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途上国対策強化の提言なども出る
JAグループのWTO関連代表団が中間報告 (5/10)


 欧州連合(EU)は、WTO農業交渉対策について日本はもっと途上国への働きかけを強めるべきだと提言している。4月にEU本部を訪問したJAグループの代表団に対し、ラミー通商担当委員(閣僚クラス)は「日本とEUが異なる点の1つは、途上国体策であり、この点で両者は連携していく必要がある」と強調したという。日本は途上国対策を余り重視していないとの見方があるためだ。
 さらに同委員は、日本の場合、ケアンズ・グループに属している途上国への働きかけを分担してはどうかと具体的に提案した。  同グループは、輸出補助金の撤廃を目ざす農産物輸出国の集まりでカナダ、豪州、ニュージーランド(NZ)など15ヵ国で構成。アジアではインドネシア、マレーシア、フィリピン、タイなどが参加している。
 JAグループはWTO農業交渉対策の1つとして4月中旬、米国やEUなどに3代表団を派遣し、日本の農業者の主張に対する理解を求めた。10日のJA全中理事会に、その中間報告があり、EU本部通商担当委員の提案も紹介された。
 同報告によると、EUの農業団体やイタリア農林政策省は「農産物と工業製品には根本的な違いがある」と差異を指摘している。
 ところが豪州の外務貿易省は「差異などない」といいきり、「食料安保のために自給率を上げるという日本の主張は理解できない」とした。また同国では農業団体が「日本は、米国や中国からの補助金つき輸入をやめよ」と求めた。これは豪州からの輸入を「増やせ」という意味になる。
 NZの農業団体も「日本がカメラや自動車を輸出するように、農産物を輸出したい」とし、当局者も、日本は輸入により「食料安保を達成できる」と語った。
 しかし同じケアンズ・グループでもアジアの途上国には、豪州やNZと違う意見があるためEU本部は、そこをねらった対策を提案したものされる。
 一方、米国の農務省と通商代表部は「農業保護の削減がない日本提案には失望した」と語った。しかし農業の多面的機能の重要性には理解を示した。ケアンズでありながらカナダも多面的機能は認めている。
 ミニマムアクセス米縮減について、大規模経営を中心とした米国の農業団体は「日本が電化製品や鉄鋼の輸出を減らすのであれば理解が得られよう」とした。
 セーフガードについては米国でもEUでも農業者団体は理解を示した。



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