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「売れるイモ」づくりに向けて
  新規用途開発やユーザーとの連携強化でJA全農がシンポジウム (11/18)


 甘しょも馬鈴しょも生産は減少傾向だが、加工食品用の需要が伸びているためさらに新規用途の開発で消費拡大を促進しようと、JA全農は18日、東京都内で、ユーザーと生産者の連携強化をはかるシンポジウムを開き、全国から集まった約120人が用途開発を通じた産地振興などについて情報を交換。また新品種を使った料理を試食した。

いも類の新規用途開発・連携強化シンポジウムのパネルディスカッション(写真上)と、試食会(下)。東京・南青山会館で

 全農は、ウルグアイラウンド対策の中で国の委託を受け、イモ類の新品種普及などに取り組んでいる。シンポでは全農の農産部いも類でん粉課の新浜晴美課長があいさつの中で6年前から情報交換を続けてきた経過などを報告した。
 また農水省畑作振興課の塚本久雄課長補佐は、冷凍物のイモ輸入がかなりあるとし、実需者のニーズに応えた生産を強調した。

 パネルディスカッションでは、加工メーカーから▽サツマイモ加工の場合、皮をむいたあとの歩どまりが75%でないと商品とはいえない▽しかし農家はまだ従来の手法とカンに頼って栽培している▽農家を指導できる産地の有力者や産地問屋を育てる必要がある▽わが社は有力な生産者に、この品種を、この価格で作ってほしいという宿題を出したりしている、など農家への厳しい注文が出た。
 ほかのメーカーも▽加工用は10数tの中に、ほんの少しでも腐敗や病気のものが混じっていると、その広がりを恐れて全量を捨てることになる。そこが食品産業の難しいところで、生食用よりも厳しい▽「今日は雨だから収穫はしない」などという農家があるが、これはビジネスとして困る▽「面倒くさい注文をつけるのなら契約栽培はやめだ」という農家もある▽そうしたユーザーとのミゾを埋める営農指導がほしい、との意見もあった。

 生産法人からは▽農家は天候や病害虫による不作を諦めがちだが、土づくりを含めて管理をきちんとするよう実需者側も指導を強めてほしい▽借地55haでサツマイモを作っているが(茨城)、農地が集約できず、150ヵ所に分散しているため、収穫を忘れてしまう畑もある▽大規模経営は機械の経費がかさむ▽干しイモは中国からの輸入が脅威になりそうだ、などの状況が出た。

 ジャガイモでは、パチンコ玉の大きさの「マイクロチューバ」という品種が急速増殖できるようになったなどの報告があり、また個々のメニューに対応するきめ細かい品種開発をしていく方向も提起された。
 サツマイモも含めた新規用途開発では、創意に満ちたヒット商品がにぎやかに紹介され、JAの加工事業進出状況も報告された。
 紹介された新品種はサツマイモ10、ジャガイモ14。会場には現物や加工商品をずらりと並べ、試食会では定番の肉ジャガをはじめ、甘しょうどんやバターなど10数のメニューをそろえ、乾杯もサツマイモのビールだった。



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