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米国でも農業支援拡充の要求高まる
  保護削減の要件緩和論が出るか微妙 (1/23)

 JA全中の「国際農業・食料レター」1月号によると、米国では農業法の期限が来年で切れるため、各農業団体は、次期農業法に盛り込むべき政策などについて議論を始めた。
 その中で全米最大の団体(会員数500万)で大規模経営を中心とする米国ファームビューローは1月初めの年次総会で会長(コメと肉牛を生産)が輸出拡大などをぶち上げた。

 会長は意見表明で次期農業法の主な目的を@輸出拡大A自由な生産の維持B新たな収入安定対策の創設の3点とした。
 また価格低下などに対して現行農業法の予算枠90億ドルは不十分であり、倍増すべきであると唱えた。

 米国では96年成立の現行農業法で、それまでの不足払いから直接固定支払いに転換した。販売価格が目標価格を上回っても固定的に支払われる制度である。
 農業法の期限である7年間の支払い額が前もって決められているため生産とは結びつかない、だから「緑の政策」であるという理屈だ。「緑」は世界貿易機関(WTO)農業協定で農業保護削減の対象にならない政策となっている。
 この予算枠は来年度が40億ドルだが、ファームビューロー会長は、それでは足りないと新たな収入安定対策を要求したわけだ。

 しかし、その要求は目的上、現在と将来の「生産」と「価格」の困難にリンクして支払われる性格を持つため「緑の政策」といい切れない問題が浮上した。
 また固定支払い、その他の支援予算を増額すると、WTOルールの支払い上限額を超え、保護削減対象である「黄の政策」に入ってしまう問題も出てきた。
 このためビューローでは要求とWTOルールの整合性を突っ込んで討論した。
 そうしたことから成り行き次第では、米国農業界でもWTO農業協定の持つ非柔軟性や非現実性を認識して、より柔軟なルールを求めてくる可能性がある。
 そうなれば「緑の政策」の要件緩和がWTO農業交渉の焦点となって、日本と米国の連携といった場面も展望できると全中の「レター」は指摘している。


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