運用益もきちんと加えて支給する考え方や、配偶者加入者への「特別の配慮」なども調整課題とした。
 新制度では任意加入になるため脱退一時金(大綱案では支払保険料の3割)も課題となる。農業団体は適切な水準を求めており、今後の具体的な詰めに残された課題は多い。

 一方、大綱案は政策支援の対象者を「青色申告特別控除後の農業所得が500万円以下の認定農業者」に限っているが、農業団体は現行加入者に加え、認定農業者以外では市町村、農業委員会、JAが特に認める者へと範囲を広げるよう主張。また対象者を同一経営内に一人とする制限をなくすことや農業所得の上限引き上げも求める。

 また農業団体は保険料補助を新制度の政策支援の柱として、基本保険料の2割とした大綱案の補助率をもっと引き上げ、支援の期間も長くするよう要請する。
 なお農業団体は22日の全国代表者集会を皮切りに大詰めの要請行動を強める。



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