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農政・農協ニュース

水稲のアワヨトウに要注意
果樹カメムシ類の発生も ―― 農水省 (7/5)
 農林水産省生産局は7月5日、「平成13年度病害虫発生予報(第3号)」を発表した。
 それによると、向こう1カ月の主要病害虫の発生動向については、特に水稲のアワヨトウ及び果樹のカメムシ類の発生が「多め」、その他果樹病害の発生が「やや多め」と、それぞれ見込まれていることから、各都道府県の発生予察情報に留意し、地域ごとの防除要否を見極めた適時適切な防除を励行したい。
 <普通作>
 水稲について、葉いもちの発生は、東北、北陸及び近畿の一部地域で「やや多い」と予想。今年の天候を見ると、春先から好天が続いていることもあり、いもち病発生の好適条件とはなっていないが、しかし、これまでの好天により稲の生育が順調に進み茎葉が繁茂してきているため、梅雨時の曇りや雨天が続くと広範囲にわたって発生することも懸念される。
 いもち病では、特に補植用苗で発生した葉いもちが本田へ拡大しているケースが多く見受けられるため、不要となった補植用苗は直ちに処分する必要がある。さらに、この季節は雨天の多い時期であることから、雨の合間をみての適期防除を実施したい。
 次に、アワヨトウの発生は、北海道及び東北の一部地域で「やや多い」から「多い」と予想されている。注意が必要だ。アワヨトウの幼虫は、老齢になってからでは薬剤の効果が劣るため、本虫による被害が確認されたら、直ちに防除を実施することが大切。
 また、ヒメトビウンカは、北海道、関東、北陸及び四国の一部地域で「やや多い」から「多い」と予想されている。幼穂形成期までの間、特に保毒虫の多い地域では、本虫の防除の徹底が必要だ。
 さらに、この1〜2年、その発生が懸念されている斑点米カメムシ類では、北海道で「やや多い」、東北及び東海の一部地域で「多い」と予想されている。本虫の防除は、出穂期と傾穂期の2回の薬剤散布が基本となっている。特に、出穂の早い水田においては、本虫が集中的に飛来する傾向があるため、その飛来に十分に注意したい。薬剤散布に当たっては、地域の優占種を確認の上、薬剤の選定を行っていくことが重要。
 <果樹>
 かんきつにおいて、黒点病の発生は、関東及び四国の一部地域で「やや多い」と予想されている。降雨の多い梅雨時は発生が拡大するため、枯死枝及び発病枝を発見した時点で、速やかに摘除したい。
 また、ミカンハダニの発生は、関東及び九州の一部地域で「やや多い」から「多い」と予想されている。本虫は、夏季には急激に増殖するため、薬剤散布に当たっては散布むらのないように気をつけたい。
 さらに、チャノキイロアザミウマの発生は、東海、近畿及び九州の一部地域で「やや多い」と予想されていることから、適期防除を実践したい。
 りんごについて、斑点落葉病は、東北の一部地域で「やや多い」と予想され、その発病状況に応じた適期防除が必要。加えて、ハダニ類の発生は、北海道、東北及び北陸の一部地域で「やや多い」から「多い」と予想されており、防除に当たっては散布むらのないようにしたい。
 なしでは、アブラムシの発生が、関東、北陸及び四国の一部地域で「やや多い」と予想されている他、ハダニ類で、東北、関東及び北陸の一部地域で「やや多い」と、その発生が予想されている。
 ももについて、せん孔細菌病の発生は、東北及び四国の一部地域で「やや多い」と予想されている。
 かきでは、炭そ病の発生が、四国及び九州の一部地域で「やや多い」と予想されている。その発生には降雨が大きく関係しているが、今後の降雨の状況によっては、発生拡大する可能性がある。仮に、新鞘に発生が見られなくても、予防的な防除に努めたい。
 また、うどんこ病の発生は、東海及び中国の一部地域で「やや多い」、フジコナカイガラムシの発生では、東海、近畿、中国、四国及び九州の一部地域で「やや多い」から「多い」と、それぞれ予想している。
 果樹共通として、果樹カメムシ類の発生は、東北、関東、近畿及び中国の地域で「やや多い」から「多い」と予想。果樹カメムシ類は、果樹園周辺から飛来し、その時期・量は地域で異なることが多いため、ほ場の発生状況に十分注意し、適期防除を行うとともに、飛来状況に応じて追加防除を実施したい。
 茶では、チャノコカクモンハマキ、チャハマキ及びチャノホソガの発生は、関東の一部地域で「やや多い」から「多い」と予想されている。チャノキイロアザミウマの発生は、関東、近畿及び九州の一部地域で「やや多い」、クワシロカイガラムシの発生は、関東、近畿及び九州の一部地域で「やや多い」と、それぞれ予想。いずれの害虫についても、ほ場の発生状況に十分注意した適期防除が大切。
 <野菜>
 なすでは、アザミウマ類の発生は近畿の一部地域で「多い」、アブラムシ類については、北陸及び四国で「やや多い」、ハダニ類については、北陸及び近畿の一部地域で「やや多い」とそれぞれ予想されている。
 きゅうりにおいて、うどんこ病は東北及び甲信の一部地域で「やや多い」、アブラムシ類は、東北の一部地域で「やや多い」と予想。アザミウマ類の発生は、関東及び近畿で「やや多い」と予想している。
 なお、なす及びきゅうりの病害虫においては、薬剤抵抗性を獲得しないために、同一薬剤の連続使用を避けたい。
 ねぎでは、ネギハモグリバエの発生が、九州の一部地域で「多い」と予想されれている。
 最後に、花きについて。
 きくの白さび病が近畿の一部地域で「やや多い」、アザミウマ類及びアブラムシ類が東北、近畿、四国及び九州の一部地域で「やや多い」と予想されている。
 なお、警報及び注意報の動向(6月下旬以降)を見ると、先ず警報は、北海道(7月3日)のいね科牧草・アワヨトウが出されている。また注意報は、岐阜県(6月28日)・新潟県(7月2日)・岩手県(同)で水稲・斑点米カメムシ類が見られる。さらに、新潟県(7月2日)では、かき、なし、もも、りんご、ぶどうにおいて果樹カメムシ類、となっている。


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