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農政・農協ニュース

毅然とした対中姿勢を
国内対策の見直しも必要−−セーフガード問題(11/8)

 セーフガード問題で中国は、日本の輸出抑制要請を「筋違い」と突っぱねた。というのは、日本の商社などが中国の農民に野菜を作らせて、日本に輸入をしているのが実態だからだ。
 日本のアグリビジネスが中国の生産者に種子を供給し、技術を教えるなどして開発輸入を急増させているのだから、日本の農家が苦しんでいるとしても、それは日本の国内問題だという姿勢が1つ中国側にある。
 このため国内対策としてアグリビジネスを規制する法律の運用が先の国会で議論となった。それは「外国為替及び外国貿易法」で、企業による海外への直接投資を管理、調整できる。
 財務大臣は、円滑な経済運営に著しく悪影響を及ぼす対外直接投資の内容を変更させることができるという規定が23条にある。
 だが農水省国際経済課は中国で種子を売り、作物を買うというビジネスに対して、この法の適用はできないという見解だ。
 しかし「国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会」加入の農業者たちは8日、農水省にセーフガード本発動を求める交渉の中で「商社などは中国に集荷・冷凍施設をつくるなどの直接投資をしているのだから法を適用できるはずだ」と迫った。また適用が困難ならば法改正や新法による規制を急ぐようにと主張した。
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 輸入激増の制限はWTOルールで当然の措置だが、中国側はルールを破り、日本の自動車などに報復関税をかけた。また日中協議でも歩み寄ろうとはしない。
 このためJAグループは8日、原田睦民・全中会長名の声明の中で中国の対応に「厳重に抗議」した。
 中国は、日本から政府開発援助(ODA)で約4000億円の円借款を受けながら、途上国を援助しているためODA見直しを求める声が強い。自民党内でも「核を持つ軍事大国をなぜ援助するんだ」といった意見が強まっている。
 セーフガード問題では、粛々と本発動に移行するのが筋だが、小泉純一郎首相の腰は引けており、朱鎔基首相との会談では自分から「話合い解決」を持ち出して「空白」をもたらした。
 このため、報復関税の長期化を恐れる産業界の意向を受けて農業を犠牲にするのではないかという小泉批判が農業者の間で高まっている。また靖国神社参拝や教科書問題など、中国に弱みを握られるようなことをするからいけないのだといった意見も噴き出している。



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