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セーフガードやミニマムアクセス米で議論 JA全中の新年度事業計画決まる
 −JA全国大会決議の実践へ (3/7)

写真1 JA全中は7日の通常総会で、農産物の販売計画を含む「地域農業戦略」を各JAが策定し、実行するという食料自給率の向上に向けた取り組みの推進などを盛り込んだ平成13年度の事業計画や予算を決めた。ペイオフ解禁を目前に、経営改善が困難なJAについては、合併や事業譲渡により13年度中には少なくとも早期是正措置の対象JAを一掃できるような対策の推進も打ち出した。また総会は輸入青果物の急増に対する一般セーフガード(緊急輸入制限)の早期発動を求める緊急決議を採択した。

 原田睦民会長はあいさつの中で、担い手が農産物の価格変動に煩わされることのないような「経営安定・所得確保対策」と、生産資材コストの低減などに取り組むと述べ、また世界貿易機関(WTO)農業交渉対策などの課題を挙げた。
 農協法改正では、連合会に経営管理委員会制度を大幅に取り入れる方向について「私は、この制度を積極的に活用して、業務執行体制の強化をはかると同時に多くの青年・女性に参画してもらうことがJA運動の活性化につながる」との期待を表明した。
 来賓あいさつでは、日本生協連の竹本成徳会長が、生協の産直事業が年間4000億円規模に及んでいることを挙げ、消費者との連携が明日の農業発展につながると、連帯を強調した。
 次いで12年度の優良農協に選ばれた前橋市農協(群馬)、セレサ川崎農協(神奈川)、愛知中央農協の代表と、特別功労者35人、功労者90人に原田会長から表彰状が贈られ、会場は盛大な拍手で栄誉を讃えた。
 受賞者を代表したJAあいち中央の都築賢組合長は「これを機会に初心に帰って、より力強い農協運動を展開していきたい」と謝辞を述べた。写真2
 このあと議事に入り、12年度の事業報告と決算、13年度の事業計画と予算などを決定した。
 審議では、宮城の代議員が「昨年産米は豊作の予想から、秋に再び減反割り当てがきて、作況が確定しないうちに前倒しで青刈りをしたが、年に2回もの生産調整はどうしても納得できない」と疑問を出した。
 これに対し全中の中村祐三常務は「豊作分の調整として需給調整水田の青刈りと転作が行われた」などと説明したが、代議員からは「豊作分は、翌年の生産調整面積に上乗せすべきではないか」との意見が出た。

 また「セーフガードは昨年末に、やっと3品目だけが調査対象となったが、結論は5月末だという。冗談じゃない。政府は何を調査しているのか。採算点などはすぐわかるではないか。もっと多くの品目を迅速にやってこそセーフガードといえるのではないか」との強い不満も出した。
 中村常務は「政府調査の期間中でも輸入による損害が続く場合には、関税を引き上げるなどの暫定措置がある。全中は、それを求めている」と答えた。
 岩手の代議員からは「稲作農家は意欲を失っているが、悪の根源はミニマムアクセス(MA)米だ。ところが米国は、さらに日本のコメ市場開放を求めるという。MAは最低輸入義務ではなく、正しくは『輸入機会を与える』ことであり、『義務』ではない。日本側で輸入数量をコントロールできるはずだ。理不尽な取り決めに対して、もっと強腰になるよう農水省に要請してほしい」と求め、中村常務は農業交渉に対する日本提案などを説明した。
 農政運動に対する質疑では、山田俊男専務が経営安定対策には財源の制約があって、国民合意が必要となるなどの状況を説明した。
 農協法改正では、信用事業を行う農協のエリアが重複してはいけないという昭和29年の局長通達が廃止になるが、改正法案には重複による混乱を防ぐ手立てが盛り込まれているなどと篠塚勝夫常務が答えた。



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