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JA共済連と共栄火災が業務提携で合意
  −4月からJAの事業リスク対象に保険商品を提供 (2/7)


 JA共済連と共栄火災海上保険相互会社は、2月7日、「商品開発」、「販売体制」、「損害調査」の3分野で業務提携を行うことで合意。同日、基本合意書を締結したと発表した。

共栄火災・小林多喜男副社長、共栄火災・小澤 社長、JA共済連・新井会長、JA共済連・西村専務
左から共栄火災・小林多喜男副社長、共栄火災・小澤 社長、JA共済連・新井会長、JA共済連・西村専務

 商品開発分野では、JAや協同会社などの事業リスクを対象にした保険商品を共栄火災が提供する。
 第一段として、@JA食品瑕疵補償保険(JAなどが製造・販売した食品に異物・毒物が混入した場合の支出費用や喪失利益を補償)、AJA食中毒補償保険(JAの保養所や結婚式場などで提供した食事により食中毒が発生、営業停止となった場合の喪失利益を補償)、BJAシステムパワーサポート(JAが所有するコンピュータやデータが損壊した場合の補償、ネットワークの中断による業務停止時の喪失利益の補償、システムダウンした場合の取引先に対する損害賠償責任を補償)の販売を予定している。今後も両者の商品開発ノウハウを活かすため、このほかの分野についても商品研究を共同で行っていくという。

 販売体制分野では、JA協同会社代理店とJA共済連県本部協同会社代理店が、共栄火災の保険商品を提供することで、JA市場での販売体制強化を図る。JA共済連にとっては、いわば“品ぞろえ”が豊富となり保障提供力の向上につながることになる。また、共栄火災の代理店でも、JAに対して顧客の紹介を行うことを検討する。

 損害調査分野では、自動車事故損害調査において、両者の損害調査子会社の共同利用による効率化を行う方針。当面は、共栄火災損害調査(株)がJA自動車共済の損害調査業務を受託する。 3分野での提携はJAなどとの調整をふまえ4月以降、順次実施させる。

 保険・共済業界は、自由化がすすみ、商品・サービスの多様化と高度化というめまぐるしい環境変化が起きている。今回、両者が業務提携したのも、こうした環境変化のなかで市場への対応力を強めるためで、昨年3月にJA共済連の西村弘之専務と共栄火災の小林多喜男副社長を共同委員長とする「全共連・共栄火災提携推進協議会」を設置して協議を続けてきたが、このほど基本合意に達したものだ。今後の提携事項の実施や新たな分野での提携についても同協議会が決定する。
 今回の提携は、保険と共済による隙間のないトータルな補償(保障)の実現が大きな狙い。とくにJA共済が重点としてきた人、家、車以外のリスク分野をもカバーすることで「農村における全分野を対象としたサービスを提供できる」(西村JA共済連専務)点がJA共済事業のメリットとなる。

 共栄火災の小澤渉社長は「協同組合組織とのつながりは他社にはない強み。提携は生命線であり経営の柱になる」と話す。
 同社の基金(資本金に相当)は110億円。そのうちJA共済連が34億円(30.9%)を拠出、そのほか、農林中金やJA全農も拠出しており系統団体合計では80億円(72.7%)を占める。JA共済にない補償の提供や、系統事業にともなう周辺市場の開拓を行ってきた。同社によるとJAやその取引先、組合員などのリスクを対象にした保険商品マーケットは600億円から1000億円になるという。

 JA共済連の新井昌一会長は、協同組合組織を基盤とする共栄火災との提携は「強力なパートナーとして連携は意義深い。JA共済はますます強固な事業体制となる。今後、一層の業務の効率化、サービスの向上に努めていきたい」などと語った。



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