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農政・農協ニュース

生態系や景観に配慮
農水省が農業農村整備事業の考え方骨子示す (11/8)

 土地改良法改正で事業の実施には「環境との調和に配慮」することが加えられたため、今後の農業農村整備事業の進め方について、農水省は8日「基本的考え方」の骨子をまとめた。
 これまでは必要性や経済的メリットがあれば、農業生産の基盤整備などができたが、今後は「環境への配慮」も基本的要件となる。

 このため「考え方」骨子は、事業計画の策定に当たっては、受益者である農家のほか「できる限り住民や関係者の意見を聞く機会を設けることが望ましい」とした。また環境への配慮を要請するのは大半が、農家以外の住民だから「配慮」のために経費が増える分は住民負担とすることも検討課題として挙げた。
 また事業の後は、土地改良区などが住民の参加や協力を得て維持管理をする体制を確立することも「有用である」とした。
 これまでは土地改良区の地域ボスなどが、農家負担金を勝手に流用して自民党に政治献金をするなどの不正が目立ったが、住民参画で透明性が増せば、そんな腐敗や自民党の票田化を防げるかも知れない。

 農水省では、この骨子について広く国民から意見と情報を募集しており、それを取り入れて正式な「基本的考え方」を策定する。募集締切りは11月29日。骨子は、幅広い関係者の参加と、自然と人との共生によって循環型社会を形成することを、農業農村整備事業の目標とした。
 そして、自然に手を加えてきた農村の「二次的自然」や景観になじまない事業を避けるほか、これまでにコンクリートの水路を作ったりして、ぶち壊してきた環境を回復する「視点も必要である」とした。
 イメージとしては▽農道の法面の緑化▽貴重な植物のある湧水池の保全▽棚田の保全▽メダカの泳ぐ水路づくり▽うるおいのある石積み水路づくり、などを示している。

 どんな環境に配慮するかという要素では、生態系や景観、そして、かつて身近に存在した野性動植物種を挙げた。
 環境との調和を検討するに当たっては、技術士、大学や小中高校の教員、博物館学芸員、環境保護団体メンバーなどに相談するという考え方も示した。
 なお、骨子は食料・農業・農村政策審議会農村振興分科会農業農村整備部会企画小委員会(委員長・三野徹京大大学院農学研究科教授)がまとめた。




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