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改革の加速打ち出す  販売企画力の強化や 経営監督の重視など
  JA全国大会議案決まる (9/7)

(関連記事: 改革実行計画を求める意見目立つ−農水省の農協系統の事業・組織検討会・9/12

 「『農』と『共生』の世紀づくりに向けたJAグループの取り組み」 と題する第22回JA全国大会の議案が7日のJA全中理事会で決まった。10月22日の大会で議決し、向こう3ヵ年間の農協運動の指針とする。議案は、21世紀の枠組みを弱肉強食の競争原理だけでとらえることなく、「共生」を基本にすべきだという考え方を対置した。6月に示した組織討議案には約1000件の意見が寄せられ、原案を修正した。しかし基調の変更はない。
 議案は「21世紀を迎えて、JAグループが新しい基本法を担う主体になるのだという思いをこめて、まとめ上げた」(山田俊男JA全中専務)という。

【信用事業】
 議案のうち信用事業の改革は、全中会長の諮問機関である総合審議会で議論の焦点になった。その結果、JAと信連の破たんを未然に防ぐため、JAグループとして自主ルールをつくることなどを答申。これをもとに議案を補強した。
 早期是正措置の発動となればJAバンクへの信頼がゆらぐとして、議案では発動条件の自己資本比率4%よりも、かなり高い自主基準を設けて、経営改善の指導に早くとりかかれるようにする。不良債権の割合や特定貸出先への集中についてもルールを整備する。

 改善が難しい場合は、資金の運用制限、隣接JAとの合併、または信連へ事業譲渡の措置をとる。その場合、信連などの代理店にして住民へのサービスを継続できる方式を考える。
 不良債権の処理や合併なに必要な資金を援助をする新たな基金をつくるための積立金制度の創設も提起した。JAや信連などが拠出することになる。併せて相互援助制度も見直す。
 これらの前提として、問題点を早く見つけるために全国的な経営監視(モニタリング)体制を確立する。

【業務執行体制】
 一方、業務執行体制をめぐる活発な組織討議を反映して、この部分も大幅に補強された。JAと連合会に経営監視のための経営管理委員会を設けて、組合員の意思を反映させるという課題では、原案よりも積極的な方針になった。

 連合会の場合は、この制度の「導入をはかる」ことになる。JA段階では実態を踏まえて活用をはかる。
 代表理事らの業務執行を監督する機能の強化では@監督機能を重視して理事会と経営管理委員会を運営するA地域代表のほか生産部会の代表や担い手、女性などを理事や経営管理委員などに選任するB准組合員や員外の有識者を登用する取り組みを掲げた。

 業務執行体制の強化では▽実務に精通した常勤理事を置くために正組合員でない人材も登用し▽経済、信用・共済、総務・企画などの各部門に担当常勤理事を置き▽常勤理事の専念体制を確立することを挙げた。

 また役員の定年制と任期制(重任制限)の導入も打ち出した。JA全青協は例示として70歳定年、4期を限度にし、地方議員と常勤役員との兼職禁止を提言しているが、具体的な扱いは今後の検討になる。
 役員定年制の現状は導入JAが79(1999年度)と、ごくわずか。県連も15県にとどまっている。また県連の任期制は2期から4期とまちまちだ。

【自給率向上】
 食料供給の取り組みでは肥料や農薬をどれだけ使って生産したかなどを表示して、JAグループの全国機関が品質を保証するという「安心システム」による農畜産物づくりを始める。
 当面は生協、量販店などとの合意による直接販売だが、将来は検査・認証機関を第三者化し、市場流通へも広げていく。

 農業振興では、生産・販売計画をはじめ担い手育成や農地の利用調整などを盛り込んだ「地域農業戦略」を地区・集落レベルでも策定して、積み上げる。
 また地域農業の核となるJAの営農センターを強化し「地域農業戦略」を実践する。営農指導は技術中心の従来型から、販売戦略に基づく生産誘導へと幅を広げる。このため販売企画専任者の育成に努め、JAの販売力を強化する。これらは自給率目標を達成する運動として取り組む。

【経済事業】
 経済事業の改革では、低コスト生産に向け、生産資材の価格を引き下げるためJAグループを通じて最適となる業務・物流システム(広域集中システム)を核として、担い手から取引先までを結ぶ一貫物流・情報体系(サプライチェーン)を構築する。
 JA全農が広域受発注・物流情報センターを設け、農家組合員や農業法人からの生産資材注文をメーカーに発注。その工場から製品を直接、農家配送拠点に届け、そこから農家や法人に戸別配送される仕組みだ。

 そのメリットを担い手に効果的に還元するため、利用量などの条件を踏まえた規模別と機能別の価格体系を明示する。
 さらに経済事業の関連施設や生活店舗などの経営改善と統廃合を進め、赤字施設については撤退を含めて抜本的に見直す。

『農』と『共生』
 議案は@食料・農業・農村の21世紀を切り拓く取り組み方向A経営・事業・組織の改革A参加・参画・連携の促進による運動の展開の三本柱からなる。

 @のうち「『農』と『共生』の地域社会づくり」では農業に対する消費者の理解を得るため学童農園、市民農園などを通じた住民との交流を強調した。
 またWTO農業交渉については、輸出国と輸入国の権利が不均等な現農業協定を是正し、環境にやさしい各国の家族農業と共存できる貿易ルールの確立が求められるとしている。



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