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農政・農協ニュース

ペイオフ対策などを活発に討論
―― 信用事業のJA渉外担当者交流大会(8/2〜3)
 JAの“動く窓口”ともされる渉外の職員が情報や意見を交換するJA渉外担当者交流大会は、社全国信連協会と農林中金の主催で2、3両日、東京都内で開き、約150人が12のグループに分かれてディスカッションを展開。ペイオフ対策では▽最近はいつも資料を持ち歩き、JAの自己資本比率が高いことなどを顧客に説明し、系統信用事業の健全性をアピールしている▽JAグループが張っている二重のセーフティネットをわかりやすく教えているなどの日常活動を交流した。また次世代向けの推進対策なども話し合った。

上野 博史 理事長
 大会は今年が10回目。節目の記念大会とあって農林中金の上野博史理事長も出席してあいさつ。「いま系統信用事業にとって何よりも必要なものは、みな様方の持つ『元気』です」と述べ、その元気が「全国の渉外担当者に広く伝わるとともに、JAグループ全体を活性化させるような『ネットワーク』を広げていただければさいわいです」と期待をかけた。
 交流大会参加者の顔ぶれは毎年変わるが、参加をきっかけに、その後も、お互いに経験や情報を交換している人たちが増え、全国的に渉外担当者のネットワークは広がっている状況だ。
 上野理事長はあいさつの前段では、6月末のJA貯金が73兆6000億円に増えたと報告。全体として「ペイオフ対策」や「郵便貯金満期対策」に向けた努力が、着実な成果となって表れていると見ることができると語った。
 また系統信用事業の「自主ルール」にのっとった取り組み状況も説明した。
 このあと、グループディスカッションで1日目を終わった。会場は港区のホテルだったが、2日目は会場を有楽町の農林中金本店に移し、12グループの代表が次々にディスカッションの結果を報告した。
 これによると、来年のペイオフ解禁をひかえて、JA貯金の分散を申し出る大口貯金者もおり、一部には小口化の傾向も出ている。また、顧客の家族の中で、渉外担当者の説明を聞いた高齢者が納得をしたのに、若い人はあくまで分散を主張する例もある。
 これに対して反対に、他行からJA貯金に預け換えをしてもらうために見込みのある小口の貯金者をリストアップして働きかけているJAや、1000万円以上の貯金には金利を高くして囲い込みを図っているJAもある。
 全体としてペイオフ対策のキーワードは信頼性、健全性、安心感だ。そして担当職員だけでなく、全職員に、これらを教育しているという発言が目立った。
 顧客へのアピールでは▽農水産業協同組合貯金保険機構と相互援助制度によるセーフティネットの説明▽個人だけでなく地方公共団体への説明▽それらの内容を解説した広報紙、ディスクロ誌、チラシなどの活用が展開されている。
 「こうした対策は他の金融機関に負けていない」と胸を張る参加者もあった。しかし、一方では対策に取り組んでいないJAも多いという現状も出た。
 大口貯金者対策では▽500万円以下の貯金者は他行にも預けているとみて働きかけている▽3000円程度の景品を年2回出している。低価格の景品は訪問のたびに渡している▽0.2%程度の金利上乗せなら景品より安くつく▽しかし最近は金利が高いと逆に警戒される面もある。金利より安全性を求める傾向が強くなっている、などの意見が出た。「農作業を手伝って顧客とのきずなを強めている」というJAならではの活動報告もあった。

 次世代対策がうまくいかないという悩みもたくさん出た。若い人と話をする目的で訪問したのに「JAです」とあいさつしたとたんに、若い人が引っ込んで、代わりにじいちゃんか、ばあちゃんが出てくる▽若年層に対するJAのメリットがアピールできていない▽若年層は、夜間推進や、お願い推進をいやがる、などの報告が次々に出た。
 対策としては▽JAの直売所で若い母親との接点をつくりたい▽幼稚園に口座を開いてもらってはどうか▽若い人向けのイベントを開催したい▽自動車ローンから給与振込へ深めていこう▽JAの商品は銀行や保険に負けてはいないという自信を持とう、などの発言があった。
 このほか▽ローン▽年金▽定期積金などの推進や、目標管理など多様なテーマで討論を展開し「これは、うちのJAでも、いただこう」という経験やアイデアがいっぱい出た。
 参加者の沖田友子さんは「若い参加者との交流で勇気づけられました」と感想を語っていた。
 大会のまとめとして農林中金業務開発部の向井地純一部長は「今年はJAバンクの今後を考える若い参加者の発言が活発でした。現時点で考えられる課題をすべて出していただいた」と述べ、当面の金庫の取り組み方針などを説明した。


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