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資材コスト低減などで数値目標
  担い手対応を強化
  川下進出も多彩に
  JA全農が中期事業構想の原案を組織協議 (1/26)


 JA全農は平成13年度から5年間の戦略展開などを示した「中期事業構想」原案を1月26日の理事会で決めた。組織協議を経て3月27日の臨時総代会で正式決定する。組合員とJAへのメリット還元などを目ざして、事業・業務・物流・組織・意識の5大改革を断行する重点施策に取り組む。販売事業では80兆円市場の加工や中食・外食、小売などの川下へ積極的に進出する方針。生産資材コストの削減では最大20%という数値目標を掲げた。  (中期事業構想

 JA全農と経済連の合併は今後毎年続く。そこで、これまでのような3年計画を立てるのが難しいため今回は5年間の「構想」の形をとった。構想には積極的な「行動計画」を盛り込んだ。そして、できる限りの数値目標を掲げた。これが今回の大きな特徴だ(四ノ宮孝義専務)。
 営農部門では、大規模農家・農業生産法人や営農集団など担い手への対応力を強化する。具体的には米穀販売の支援、生産資材供給の条件弾力化などがある。
 こうして大規模経営との取引を拡大していく。行動計画は、15年度の取引実現目標を500、そして17年度には1500と数値目標を明確に打ち出した。
 そのために13年度は全農本所に担い手対応の専任部署を置き、17年度には各JAに専任担当者を置く(80%設置達成)。

 全農は、産地と取引先の合意で生産過程の情報を開示して商品を販売する「全農安心システム」を事業化するが、行動計画は13年度に50産地が事業を始める目標を掲げた。生産工程をチェックする専門検査員は80人を養成する。17年度は400産地に増やし、検査・認証を第三者化する。
 さらに「売れる農畜産物づくり」を目ざして、全JAに生産と販売を直結する「JA生産販売企画専任者」を配置する。このため新年度は専任者育成プログラムを策定する。

 一方、販売部門では、直販事業を拡大する。販売事業に占める直販比率を初年度10%、最終年度20%を目標とした。電子商取引の活用では、15年度にJAグループのインターネット情報基盤「e全農・COM」(仮称)を開設し、消費者向けeコマース360億円市場を開拓する。
 また物流改革を進め、肥料・農薬などの農家配送拠点を整備する。17年度は全国で50%整備が目標。最終的には約300個所に集約する。現在はJA単位に約1万個所もある。

 購買部門では、全農ブランドの高度化成肥料「アラジン」の普及率を初年度の7%から最終年度は10%に上げる。水稲除草剤のMY混合剤普及面積は15年度に60万ha、また段ボールの茶色箱化は46%を目ざす。
 生産資材コスト削減は、こうした低コスト資材の取り扱い拡大で6〜10%、JAグループを通じた業務・物流改革で2〜5%、そのほか大口のロット対策などで最大20%削減を目ざす。
 JA経営対策では、全農の総合コンサル体制を拡充し、最終年度のコンサル実施JA数50(累計)、また収支を改善したAコープを350個所(累計)とし、全Aコープ会社の黒字化を目ざす。ガソリンスタンド(SS)の収支改善は1000個所が目標。

 一方、販売力の強化では経済連との統合メリットを発揮し、県本部の施設などを活用した地方中核都市での直販事業も展開する。
 またコメ卸の東西2社を核としたパールライス事業や、広域供給網を背景とした鶏卵事業などでは、広域と全国域での一体的営業で大手量販店などの店舗展開に対応する。
 川下戦略では、首都圏などに農産物の直売店を出すほか焼肉・オムレツレストラン、カレー店、、持ち帰り弁当店などを出店する。その際、協同会社や他企業とも連携する。
 なお構想は、統合で二百数十社となる協同会社は半数程度に再編する方針だ。





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