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農政・農協ニュース

高まる協同組合の役割
第79回国際協同組合デー 記念中央集会開く(7/6)
 日本協同組合連絡協議会(JJC)は、第79回国際協同組合デー記念中央集会を7月6日、東京・大手町のJAビルで開いた。JA、生協、漁協、森林組合などの関係者が参加し21世紀の協同組合の役割などを考えた。「国際協同組合デー」は毎年7月の第1土曜日。全世界の協同組合員が運動の前進を誓い合う日。今年は7月7日。

 今年の国際協同組合デーに向けてICA(国際協同組合同盟)が発信したメッセージは「新世紀における協同組合の優位性を」。集会では、日生協の藤岡武義常務がこのメッセージを踏まえた課題提起を行った。
 藤岡常務は、「この10年間で市場経済の光と影がはっきりしてきた。新世紀こそ協同組合の出番」と話し今後の協同組合について、自立した市民の協同、人々の「多様性」に応える協同などを視点から考えることが重要と指摘、「協同組合には事業的成功と社会的貢献の2つを成立させることが求められているが志を忘れることなく運動を提起していきたい」と語った。

◆徹底した『参加』こそ競争力を生む

経済評論家 内橋 克人 氏
 

記念講演は経済評論家の内橋克人氏の「21世紀のおける協同組合の役割」。
まず、今の社会で進行している実態と現在の政府が唱える改革の問題点を指摘した。
 内橋氏は、年金、雇用、などの社会保障制度は社会の安定化装置であり、それは航空機にたとえるなら推進(=成長)のために必要な「機体の外側のエンジン」だという。しかし、現在の社会は「より高くより速く飛ぶ(競争力、効率性の追求)ためには外側のエンジンさえも重いと考える人が出てきている」。
 その結果、たとえば
米国では「オン・コール・ワーカー」と呼ばれる人が続出した。雇い主から呼び出しがあるまでは仕事がない。米国ではこの10年間に正規社員が160万人減少し、一方でフリーターなど不安定な雇用が300万人も増加したという。すなわち、効率性の追求は雇用の不安を生んだ。「米国では企業が利益を上げているときにさえリストラが進行。つまり、恒常的なリストラが行われている社会となった」。
 日本では堺屋太一前経済企画庁長官が「選職」の時代を提唱したが「それは働く側の自由ではなく、働かせる側の自由にすぎない」と批判。高度経済社会では人間はもはや搾取の対象ですらなく、排除の対象になってしまったとの指摘も経済学者のなかにはあるという。不安定な雇用は消費の萎縮をもたらし、さらにデフレが進行する。
 また、こうした企業活動は、社会に分裂や対立をもたらしてもいる。「体力のある企業は外国へ進出できる。しかし、農業者や商店主など日本列島に固執して生きていかざるを得ない人々もいる」。
さらに効率追求のための規制緩和は、安全性確保についても事前規制をなくして事後チェックでよしという流れを生んだ。それが、昨年の雪印食中毒事件にみられるように、「事前規制をなくして事後チェックだけ。犠牲者が出なければチェックが働かないリスク社会になってしまった」。
 このような変革の前提には、「努力した人が報われる社会」という考え方がある。しかし「一人勝ちの社会が健全といえるのか。大勢の敗者は努力しなかったといえるのか」と問うべきだとして「小泉政権は、格差の拡大こそ社会の活性化をもたらすという認識だが、構造改革とは企業はつぶれても人はつぶれない社会をつくるためにこそ必要」と強調し、社会の新たな安定化装置として協同組合が役割を果たしてほしいと訴えた。
 内橋氏は、今後、必要なのは人間の「生きる、働く、暮らす」の統合であり、その統合を果たす存在として協同組合があるという。そのために必要なことのひとつが自覚的消費者の存在。「価格が安ければそれに越したことはないがそれでいいのかと問う。物価が下がって賃金が下がらないということはない」そうした意識を持った消費者を協同組合が理念とする参加の徹底によって育てる。
 また、地産地消にみられるように食料と、エネルギー、介護の自給による強いコミュニティーづくりや市場を市民社会制御のもとに置くことなども協同組合の課題だとし、「理念を活かせば競争力は生まれてくる。運動性と事業性は必ず一致する」などと参加者に訴えた。

参考資料: 日本の協同組合の現状
世界の協同組合の現状


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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