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混入防ぐ措置を米国に求める
  遺伝子組み換えコーン飼料で農水省
  飼養試験も進める (11/16)


 米国から輸入した家畜飼料のトウモロコシに遺伝子組み換え(GM)の「スターリンク」が混じっていたため農水省は、これを鶏に食べさせて肉質を検査する飼養試験をしている。今後は豚、牛、鶏卵にも試験対象を広げていく。

 スターリンクは殺虫タンパクを持つ害虫に抵抗性のあるトウモロコシだが、人間が食べるとアレルギーを引き起こす恐れがあり、米国は食用を認めていない。
 農水省は「組み換え遺伝子によって生じたタンパク質は、体内でアミノ酸に分解されてなくなってしまうから、家畜の肉には移行しない」(流通飼料課)といい、これを実証するため飼養試験を始めた。
 これよりさき、同省は4月から6月までに全国で、港の船、サイロ、飼料工場から採取した15検体を検査したが、うち10検体からスターリンクを検出したと11月16日発表した。混入比は最高で1.5%。

 市民団体はすでに5月に混入を指摘していたが、同省は否定していた。このため「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」という市民団体は「農水省は今回の発表で情報隠しを認めたことになる」と厳しく批判。一方、食品への混入は10月に発覚している。
 同省は今後、7−9月の輸入分についてもサンプリング調査をして結果を公表するが、高木勇樹事務次官は20日「畜産農家や関係者にきちんとした情報を提供していきたい」と語った。

 輸入の現状は各商社が船積み前の自主検査をし、混入のないものを次々に積み出しているから、畜産農家への安定供給には当面、支障はない(高木次官)とのことだ。また自主検査のコストが飼料価格にはね返るといった影響も報告を受けていないという。
 ただ来年1−3月分の買い付けには、価格問題がからむせいか交渉が遅れ、例年なら調達計画の半分が成約済みになる時期だが、現状は2、3割の成約にとどまっている。

 食品、飼料ともにスターリンクの使用を承認していない日本に、これを輸出した米国政府に対し、農水省は「まことに遺憾」として米国側で混入を防ぐ措置をとるよう求めている。
 また米国が食品では認めず、飼料では承認しているという二刀流自体に問題があると指摘し、米国側も反省しているという。

 なおスターリンクはフランス医薬品大手「アベンティス社」が開発した組み換え体で、日本への輸出を目ざし、食品では厚生省に承認審査を申請。飼料では農水省に申請を打診中だ。



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